IS×A.T   作:u160.k@カプ厨

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Trick:05

「昨日も思ったけど美味しいわね、ここの料理」

「おぉ、学生寮の食堂ってレベルじゃねーぞ」

「……」

 

 翌朝、俺達三人は仲良く(?)朝ご飯を食べていた。

 メニューは三人揃ってサンバルカ……じゃなくて朝食セットAだ。

 

 それにしても一晩経ってもやっぱり落ち着かないのは周囲の女子の視線があるからだろうか?

 今も『彼が噂の男子だって』とか、『千冬お姉様の弟らしいわよ』とか興味津々らしい女生徒の皆さん。

 

 俺は珍獣でもUMAでもない、普通のA.T使い(ライダー)なんだけどねぇ……お、この焼き鮭ウマイ。

 

「おりむー、お隣いーい?」

 

 間延びした喋り方に振り向くとそこにはクラスメイトののほほんさん(本名は布仏本音さん)+女生徒二名がいた。ちなみにその二人は俺をクラス代表に推した人達だったりする。

 

「構わねーぜ、座んなよ」

「おー、ありがと、おりむー♪」

「ところで『おりむー』ってなんだ?」

「ん〜とね、おりむーは私が考えたおりむーのあだ名だよ〜」

「さよけ。ま、好きに呼んでくれ」

「わ〜い♪」

 

 だがそのあだ名、氷タイプの某携帯獣を思い出すのは俺だけか?

 

「織斑君本当に大丈夫なの?」

「なにが?」

「あの代表候補生との決闘の話だろう。実際、どうするつもりだ?」

「あーアレね、別にそんなん問題じゃねーよ。A.Tとライダーをバカにした事のオトシマエはキッチリ付けて貰うだけよ」

 

 それにあのまま言わせといたら俺が推されたのに対して代表候補生の自分を誰も推さない事の八つ当たりを始めたかも知れない。そんなん見てるこっちがムカつく。

 

「ま、元々俺にコナかけて来やがったんだ。勝負になったのも俺を叩き潰す大義名分を手に入れたワケで、(やっこ)さんには渡りに舟ってヤツだろ」

 

 だがそれは俺とて同じ事だ。

 A.T(スキなモノ)をバカにされて黙ってられる程、俺は利口で紳士な大人じゃない。

 真っ向から打ち砕かせて貰う。

 

「ねぇ、話が見えないんだけど」

 

 隣にいた鈴が話に入って来る。なんで若干機嫌が悪くなってんだ?

 

「え? えっと……」

 

 『誰?』と言った表情のクラスメイトに鈴の事を紹介しておこう。隣のクラスなら一緒に授業を受ける事もあるだろうし。

 

「あぁ、コイツは俺の幼なじみの凰鈴音。中国の代表候補生で二組のクラス代表、そんでもって親友以上嫁未満の関係」

「「「「えぇ〜っ!?」」」」

「ほぇ〜」

 

 食堂中の女子の反応としっかり聞き耳を立てていた事にこっちがビックリしたぞ、コンチクショウ。

 

「……残念ながら最後のは冗談デス」

 

 食堂中の女生徒がズッコけた。

 まぁ、俺はまだ自分の事で手一杯だし、彼女とかまだ早いだろう。

 

「あ、朝から変な冗談言ってんじゃないわよ!」

「みんごすっ!?」

 

 いつも通り俺をド突く鈴の鉄拳制裁。

 けど今のはいつもより軽く、表情もどこか嬉しそうな感じだったのは何故だ?

 それにしても本当に残念な事に鈴はクラスが違うのだ。一緒のクラスなら楽しそうだったのに……誰だクラス編成したヤツ、会ったら文句言ってやる。

 

「イテテ……まぁ簡単に言うとイギリスの代表候補生とクラス代表を賭けてケンカする事になった」

「はぁ、なんでよ?」

 

 昨日のオルコットとのやり取りを説明すると、鈴は呆れたように笑っていた。

 

「……納得。アンタってホントA.Tバカよね」

「よせよ。そんなにホメるな、照れるじゃねーか」

「別に褒めてないわよ、おバカ」

 

 鈴の一言に凹んだ所に再び話し掛けて来るクラスメイト(確か谷本さん)。

 

「話を戻すけどいくら織斑君がISを使えるって言っても男が女より強かったのって大分昔の話だし、代表候補生は専用機まで持ってるんだよ?」

 

 確かにこの10年で完成してしまった『女尊男卑』の世界は女性の強さを示している。

 国家代表と代表候補生は国や企業から様々な支援を受けているのだが、その最大の恩恵が自分専用のISを与えられている事だろう。

 ISの心臓部・コアは世界で467個しかなく、その貴重なコアを個人に渡すなんてソイツが余程優秀でない限りありえない。そう考えると俺とオルコットのレベルがどれだけ違うのか嫌でも解ってくる。

 

「それに代表候補生ともなればISの搭乗時間は300時間は超えてるよ?」

「そうね、ISは稼動時間がモノを言う。一夏は入試の時少し乗っただけだからざっと20分位?」

 

 谷本さんは不安げな表情を浮かべ、鈴は勉強して得た知識を情報として提示する。

 

「大体そんなモンだろ……けど俺は負けるつもりはねーよ、こっちは小坊ん時からA・Tで走りまくってんだ」

 

 300時間? ンなモン小五の夏休み中に消化したわ!

 ISの基礎なんかは鈴や箒に教えて貰えばなんとかなるだろう。

 

「え、A.TとISは全然違うと思うよ? 織斑君……」

「全くだ! 大体、ISを動かせるだけのオマエが勝てる相手か!?」

 

 激昂する箒を宥めつつ、クラスメイトの言わんとする事を推測する。

 

「……確かに相手(オルコット)は格上かもな。だからハンデでも貰えって?」

「う、うん……」

「何を軟弱な!」

 

 気まずそうに頷くクラスメイトとさらに激昂する箒。

 確かにクラス内でなら確実に上位は確実であろうオルコットと比べれば、ISに関する俺の実力(レベル)はおそらく最下位、A.Tでの(バトル)である〈パーツ・ウォウ〉で言えば最初のランクであるFクラス。

 月とスッポンもいい所だろう。その〈パーツ・ウォウ〉でも『Fクラスのライダーが上位クラスのライダーに勝つ確率は1%』と言われている。

 

「まぁ、99%負けが決まっているような勝負は避けるかハンデを貰うのがお利口さんかもな」

 

 だがそれでいいのか?

 

「そうだよ、今からでも……」

「けどな……」

「え?」

 

 いいワケねぇだろ。

 

「このケンカは織斑一夏(オレ)個人の意地だけじゃない……一、A.T使い(ライダー)としての誇り(プライド)が賭かってんだよ。その勝負にハンデ貰って戦うなんざ死んでもゴメンだね」

「何をバカな事を……勝手にしろ。私は先に行くぞ」

「おー、また後でなー」

 

 A.T嫌いな箒はやっぱり俺がA.T使い(ライダー)である事が気に食わないのだろう。席を立つとそのまま食堂を出て行った。

 

「でも……ま、それでこそ一夏よね。よし、私がISについて教えてあげる」

「マジか!? サンキュー鈴! オマエがいりゃ千人力だぜ!!」

「桁が一個足りないわよ。早速今日の放課後からね」

「よろしく頼むぜ師匠!!」

 

 話が纏った所でのほほんさん達も交えてご飯の続きに入った。

 暫くすると食堂内に手を叩く音が響いた。

 

 どうやら寮長さんが生徒達を急かしているらしい。しかしまたしても聞き覚えのある声なような気が……。

 

「いつまで食べている! 食事は迅速に効率よく取れ! 遅刻したらグラウンド十周させるぞ!」

 

 寮長はなんと千冬姉だった。余り家に帰って来なかった理由はこれか。

 

 ちなみにグラウンドは一周五キロある。……冗談じゃねぇ。

 

 ―――――――――。

 

 学生寮から校舎までの通学路を俺と鈴は走っていた。無論、A.Tでだ。

 

「それにしても鈴とこーして登校すんのも一年ぶりだな!」

「そうね……って、昨日の帰り道も似たような話したじゃないのよ」

「バレたか、さすがだな金田一君!」

「なーにアホな事言ってんのよ」

 

 中学の時もこうやってバカ話しながら走っていた俺達。あとは弾や数馬、弾の妹の蘭。

 今は少し離れてはいるものの、また皆で集まって楽しく走り回れるだろう。

 来週の日曜か近くのGW辺りの予定を今から考える俺だった。

 




〈キャラ紹介〉
織斑千冬
主人公・一夏の姉。世界大会優勝者で現役を退いた後でも作中最強と目され、尊敬の念を集めるカリスマのあるブラコン。
二次創作ではマダオ(マジでダメなお姉ちゃん)かクソキャラ化されることが多い残姉さん。
本作ではA.Tに傾倒していた弟がISに適合していることに内心悩んでたりする。
A.Tには興味はないが、もし始めたりしたら原作の野山野梨花と同等かそれ以上のA.T使い(ライダー)になるのではないかと推測される。
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