「……という訳で、ハーヴィンの中でもプレゼントに迷ってる人員を集めたよ」
メリッサベルの集合の元、ハーヴィンの女性達が集まっていた。それぞれ自分がどんなプレゼントを送るか……それに悩んでいる女性ばかりである。
「……驚いたね、彼のプレゼントに悩んでる人員が結構いるなんて」
「え、えぇ……ほんとに……」
「……私は、決まってるけど……」
メリッサベルの呼び声により、3人のハーヴィンの女性が集まっていた。内1人は渡すプレゼントは決まっているようだったが、残り2人は決まっていないようだった。
「……ニオは、何を渡すの?」
「私は……彼に優しい旋律をあげるわ。彼が寝るときに、私が安心できる旋律を流すの……快眠できるようにね」
ニオ、十天衆が1人……他人の心を旋律として読み取ることが出来る能力を持っている。感受性が高いと言うこともあるのか、恨みや怨念……そういった心の旋律を聞くと、辛くなるという弱点も併せ持つ。
因みに、受けるので簡単にグランに抱きに行ける特権持ちである。
「……わ、私は元々ポポルサーガを貸す予定だったけど……流石に物を貸すのがプレゼントはないかと思ってて……だから、他のプレゼントにしようかな、って……」
「ルナール……男の子にそれ渡すのは……多分、ダメだよ」
「そ、そうよね……」
ルナール、所謂腐女子である。好みのタイプはジークフリートだが、恋愛対象として見ているというよりは、自分の好きな漫画のキャラクターとしてみている面が強い。
事実、彼と彼女自身が絡んでいるよりジークフリートと他のイケメンが絡んでいる方がルナール的にはいい光景なのだから。
「……にしても、アルルメイヤさんが1番悩んでるなんて珍しいわね」
「未来が見えるからこそ……何を渡すべきか悩んでいるんだ。私自身が、考えて渡したいんだから……今回は 未来を予知していないよ」
アルルメイヤ、未来を見通す能力を持っている女性……グランにはよく甘えているのは、グランサイファーでも頻繁に見る光景である。
「他の女性たちのように、私達を自由にしていい権利……なんて渡されたところで彼も困るだろうしね」
「そう言えば……シャルロッテさんとか……プレゼント決まっているのかしら……」
「彼女は、自分の剣を模したお守りを渡すみたいだよ」
「……そういうのって、お高いって話だけど……?」
「だろうね、お守り……小さいものとは言えその値段は計り知れないだろう」
リュミエール聖騎士団現団長シャルロッテ・フェニヤの持つ剣、それを模した小型のお守り。色合いを似せるだけならばそこまで高くなるものでもないだろうが、素材によっては本当にお高くなる可能性がある代物の様である。
「魔力を流し込めば、一時的に相手の攻撃を防ぐ障壁を生み出せる仕様だとか何とか」
「……すごいね、それ……」
単純に、使いやすすぎる守りの御札である。まさにシャルロッテのような騎士から渡されるプレゼントといったところだろう。
「……私も髪の1部をプレゼントにしたらよかったかな……?」
「あの……それ多分すごく重いプレゼントになるわ……」
「……私の髪、そこまで重くないよ?」
「重量的な意味というより……髪を渡すってもうプロポーズみたいなものじゃないかしら……」
「……確かに」
メリッサベル的な問題は無いが、単純に考えてみたら髪を送る女性は怖いという認識に落ち着いた。メリッサベルのような特殊な髪ならともかく、一切そんなことない人の場合を想定しての話である。
「そう言えば……マキラやザーリリャオー達は……どんなプレゼントなのかな……」
「今年は……マキラは小さいニワトリ型の機械、ザーリリャオー達は自分達と同型のボウガンを渡すって聞いてるわ」
そして、ルナールとメリッサベルはとある同盟……『おこたみ』に所属している。おこたみメンバーであるマキラ、ザーリリャオー、ミラオルの3人はプレゼントはもう決まっているのでここに参加はしていないのだ。
「……ところで、なんで私達だけを集めたの? 今グランサイファー内でプレゼントが決まってない人達が集まって話し合いしてるって聞いたけど?」
「その話し合いのために、あなた達だけを呼んだんだよ……ちょっと手伝って欲しいこととかもあるから」
「……?」
「まぁ……着いて来て」
メリッサベルについて行くがまま、呼ばれたハーヴィン達はバルツへと向かっていく。そこは、クビラが温泉を作ろうとしていた場所だった。
「……ここって……」
「……私達の目的のためには、ここに温泉宿を立てる必要があるの」
「……仮に、私達が手伝うことがあったとしても、だ」
「……私に手伝えることって、ある……?」
ルナールがおずおずと手を上げる。十天衆のニオともなると、工事するメンバーの士気を音楽によって上げることが可能だ。アルルメイヤの未来予知によって事故を未然に防げる事も可能だ。メリッサベルは自由に動かせる髪を使って、色々な作業もできる。
しかし、ルナールは絵を描くのが得意分野だ。しかも、別段その絵を見たらニオのようにやる気を出させるといった特殊な効果も存在しない。
「ルナールは……温泉宿が建築し終えたら……いっぱい仕事与えてあげるよ」
「……終わって、から?」
首を傾げるルナール。しかし、自分にしかできない仕事が沢山あるというのならと、素直にそれに従うことにしたのだった。
「さて……それならみんなと合流しよっか」
「……皆?」
「さっき言ってた……プレゼントを渡すのに悩んでる人達、だよ」
「おっまたせー! クラリスちゃんだよー!!」
「という訳で、これから団長グランのプレゼントに悩む私達全員で! 温泉宿を一から作っていきます!!」
クビラの盛大な掛け声の元、集まった女性陣達は喝采を上げていた。それなりの数がいるので、時間こそかかるが全く終わる気配がない……ということは無いだろう。
「まずは掘削班の紹介だよ! 1番クラリス! 分解の錬金術で頑張ってね!!」
「まっかせて!!」
「2番! メリッサベル! その強い髪の力で細かい掘削はよろしく!!」
「……うん……!」
「掘削班紹介終わり!!」
「短い……!」
短い紹介の後、クビラはまた別の班を紹介し始める。今度は、宿を作るために必要な木材の調達のための班である。
「次に紹介するのは木材調達班だよ! 1番2番3番それぞれ一気に紹介するね!
まずは三姉妹が長女メーテラ! 次にスーテラ! 最後に末っ子アステール!」
「私とスーテラは兎も角、アステールは純粋な姉妹じゃないけどね……つうかなんでアタシこんな所にいんだろ」
冷静に状況を判断したメーテラだったが、可愛い妹達のことを考えると別に気にするほどのことでもないと気がついたので、特になにも突っ込むことは無かった。
「ところで、何故スーテラ達が木材調達班なのですか?」
「森に近いところに住んでた、って話だから……木材に詳しいのかなって」
「あんた、牧場の近く住んでて牛の種類に詳しくなれると思ってるわけ?」
「……はっ!!」
今気づいたのか、声を上げるクビラ。しかし、別に詳しくない訳でもないのでスーテラは断る理由がなかった。
「アステールは……役に立てるのでしょうか……?」
「あんたがいてくれた方が人数的に助かるんだし、いても構わないって」
アステールは不安そうに手を挙げて尋ねたが、クビラが答える前にメーテラが答えていた。メーテラの言葉に安心したのか、アステールはやる気のある顔つきへと変貌してきた。
「じゃあ次! その他班!! 残りのメンバー全員!!」
「まさかの全員と来たか……」
「因みに僕は何をすればいいのー?」
アンチラがクビラに尋ねる。彼女の特技として分身があるが、人数がいた方が助かるであろう木材調達班に何故か入ってないことに関して、尋ねているのだろう。
「組み立ての時に分身使ってもらうかも、でも分身出来るのはすごく助かるから……色々してもらうかも」
「いいよ! クビラ姉ちゃんの為なら何だって出来る!!」
アンチラの強い思いを受け取り、クビラは涙する。いい子が同僚なのが、彼女のメンタルの支えとなっているようだ。
「さ……仕上げていくよ! 団長の誕生日までまだあとちょっとあるんだから!!」
「「「おー!!!」」」
その頃、その団長であるグランだが……
「白虎びゃっ白虎、白虎!」
「はわわぁ……グランがおかしくなっちゃったみたいです……」
鶏肉を頬張りながら、ルリアがグランの惨状を語っていた。因みにこの鶏肉はとある赤色の鳥の星晶獣から剥ぎ取ったものである。食糧になるんじゃね? と思ったら人間は大体のものは食える。
「あと何が食えるかだな……」
「ネプチューンのルヴェリエとか美味しそうですぅ」
「━━━!!」
ネプチューンは泣いて首を横に振っていた。ルヴェリエというのは、ネプチューンが従えている龍のような存在なのだが、それすらもルリアとグランは食事の対象として見始めていた。
「うへへへ、ルヴェリエを食べた後は━━━」
「はわわぁ、懲りない人を食べるのもまた一興ですぅ」
「━━━また朱雀でも焼くか!!」
ルリアの語彙力が、段々とルリアノート並になってきているのを感じながら、グランは日和った。当たり前だが、ルリアは完全にブチギレると怖いのでグランですら逆らえないのだ。
「にしても……あと何食ってないっけ?」
「ゼピュロス、アグニス、ネプチューン、ティターンですぅ」
「人型は食う気起きないなぁ……アグニスの周りに浮いてるあれも完全に無機物だろうし」
何故か星晶獣を食べること前提で話が進み始めているが、今の2人の周りにはツッコミを行う人物は存在しないのだ。故に、止められる人物は誰一人として存在しない。
「……次は、黄龍を食べてみたいですぅ」
「いやでもあいつと戦うと黒麒麟セットじゃん……」
「でも、黄龍は麒麟のような見た目をしています」
「ルリア、それでなんで俺が食欲湧くと思った……?」
グラン以上に、ルリアは異常な境地に達していた。最早目に光があった頃の純真な彼女は今やどこにも存在していない。存在しているのは、食べられそうな星晶獣を片っ端から食す
「……それにしても、お腹すきました」
「さっき食べたばっかりだよね」
「召喚って、すごくお腹が減るんですよぉ」
「ひえっ……」
ルリアの威圧感に圧倒されながらも、グランは四象を生き抜く。まだ終わることは無いので、さっさとして欲しいところなのだが、実はルリアの食事を優先させないとグランの命が危ないところまで来ていた。
頑張れグラン、生き抜けグラン、ルリアの御機嫌をとりつつなんとか四象を勝ち抜くのだ。じゃないと、次のルリアのご飯は君になりかねないぞ。
るっ!スキンのルリアいいですよね
奇声が
偶には長編とか書いて欲しい
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はい(ギャグノリ)
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はい(シリアス)
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いいえ