ぐらさい日記   作:長之助

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グランがもし誕生日だったら後編

 グランの誕生日当日、グランはそんなことも忘れてグランサイファーに帰ってきていた。一旦グランサイファーに戻って色々しないと、体が持たないと判断したのだ。因みに、戻ってきたのは日付が変わって2時間ほど経過してからである。そして、帰ったグランを待っていたのは……クビラだった。

 

「あ、おかえり団長」

 

「クビラ……? どうした?」

 

「ちょっといいかな? グランサイファーを飛ばしたいんだけど」

 

「……え、今から?」

 

「今からはキツイだろうし、朝になってからね」

 

「ん、別にいいよ……」

 

「朝になって、目的地に到着したら起こしてあげるから」

 

「わかった……じゃあ、お願いね」

 

 グランは既にかなりの眠気に襲われている。特に思考が回ることも無く、そのまま受け入れていった。

 クビラがどこに向かうか、グランは気にならない訳では無いが別段危ない場所に向かうことはないだろうし……と考えていたせいでもある。

 

「明日……まぁ時間的に行ったら今日なんだけど……ゆっくり休んでね、団長」

 

 クビラのその声はグランに届くことは無く、夜のグランサイファーの闇に吸い込まれて消えていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「団長、団長!」

 

「ふぁ……もう朝……? 早い……目的地、着いたの……?」

 

「うん、着いたよ……ほら見て」

 

「ってあれ……バルツ……?」

 

 着いた場所はバルツ公国。クビラが向かいたかったということは、温泉関係なのだろうかとグランは推理したが、それならば寝る前にわざわざはぐらかす必要も無いので首を傾げていた。

 つまり、バルツの中ではぐらかしたくなるような場所……もしくははぐらかさないといけない理由があるということである。

 

「で? どこに向かってるの? こっち、何も無かったと思うんだけど……」

 

「まぁまぁ、もうちょっとで着くからさ」

 

「一体にどこに……ん?」

 

 そして、船から降りたグランをクビラが連れていく。しかし、グランはバルツ公国で滅多に向かうことの無い方向へと向かっていく。地図上では何も無い場所だったはずなので、余計にグランは首を傾げていた。

 そんな中で、グランが見つけたものは……グランサイファーの絵が書かれた旗が掲げられている温泉宿だった。

 

「……グランサイファー? いや、ここ……何?」

 

「まぁ、最初の反応はそんなものだよね……とりあえず中に入って? 今日1日、ここ貸切だから」

 

「そうなの……?」

 

 困惑しきっているグラン。グランサイファーの絵が掲げられた温泉宿で十分だったのだが、クビラの貸切の一言にさらに困惑を深めていく。なにせ、見た目だけならクビラ1人のお財布の予算では難しいところの予約をしているのだから。

 

「ここね、私たちで作ったんだ」

 

「え、クビラ達が?」

 

「というか……1部の団員で、かな? それでも結構な人数がいたけどね」

 

「そうだったのか……」

 

「そういう依頼があってね、報酬はまた後で報告するけど……今日一日は貸切になったから」

 

「へぇ……」

 

「じゃ、案内するね」

 

 満面の笑みのクビラの案内の元、グランは今日1日もてなされることとなったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当は男女分けたかったけど……せっかくなので男女混合なので水着着て温泉に入ろう! のコーナーします!」

 

「いい企画だクビラ、大好き」

 

「えっ!?」

 

 クビラは折角団長であるグランをもてなす為に、水着を着用しての温泉を計画したのだが、それで感謝されたこと以上に直接的な好意を告白されたので顔を真っ赤にしていた。

 

「そ、そんな事より! 温泉を味わってよ!!」

 

「お、そうだな」

 

 クビラの指示通りに、グランは水着に着替えてから温泉へと向かう。そこには大きな露天風呂が拡がっていた。実に気持ちよさそうな温泉をみて、グランは感嘆の声を漏らしていた。

 

「おぉ……すごいな本当に……」

 

「設計図はルナールが書いてくれたんだよ、いいって言ったんだけど……善意で書いてもらっちゃった」

 

「なるほど、設計士としての腕もあるのか……?」

 

「どっちかと言うと、全員の意見をまとめて、平均化かつそれをいいものに昇華したってことだと思うよ」

 

「へぇ……」

 

 クビラの説明に、グランはルナールへの感謝を示す。こんなに立派なものを作れる設計図を書いたのだから、当たり前なのだが。

 

「あ! グランー!」

 

「お、クラリス! 水着とは珍し……それ水着?」

 

「ううん、クリスマス衣装」

 

 水着を持っておらず、そしてバルツであっても季節的に水着は売っていないので、クラリスは仕方なく布面積的にほぼ一緒のクリスマス衣装を少し改良したものを着ていた。

 

「そっか……お、メーテラ達も一緒か」

 

「そうよー? アタシ達も頑張ったんだから……明日1日くらいは甘えさせてよね?」

 

「なら後で部屋でしっぽりと」

 

 メーテラ達、三姉妹以外の視線がグランに突き刺さる。リーシャ1人のプレッシャーには全く及ばないが、プレッシャーよりも気まずさが勝ってしまったため軽く咳き込んで今のセリフをなかったことにした。

 

「いやぁ、今のは言っていかないと」

 

「最近こんなプレッシャーに押し負けることが多くなって来た気がする」

 

「アタシなら、全員相手するくらいの気概の男の方がいいと思うけどぉ?」

 

「姉様! 団長殿と戦うのですか!?」

 

「アステールも特訓したいのです!」

 

 勘違いをしているスーテラとアステール、グランは苦笑しメーテラは呆れていたがなんの事だかわからずにいた。因みに、アステールは少し前にルリアが着ていたスクール水着なるものを着用しており、スーテラメーテラの2人はビキニだった。スーテラはパレオを付けていたが。

 

「……よく見たら、ニオ達までいるんだな」

 

「依頼が終わったあとに、なるべく全員集合するだろうから……それまでプレゼント貰いながらゆったりしていってね?」

 

「プレゼント?」

 

 ドラフ族のスタイルを見せつけていくビキニを着用しているクビラに目線を向けながら、グランは首を傾げる。何せこの男、自分の誕生日を忘れているのである。

 

「おや……もしかして忘れているのかい? 今日は君の誕生日じゃないか」

 

「……あっ!?」

 

「わかっていたが、君は本当に忘れていたんだね」

 

 アルルメイヤが一応伝えるが、グランは『やっべ忘れてた』みたいな表情をしており、アルルメイヤは苦笑するしかなかった。

 

「そう言えば、ルナールは? 手伝ってくれてたんだろ?」

 

「彼女は体力を使い果たしてるから、今は部屋で寝てるよ」

 

「色々やってくれたからね……ところで団長、ルリアは? 一緒にいたんだよね?」

 

「今グランサイファーで飯食ってるよ」

 

 ふと思い出されるルリアの食べっぷり。しばらく四象ばかりだったので、それで疲れたのかものすごい勢いでご飯を食べていたのがグランは印象に残っていた。というのも、キッチンメンバー総出演であるからだ。

 

「そ、そっか……じゃあ、温泉で休憩できたら……本格的にはじめよっか、グランサイファー団長グラン誕生日パーティ!」

 

「「「おー!!」」」

 

 楽しそうに全員で喝采をあげる。温泉の気持ちよさもさることながら、その和気藹々とした楽しさは他の何者にも勝るものだということがグランは明らかにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー……みんな色んなプレゼント持ってきたんだなぁ」

 

 そして、誕生日パーティ終盤。団員の全員がプレゼント渡すまたは実行する中で、グランは驚いていた。何せ、全団員が今ここに揃っているのだから。

 

「明日から俺の装備えぐい事になりそう」

 

「そうだね……確かにガチャガチャしてそう」

 

 ブローチやアクセサリー類が破格的に多かった。デザインが被ることがなかったのがほぼ奇跡なのだが、しかしそれでも首元にかかる負担は凄まじくなるだろうと言わんばかりに主に首にアクセサリー類が着けられていた。

 勿論手首や足首にも大量についていた。

 

「それに、武器まで貰っちゃって……」

 

「一応使えるけど、お守り程度ってみんな言ってたね」

 

「それにしても多い、武器を大量装備できるジョブとかないかな」

 

 全部使うつもりなのだろうか、とクビラは内心疑問に思っていた。実際やりそうなのがグランなのだが、グランでも全部使いこなせなさそうというのが正直な感想である。

 

「いやぁ、流石にあんまり無茶したらいけないと思う」

 

「あ、やっぱり?」

 

「そうだよ?」

 

「まぁ案外やったらできる可能性もあるから……いいのいいの!」

 

 渡された数々の武器を背負いながら、グランは軽快に笑っていた。ちなみに今の装備は、大量にアクセサリー類と武器を装備している変人にしか見えない装備である。

 

「……重くないの?」

 

「この程度なら鍛えてるし大丈夫だけど?」

 

「たまに心配になるくらい無茶するからね……団長は」

 

 心配するクビラ、その心配にグランは頬を掻く。彼からしてみれば、本当に無茶はしていないのだ。旅に出る前に散々鍛えて、旅に出てからも散々鍛えられているので、武器の10や20は簡単に背負えてしまうのだ。

 

「……それで、クビラのプレゼントって……ここの温泉のこと?」

 

「ううん、これは私だけじゃなくて……団員みんなで考えたプレゼントみたいなものだもん」

 

「じゃあ、クビラ個人からのプレゼントは?」

 

「ふふ……はい、これ」

 

 クビラが渡してきたのは、袋に入った黄色い粉だった。グランはふと首を傾げたが、首を傾げてもわからないものはわからないのであった。

 

「……これなに?」

 

「ここの温泉……それを再現した粉だよ」

 

「へぇ……騎空艇でも手軽に味わえるってことか」

 

「まぁ、まだ試作段階だから……ちょっとしか量を作れなかったけどね……でも、多分それで1回分くらいだと思う」

 

「ありがとうクビラ、大切に使わせてもらうよ」

 

 粉を、懐にしまうグラン。クビラはそれが嬉しかったのか、ニコニコと微笑んでいるのだった。

 

「にしても……どうしようかなここ……話聞く限り、グランサイファー持ちなんでしょ?」

 

「そうだね、私達が解決したから……一応今は私たちのもの……って事になるのかな?」

 

「でも俺達が頻繁に戻ってこれるってわけてもないからなぁ……」

 

 管理方法に少し頭を悩ませるグラン。そして、ここがバルツ公国だということを思い出して、ふと名案が浮かんでいた。いや、妙案と言うべきか。

 

「ザガ大公に話をつけよう」

 

「え、いいのそれ?」

 

「いいのいいの、俺達が掘り当てたんだから俺達が信頼できる人に管理任せてもらうよ……俺達ずっとこの空域にいられるわけじゃないしな」

 

「確かに……そうだけど……」

 

 ザガ大公という信頼出来る人物がいるので、グランはそちらに温泉の管理を任せようという話になる。自分では話が進まない可能性もあるので、こういう話の場合に出てくる資金面の問題を解決するために何人か団員を連れていくことにもなっている。

 

「んじゃ、今日はもう寝ようか」

 

「そうだね、おやすみ団長」

 

「おやすみ、クビラ」

 

 パーティとはいえ、男女混合なのだ。風呂の時は水着を着用していたが、寝る時は部屋を別にしてあるため、そのままクビラとグランは男女別の部屋へと向かっていく。

 この日、グランは最高の誕生日を迎えられたことを心から喜びながら眠りにつこうとして……朝まで興奮で寝られないのであった。




また次回から話戻ります、不定期的に長編やろうかな…
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