ぐらさい日記   作:長之助

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南南西の守護神、そんなにジロジロ見たいのかの?

「こんにちは、今回のゲストはアニラさんです」

 

「よろし━━━」

 

「お役目マント外してもええんやで?」

 

「なぜ急に言葉遣いが変わるのじゃ……まぁそうじゃの、そこまで寒くもないしのう。今回限り、脱がしてもらうとするかの」

 

 アニラは、そう言われて羽織っているマントを外す。そして畳んでから荷物置きの籠の中に丁寧に置いてから再びグランに向き直る。

 

「改めて……南南西の守護神、アニラじゃ」

 

「アンチラが申年、マキラが酉年、ヴァジラが戌年……で、アニラは未年の十二神将……ということで1つ」

 

「なんじゃ?」

 

 指を1本だけ立てて、一つ目の質問ということを明確に表すようにしてグランはアニラに問掛ける。

 

「羊の肉って食べていいの?」

 

「ううむ……まぁ、食べる訳にもいかんじゃろうて」

 

「まぁ、流石にまずいもんね……んじゃあ話題変えるためにもう一つ質問」

 

「ほう」

 

 そこから二本目の指を立ててさらにグランは質問を重ねていく。

 

「アニラのラム肉を堪能させてもらっても……落ちるかぁ!!」

 

 質問をした直後に、グランはその場から飛んでアニラと自分を挟んでいたテーブルの上に着地する。アニラは驚きながらもその場で拍手をしてしまっていた。

 勿論、先程までグランがいた場所は床が開いている。

 

「必死じゃの……」

 

「リーシャが落とす感覚が最近掴めてきた気がする」

 

「それ覚えたら駄目なやつではないかの」

 

「まぁまぁ、騎空士になれば10回くらいは船とか自分が落下するから慣れておいて損は無いよ」

 

「普通はそこまで落ちないようにするもんじゃがな……」

 

 苦笑するアニラに対して、グランは小さいダンボール箱を取り出すいつも通りのお便りダンボール箱である。

 

「そういうもんかな?とりあえずお便り行ってみようか……一つ目『団長君の膝枕は柔らかいですか』……マキラだね」

 

「なぜ膝枕してたことを知っておる……」

 

「どっかで見てたんじゃない?偶に視線感じるし」

 

「……すまぬ、それについては返答は出来ぬ…」

 

 顔を真っ赤にするアニラに対して、グランは何かを感じとってそのまま2通目を探し始める。そして、取り出してから読み始める。

 

「2つ目『アニラお姉ちゃんのあのモコモコって何で出来てるの?』」

 

「毛ではないのか?」

 

「なんの毛か、って事じゃない?」

 

「……多分羊の毛じゃないのかのう?」

 

「暖かい?」

 

「少なくともこんな格好を外で出来ておるんじゃし、かなり暖かいと思うのじゃ」

 

「ちょっと後で堪能させてよ」

 

「構わんのじゃ」

 

 アニラは少し言葉の噛み合わなさを感じ取ったが、今はそこを追求するべきではないので何も言わないことにした。

 グランはそのまま三通目のお便りを手に取る。

 

「3つ目『後で羊の1匹を貸してください、マキラ』ってこれ質問お便りっていうかただのお手紙…」

 

「別に構わんがの、嫌がらん限りは」

 

「割と人懐っこいよね、アニラの羊って」

 

「団長殿も、抱きしめてみるか?」

 

「後でね、纏めて一緒に」

 

「欲張りじゃのう、しかし気持ちは分からんでもないのじゃ」

 

 グランは内心アニラは絶対勘違いしていると考えていた。グランはアニラと纏めて、アニラは呼び出した大量の羊をまとめて抱きしめるものだとそれぞれ考えているのだ。

 

「というわけでお便り紹介が終わった所で、談笑と洒落こもうか」

 

「そう言えば、最近新たに色々団員が入ってきたのう」

 

「そうだね、星晶獣なんかもいるし」

 

「星晶獣と言えば……多腕の……シヴァ、と言ったか?」

 

 アニラが、最近入ってきた新団員についての話題を振る。その中でも、本当につい最近仲間になったシヴァという人物の名を上げる。

 

「彼がどうしたの?」

 

「いやぁ……前に一緒になることがあっての、少し話したんじゃが…」

 

「天然だったでしょ?」

 

「いや、神秘的な雰囲気があるのう……と言いたかったんじゃが……」

 

「天然って言っても怒らないよ、むしろどんな意味か聞いてくるし」

 

「悪意がないように言わねばいけないのではないのかの?」

 

「どうにも、悪意事態は本人が感じ取れるみたいでね。星晶獣みんな感情に対してすごく感じ取れるみたいなんだよね」

 

 団内に居る星晶獣達のことを思い出しながら、グランはウンウンと頷いていた。アニラも目にはするが、余り関われないためどのような人物達かは知らないのだ。

 

「他に仲良くなった人とかいる?」

 

「そうじゃのう……同じ槍使いのよしみで、ヘルエス殿やゼタ殿と良くしてもらってるのう」

 

「なるほどねぇ、確かに同じ槍使いだし仲良くなることは容易か……」

 

「まぁ、船の中じゃとあまり激しく特訓出来んのが残念じゃが」

 

「まぁぶっ飛んじゃうしね」

 

 この騎空艇の中にいるメンバーの中には、グランサイファーですらも破壊できてしまうほどの強者がいるのだ。そのせいか、軽い特訓や試合などは構わないのだが、船を破壊する程にやる気を出していけないという制限もある。

 

「あの制度、ラカム殿が作ったのかの?」

 

「いや、俺……まぁ理由としては色々あるんだけどね」

 

「色々…?船の中で特訓して船が壊れた、という話があったからではないのか?」

 

「いや、まぁそれもあるけど……『特訓で本気出すのはダメ』じゃなくて『本気出すのはダメ』っていう言い方をしてるのが理由だよ」

 

「むー…?」

 

 よく分かっていないのか、アニラは首を傾げながら困惑してる表情を見せる。それを感じとったグランは、紙とペンを取り出してサラサラと書き込んでいきながら説明をしていく。

 

「例えば、清潔に保たれてるからそんなこと絶対にありえないんだけど、害虫が発生したとする」

 

「うむ」

 

「そこにサラーサを呼んだ団員がいました。サラーサは頼まれたので『本気で』虫を潰しました。さてどうなる?」

 

「サラーサ殿はとても大きな剛力の持ち主……となると…」

 

 少しアニラは想像する。そこには、害虫1匹のためにメテオスラストを打つサラーサの姿があった。そんなことをすれば、グランサイファーは一溜りもなくなってしまう。

 

「……なるほど、確かに『本気出すのがダメ』じゃな」

 

「そういう事。もし本気出した人がいた場合は、始末書書いてもらいます。勿論、それは俺も例外ではない訳で」

 

「修理の費用はどうするのじゃ?」

 

「団のお金から出します」

 

 ふむふむと、納得しながらアニラは頭を縦に降って頷いていた。そして、恐る恐る手を挙げながらグランに尋ねる。

 

「……因みに、始末書を書いた人物はいるのかの?名前までは言わなくとも良いが」

 

「もちろん居るよ、何人か」

 

「ふむ、妾も気をつけねばならんのう……しかし、そんな制限があると魔物と遭遇した時はちと辛いのではないか?」

 

 騎空艇で飛んでいる時でも、飛行する魔物の群れと遭遇してしまう場合は、グランサイファーではよくある事である。なるべく避ける時もあるが、やはり見つかってしまえば襲われる事も多々あるのだ。

 

「流石にそこはルール適応外だよ。けどまぁ、出来る限り壊さないで貰えるとありがたいかな……だから魔法や銃なんか持ってる人は、結構手伝って欲しいかも」

 

「なるほど……近接武器よりもそちらの方が船の上で闘う上で良いのか」

 

「まぁ……魔法とかで闘うにしても限度っていうものがあるけど」

 

「……と、いうと?」

 

「……勢い余って船が爆破される時ある、別に魔物と戦って出来るキズだし良いんだけど……」

 

「……」

 

 ふと、1人だけ思い当たる人物がアニラの頭の中に思い描かれる。クラリスである。彼女は、調子が良くなってくると手当たり次第に分解の錬金術を放ち始めるのだ。

 無論、仲間がいる方向に打たないだけマシなのだが、前に襲われた時に甲板に人1人が落ちてしまいそうな程には大きな穴が空いていたのだ。

 

「……修理費用が嵩むとか、そういうのは気にならないんだよ。そういうの気にしてたらダメだし」

 

「じゃの」

 

「けど……船落ちる可能性だってあるからね……だから船飛ばしてる時とか魔物の群れとぶつかりたくないなぁ、と思ってヒヤヒヤしてる……」

 

 苦笑するアニラ。言いたいことも、今のグランの気持ちもよく分かってしまうのがやはり仲間だということだろうか。と思っていたのだが、突如グランは笑みを浮かべて立ち上がる。

 

「けどもうそんに心配はない!!何せ、ここには頼れる仲間がいるから壊される心配も特に無くなった!!」

 

「そう言えば……最近、アテナという名の星晶獣と親密になったという話を聞いておるが……」

 

「ふふふ……基本的に星晶獣がいる場所、住処と決めた場所は星晶獣の加護が与えられるんだ……つまり!!加護だらけのこの船は安全ということSA☆!!」

 

 守護の女神アテナ、ユグドラシル、ティアマト、サンダルフォン、アザゼル、ゾーイ……この船には様々な星晶獣が乗り込んでいる。それら全ての加護をグランサイファーが受け継いでいるとなると、確かにこの船はそう簡単に落とせやしないのだろう。

 

「そもそも、本気出したらだめの制限なんて、ほとんど息してないしね!船が頑丈になりすぎて困っちゃうよ全く!!」

 

 鼻が伸びる、とはこの事なのだろうかと思う程にグランは声高々として笑っていた。

 

「……しかし、それでも壊れるのじゃろ?」

 

「……うん、色々星晶獣がいて大概の攻撃で怯みすらしなくなってるのは本当だけどさ……防御貫通はダメなんだ…」

 

 防御無視の攻撃というのはいくらでもこの空には溢れている。それを考えると、いくら硬さがあると言ってもその程度としか言い様がないのだ。

 

「まぁ、どうしようもない時はほんとにどうしようも無いからのう。そこは、操舵手に任せるしかないのじゃ」

 

「ラカムの腕は全空一なんだ……誰にも負けるわけがないんだ……」

 

 壊されることに何かトラウマでもあるのか、グランは顔を両手で隠して俯いていた。乙女か何かか、とアニラは心の中で突っ込んでいた。

 

「……ま、まぁまぁ…そんなに気を落とさんで良いじゃろ、どうせならこれが終わり次第2人で街に出かけるかの?」

 

「っ!!いく!なんだったら朝までずっと付き合ってくれ━━━」

 

 グランの下にある床が開く。既に慣れ切っているグランは避けようとその場をジャンプしようとする。

 しかし、同時に開いた天井から大きめの金属の塊が降ってくる。全くそちらの方向を予期していなかったグランの背中に、その金属の塊がクリーンヒットする。

 

「びゃ゙ぐれ゙ん゙!!」

 

 謎の声を発しながら、グランは落下して行った。鉄の塊は回収出来るようになっているのか、ロープで括りつけられていてゆっくりと上に戻されていっていた。動きが手作業で戻している風では無かったので、機械か何かで戻しているのだろう。

 

「むぅ……しょうがないのう、また後で…と言うか、何故落とされたのじゃ?」

 

「未成年は夜までに帰るようにしてください。団長という立場であっても、それは変えられません」

 

「なるほどのう」

 

 突然現れたリーシャに驚くことも無く、アニラは溜息をつきながら部屋から出ていく。朝までコースでも、別に構わないと言うのが彼女の本音なのだが、今この場で言ったところでしょうがない話なのである。

 

「……」

 

 ひとまず、グランの部屋に向かおうと心に決めた後にアニラはそのままグランの部屋に直行するのであった。




十二神将全員集合!っていい言葉ですよね
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