ぐらさい日記   作:長之助

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最近諸事情でほんとに不定期になってきたので、多分これからもっと不定期になるかもしれないです


必中の遊撃手、練習を思い出して?

「本日のゲストはザーリリャオーさんです」

 

「どうも、長いと感じたのならリャオと呼んでください」

 

「……ん?」

 

 

 丁寧に挨拶を行うザーリリャオー。その事にグランは、妙な違和感を抱いていた。

 

「緊張していないの?」

 

「へ? まぁ、はい」

 

 ザーリリャオーは、本番に弱いタイプである。特に、1度でもミスできないという状況になると本当に緊張しきって、実力をまともに出せないことが多いのだ。

 

「ふむ……じゃあ、罰ゲームを付けよう」

 

「なぜ!?」

 

「いや、その方がザーリリャオーも本気出せるでしょ?」

 

「ほ、本気って……というか、一体どんな罰ゲームをさせるつもりなんですか」

 

「うーん、そうだなぁ……」

 

 少し考え込むグラン。罰ゲームが何なのかが分からないし、射撃ではなく、こういったトークで罰ゲームを決めるのはなかなか難しいのではないかと、少しだけザーリリャオーは困惑していた。

 

「よし、決めた。『1度噛む事に恥ずかしい過去を暴露していく』でいこう」

 

「いやいやいや! なんですかその罰ゲーム!? というか、恥ずかしい過去なんて暴露しませんからね!?」

 

「いや、するぞ」

 

「誰が!?」

 

「ミラオルが」

 

「そういう事よ、リャオ」

 

 突如としてグランの背中からよじ登ってきたのは、ミラオルだった。いつからそこにいたのか分からないが、ミラオルはグランの協力者だということがわかると、ザーリリャオーはグランたちの言っていることが本気だとわかり、途端に緊張し始めていた。

 

「因みに1つ暴露される事に、ザーリリャオーの後にやるミラオルでも同じことが起きるぞ」

 

「えっ」

 

 今言われたことは、ミラオルですら全くの初耳だったのだが……グランはそのまま続けていく。何事も無かったかのようにお便りを取り出して、何事も無かったかのようにそのままお便りを読み上げていく。

 

「1通目『練習だと分かっていたら、どんな事でも失敗しない自信はありますか?』」

 

「当たり前じゃないですか」

 

 ふふん、と胸を貼るザーリリャオー。しかし、グランの隣にいたミラオルは表情を一切変えないままに、とあることを口走っていた。

 

「じゃあ、団長のズボンのベルトを狙い撃ちしなさい。外したら団長に刺さるか的じゃないところに刺さるかの二択よ」

 

「はい!?」

 

「じゃあその流れで、ベルトがちぎれてズボンがずり落ちたら成功という条件をつけることにしよう 」

 

「ちょ、ほんとに2人して何言ってるんですか!?」

 

 矢を外して罰ゲームを受けるか、覚悟を決めてグランのパンツを見るか……ザーリリャオーは2つ二一つの選択を迫られていた。ただでさえ罰ゲームが存在しているというのに、このままでは異性の下着を見ることになってしまうと、顔を真っ赤にしていた。

 

「う、うぅ……!」

 

「まぁいじるのはこれくらいにして……本番じゃなかったら、リャオは本当に百発百中よ……よほど相手が高速で動いていない限りはね」

 

 ザーリリャオーをいじるのをやめて、ミラオルはザーリリャオーに正当な評価を下す。緊張することによるマイナスもあるが、それを除けばザーリリャオーはミラオルも認める射手になるのだ。

 

「ほー……じゃあ今度無茶苦茶早いの狙わせてみよっか」

 

「だいぶえげつないこと言ってる自覚あるのかしら、この団長は」

 

 呆れながらため息を吐くミラオル。しかし、それくらいのことではまだ動じることは無いのか、ザーリリャオーは余裕そうな笑みを浮かべていた。

 

「……ほんとに余裕そうだな、ザーリリャオー」

 

「そ、そうですか? けど、ほんとにそれくらいなら失敗することは本当に低いはずですけどね」

 

 自慢のボウガン。見せつけるように取りだしながら、ザーリリャオーはやはり自慢するかのように、自分では今の条件は簡単にクリア出来る……と伝えるかのように言葉と行動でそれらを示していた。

 

「どのくらいまでなら狙えるわけ?」

 

「そうですね……宙を飛んでる虫や、虫型の魔物クラスでもまだ狙えますね……強いて言うなら、本当に虫を狙う場合だと虫そのものが見えなくて対象が狙えない……なんてことも有り得なくは無いですけど……」

 

 グランはこれにはさすがに納得していた。対象が見えない中で射撃をさせるのは、さすがに愚か者のする事である。よって、流石にグランはザーリリャオーの相手に虫を選ぶことはないだろう。

 

「じゃあ轟速のGの相手は出来そう?」

 

「……え、いるんですか?」

 

「偶に」

 

「掃除しましょうよ……」

 

「いや……そもそもどこから入ってきてるかも分からないのに……」

 

 と、ここまで来て話がズレてきていることに気づいたので、三人は一旦話を戻すために別のお便りを手に取っていた。これ以上あの虫の話をするのは色々と都合が悪いのだ。

 

「さて、2通目と行きましょう。『本当に男ですか?』」

 

「……」

 

「……リャオ、もしかして貴方……」

 

「なんでそう思われてるのか、謎で仕方ないんですよね……」

 

「何でかしらね……」

 

 ザーリリャオーの性別。確かにハーヴィン、特に髭が生えていない男性と女性の区別は、基本的にかなりしづらい。成人した男性のハーヴィンは声が比較的低いので、そこで判別することも可能だが……声が高い男性ともなると、意外と判別がしづらいのだ。

 

「そんなに分かりづらいもんですかね」

 

「極端な格好をしたらわかりやすいのでしょうけど……」

 

「ミラオルは見ただけで女の子って分かるもんな、なんかもう雰囲気が」

 

「そ、そう? 私ってそんなに女の子らしく見えてる?」

 

 満更でもなさそうなミラオル。しかし、グランは内心こうも考えていた。『でもツッコミ役として見るとあんまり女の子っぽいツッコミしないよね』と。女の子っぽいツッコミというのが全く意味がわからないが、とりあえずグランはミラオルを女性として認識していた。

 

「まぁ大丈夫でしょ、俺はちゃんと把握してるから」

 

「ほ、ほんとですか?」

 

「初見で男か女かの判別なんて簡単に付けられる……あと意外とハーヴィンは分かりやすい。なんか、ほんとにわかりやすい格好してるの多いし」

 

「……あれ? その言い方だとまるで、他の種族がわかりづらいと言っているような……」

 

「……エルーン、声を聞くまでエルーンはたまに分からない時がある」

 

「え……」

 

「何でよ……わかりやすいと思うんだけど……?」

 

 横腹脇出し背中出し、女性であれば胸が横から見えるし男性ならば横腹の筋肉がチラリズムしている。はっきりと言えば、そこで判別できる分ハーヴィンよりも圧倒的にわかりやすいはずなのだ。

 

「……エルーンの男性陣ってさ、何人か女の子みたいな顔してるの多いし……格好は女性と変わらないしで……判断の付けようがない時がある」

 

「あぁ……」

 

 余程の理由がない限り男装する女性はいないし、女装する男性はいない。その辺の事を考えてみれば、まずハーヴィンは格好が男性が女性かで結構区別がつきやすいので、案外わかる。だが男女ともにほとんど格好が同じエルーンではわかりづらい時がある。グランはそう言っているのだ。

 

「……もういっそ全員メーテラとかヘルエスとかユエルみたいな格好になって?」

 

「流石にそれはやりすぎでは……」

 

 そこまで行くと、最早エルーン関係ないレベルである。そして、若干グランの願望も入っているのは明白である。

 

「……さて、話がまたそれてきたところで3通目。『練習だと思ってて失敗したことはありますか?』」

 

「私が知る限りないわよ」

 

「うーん……覚えがないですけど、多分気が緩みすぎてたらあるかも……くらいかと」

 

「気が緩みすぎてたらって……何、そんな事あるの?」

 

「夏のアウギュステバカンスの時とか……結構……」

 

 少し照れながらも、ザーリリャオーは語る。それに対してミラオルはため息を吐いて呆れていた。

 

「リャオ……貴方……水着になれる程度ではしゃぎ過ぎなのよ。一応傭兵なのだから、もっと冷静にならないとダメよ」

 

「ミラオル、俺はお前が水着選びで何時間も浪費した挙句、全部買ってしかも前日楽しみすぎて全く寝れなかったことを知っているぞ」

 

 グランはボソリと語る。呆れた表情のまま器用に顔を赤くするミラオル。折角かっこうつけたというのに、グランのおかげで全く格好がつかなかったので、すごく恥ずかしい思いをしていた。

 

「……とりあえず、今のところは失敗したことはないってことか」

 

「まぁそうなりますね」

 

「失敗かぁ……」

 

 ふと、グランは銃工房三姉妹のことを思い出していた。3人とも銃が武器だが、どこかで失敗したことがあるのだろうかと考えたのだ。

 

「……まぁ俺はよく失敗するけどね」

 

「え、そうなの?」

 

「意外です……」

 

「いやぁ……頭ぶち抜こうとして首ぶち抜いたり胸ぶち抜いたりしちゃってさぁ」

 

「おっとそれ以上はいけない」

 

 この番組は子供も見ているのだ、騎空士あるあるのグロい話はまた別の大人な番組でいえば良いだろう。今は別にやらなくてもいいのだ。

 

「……というわけで、今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました、また次回この番組でお会いしましょうさようなら」

 

「……ほっ」

 

 自分が今回標的にされてなかったので、少しだけ安心するミラオル。しかし、グランはそんな様子のミラオルを逃すことは無かった。

 

「次回はミラオル! 恥ずかしい思いを同じように合わせてやるからな!!」

 

「そんな……!」

 

 そうして番組が終わる。ミラオルは次回までに自分がどうやって恥ずかしがられる前に、グランを辱めるかの方法を考えて先攻を取れるように準備を進めておくのであった。

 尚、グランは例え辱められるようなことを言われても大体『もっと来い!』と返事を返すので、全く意味がないと分かるのはまた別の話なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんとにやるんですか!?」

 

「大丈夫大丈夫! 俺のベルトじゃなくて頭のリンゴ撃ち抜いてくれればいいから! それに、使う矢は子供が遊ぶ時に使う壁にひっつくあれだし!!」

 

「撃ち抜けないんですけど!?」

 

「当たればよし!」

 

「わ、分かりました……そこだ!!」

 

「はうっ!?」

 

 後日、グランの頭のリンゴを当てればいいとだけしてザーリリャオーは、玩具のボウガンに着いている壁にひっつく矢で、グランの頭のリンゴを撃ち抜こうとした。

 しかし、いつもの矢と全く別の玩具の矢なのでイマイチ勝手がわからず、放たれた矢はグランの股関節のちょっとした辺りのアソコにぶち当たっていた。

 たとえ玩具でも、当たったら痛いものくらいは存在している。グランは、偶然にもそれを証明してしまうのであった。




ザーリリャオーにすっごいランジェリー着せたい

偶には長編とか書いて欲しい

  • はい(ギャグノリ)
  • はい(シリアス)
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