ぐらさい日記   作:長之助

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ガチャにいるキャラは名前だけ出てきます。
持ってるキャラクターはちゃんと出す予定です。


北北西の守護神、道はどこに出来るの?

「な、なんだか照れるな……」

 

「て事でクビラさんに来て頂きました」

 

「だ、団長?これ本当にやらないといけない?」

 

「無作為の結果、こうなったので……というか別に拒否することも出来たんだから、拒否してもよかったんだよ?」

 

「こ、断れるわけないじゃん……団長の頼みだし……」

 

少しだけ顔を赤くしながら、クビラは目を逸らして俯いていた。その仕草自体はとても可愛いが、後ろにあるクビラの得物が気になってしょうがなかったので、あまり見ていなかった。

 

「……あ、1ついい?」

 

「え、何?」

 

「終わるまでネガティブな事を言ったら、その数分晩御飯にお肉が出てきます」

 

「……豚肉?」

 

「いや、牛肉」

 

「私にとってはご馳走だよ……いや、別に食べたらダメみたいなのはないと思うけどさ……」

 

「まぁたまに豚肉混ぜるかもしれないけど」

 

「それは止めて……」

 

グランの肩を掴んで、クビラが精一杯懇願する。テーブル越しなので、腰を曲げないと手が届かない距離なのだが、その際にクビラのドラフ的特徴がいい感じにいい感じしている、とグランは全くない語彙力で感想を心の中で述べていた。

 

「まぁ、流石に冗談」

 

「ほっ……」

 

「って訳で……とりあえず色々聞いてから、お便りに今回は移っていこうかと」

 

「何か聞きたいことでもあるの?」

 

「まぁ、その後ろの武器かな……」

 

「あぁ、猪突・上宝沁金ノ撃槍の事?」

 

「ちょと……なんて?」

 

「猪突・上宝沁金ノ撃槍」

 

「……ごめん、覚えられない」

 

「うん、正直覚えられないと思う」

 

部屋の中の機材を壊さないように軽く振り回しながら、クビラはあっけらかんと答える。本人も、かなり覚えにくい名前だと思っているようだ。

 

「軽く振り回してるけどさ、それ本当は滅茶苦茶重いんだよね?」

 

「んー……というより、重さを自由に変えられるから重さなんて言ってもそこまで差がないと思う」

 

「重さを自由に変えられるって結構やばいよね、破壊力はかなり有るし」

 

「うーん、団長の方がやばい気がするけど……」

 

「何で皆俺をそんなに持ち上げるの?」

 

ちょっと疑問を持って、グランは首を傾げる。彼からしてみれば、自分をそこまで持ち上げてくれることは嬉しいが、あまり自分が強いという自覚は無いようだ。

 

「団長が謙虚すぎるだけなんじゃ……」

 

「十天衆とか、カリオストロとか、ジークフリートとか、ガンダゴウザとか……見てたら俺なんてまだまだ弱すぎる部類だよ。というか、これでも1部なんだけど」

 

「この団って多分今いる人達だけで世界掌握出来そうだよね、やらないだろうけど」

 

「いやぁ、そんなこと出来るほどこの世界は甘くないよ」

 

「いや、結構簡単に出来ちゃいそうなんだけど……」

 

グランはサラッと答えるが、クビラからしてみれば何故ここまで謙虚になるのかよく分かっていなかった。グランより強い人物が大量にいるのが原因なのだろうが。

 

「……そんなに強いの?」

 

「強いも強いよ、例えばジークフリートなんてその内車輪のように回転しながら切ってくるんじゃないかな」

 

「横回転?」

 

「いや縦回転で、一国の軍隊相手にできるんだしいけるでしょ」

 

本来、どれだけ強くても人間は一国の軍隊を相手にして無事なはずが無いのだが、ジークフリートは体力の消耗以外では特に目立ったダメージは見受けられなかった。

とは言うものの、グランもそれを成し得るのではないのか?とクビラは少し疑問に思っていた。

 

「その人本当に人間?」

 

「いや、正直人間だと思うけど強すぎてやばい。前に剣持たせてもらったけど全然持ち上がらないくらい重かった」

 

「えぇ……」

 

「それに、俺ヨダルラーハにも勝てないんだよね」

 

「あぁ、あのハーヴィンのお爺さんだよね」

 

茶色の髪に茶色の髭、ハーヴィンという種族でありながらもその強さは折り紙付きという程の剣士、それがヨダルラーハである。

 

「すんごい手数で攻めてくるんだよね。こっちは防御で手いっぱいになる」

 

「へぇー……」

 

「ヨダルラーハの本気の連撃を防げれば、帝国とかが使いそうなガトリング砲とか全部捌けそうな気がする」

 

「それをしたら、多分団長は人間を超えた何かになってると思うよ、確実に」

 

「そんな過剰に褒めるな褒めるな、照れちゃう」

 

「今更そんな柄でもないでしょ?」

 

「バレたか……」

 

顔を両手で隠すグラン。しかし、クビラが言い放つと途端に手を退けてそこから真顔が飛び出してくる。真顔な事に少し驚いたが、そのままクビラは談笑を続けていく。

 

「他にもそんな人っているの?」

 

「十天衆の皆は……まぁ当然のことながら全員強いから置いておくとして、それ以外だと……イングヴェイとかかな」

 

「あの機械の人?」

 

「そ、あの機械の腕の渋いイケメン……本人も滅茶苦茶強いからね」

 

「ちょっと手合わせしたいかな……」

 

「いやぁ、この団って強いやつはホントみんな俺より強いからねぇ」

 

嬉しそうに笑いながら、グランは団の者達を語っていく。それがクビラにとっては少し羨ましかった。まるで自分の事のように、嬉しそうに語ってくれる……という事が。

 

「でもさ、この団にいる十天衆って1度は団長と手合わせしたんでしょう?つまり、団長に勝てる人達は十天衆より強いってこと?」

 

「んー……というより、十天衆と戦うときは大概天星器を使っての戦いだったからなぁ……あれを使って勝てるってことは、つまり素だと負ける可能性が高いかも」

 

「そんなに強いんだ……」

 

「俺だって、負けるつもりは毛頭ないから特訓してるけどね?それでも流石に十天衆と言うべきか……凄まじい強さなんだよね。1人で一空域くらいは支配できると思うよ」

 

十天衆の強さを語りながら、グランは強く頷いていた。道具ありきとはいえ、そんな者達に勝てるのはやはり恐ろしく強いじゃないか、と内心でクビラは突っ込んでいた。

 

「あ、そう言えば前に十天衆のシエテさんとジークフリートさんが戦った〜みたいな話してたけど」

 

「あぁ、ぶっちゃけあれ多分互角だよ?本当に……」

 

「と言うと?」

 

「単純に戦い方が全然違うからね、あの二人。シエテは自分の力で手数を補っていくタイプだし、ジークフリートはあの剣1本で全て薙ぎ払っていくタイプだし」

 

「手数と力が互角なんだ?」

 

「んー……シエテがどんな剣を模倣して生み出したとしても、単純な腕力の差でジークフリートが上回ってるみたいなんだよね。

でも、シエテは素早く動いてすかさず決めに行くタイプ。まぁジークフリートの持ってる剣みたいな大剣を振り回したりすることもあるけど……そっちの方が、しょうに合ってるとかなんとか」

 

「ふーん……拮抗してるんだね」

 

「そうなんだよね……まぁ十天衆に近い実力を持ってるジークフリートが強すぎるって話なんだけど」

 

そう言って目を瞑るグラン。この団にも、十天衆に近しい実力を持つ団員はいるのだ。

十天衆が最強とは言っても、それと同等の力を持つものは必ずどこかに居るということなのだろうか?とふと疑問に思うグランだった。

 

「十天衆と言えば……最近ソーンさんと仲がいいんだよね」

 

「へぇ、馴れ初めは?」

 

「んー……1人で朝練してる所を見てたみたいでね、それで声をかけられたとかそんな感じ。

あの人弓使いだから教えられることは少ないけど、一緒に組むことがあった時のために……って事で最近はよく特訓も兼ねて一緒にいるよ」

 

「良きかな良きかな……」

 

まるでおじいさんのように頷きながら微笑むグラン。その反応に苦笑しながらも、お茶を飲んで一息ついてからクビラは続けていく。

 

「そのおかげかな…最近は、色んな人と組んでどんな癖があるかって言うのを、よく見たりするようになったかも」

 

「最近の発見は?」

 

「んー……秘密」

 

「へ?まぁ、いいんだけどね」

 

クビラは楽しく笑いながら、誤魔化していた。実は思いついた話はクラリスの事である。ただ、よくグランと一緒にいる時はグランのことをよく見ているという話なのだが、これを言うのは少しクラリスに悪いような気がしたからだ。

 

「あ、そうだ。クビラって温泉が好きなんだよね?」

 

「へ?好きだけど……どこかいい温泉でも見つかったの?」

 

「いや、単純にザンクティンゼルに温泉1個だけあるから行こうって話」

 

「へー……団長の故郷だよね?温泉あるんだ」

 

「まぁ、村の人達が集まって一緒に体洗ったりする場だから……24時間365日ずっと混浴だけど」

 

グランは体を捻りながら床をジャンプする。床が開く気配がしたからだ。そして前回は、上から落ちてきた物体に反応できずに落とされたため、今回はそれを回避するために体を捻って上を見るようにしたのだ。

だが、今回は上から物が降ってくることは無かった。降ってきたのは、1人の星晶獣だった。

 

「我、穢れを浄化せん…!」

 

「あ゛つ゛ッッッッッッッ!!!」

 

突如飛来したシヴァが、グランを抱擁しその体を燃やし始めた。シヴァの炎はただの炎ではなく、穢れを浄化する炎なのだ。よって、殺そうとしない限りは肉体が燃えることがないように調節が可能なものなのである。無論、熱さはちゃんと感じるらしいが。

そして、そのまま燃えながらグランは落下していく。ただ穢れを浄化されているので、穢れを持たない者は触れても大丈夫なので、ちゃんと拾われることだろう。

 

「……だ、団長ー!!生きてるー!?」

 

「生きてるー」

 

下から声が聞こえてくるので、ちゃんと拾われているのだろう。そこに安心したクビラだったが、いつの間にかシヴァがいないことに気づいた。特に目立った用事はないのだが、いつの間にか姿を消すその姿はまるでリーシャのようだと、クビラはふと思ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕ねー、グランって言うのー」

 

「燃やされた結果がこれか……」

 

ビィは、グランの部屋で燃やされた結果のグランを見ながら呆れていた。簡単に言うと、グランは絶賛幼児退行中なのだ。

 

「まさか穢れを浄化された結果……穢れを知る前の子供の頃に戻るなんてのは、オイラも予想外だったぜ……」

 

「えへへー」

 

つぶらな瞳、そして子供のようなその仕草は紛れもない子供そのものである。これで団員に対するセクハラが減ってしまえば、ある意味いいのではないだろうか……とさえ思っていた。

 

「……あぁいや、これはこれで不味いかもなぁ」

 

グランのことを恋愛的な目で見ている女性達から、変な知識を教えこまれたりすれば大変である。そうなると、精神年齢でかなり子供なのに、変な性癖を覚えてしまうかもしれない。

 

「しょうがねぇ、何とかして戻すか」

 

ビィは呆れながらも、グランを元のグランに戻そうと考える。セクハラを行うとは言え、何だかんだ団をまとめていたのは彼だったのだから、幼体化したままではだめだろう。

 

「……セクハラする有能から、セクハラしない無能に変わっちまうって……今度、丁度いい均衡にしてグランをセクハラしないだけの状態にしてもらいてぇなぁ」

 

そう呟くビィだったが、世の中そんなに甘くないことは知っているので、仕方なく戻るために頑張り始めるのであった。




穢れ燃やし担当シヴァさんです。

偶には長編とか書いて欲しい

  • はい(ギャグノリ)
  • はい(シリアス)
  • いいえ

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