ぐらさい日記   作:長之助

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年末のクリスマスタイム

「……」

 

 とある場所にて。そこではベッドに横たわって体のあちこちに包帯を巻き付けているグランがいた。

 そして、その傍には3人の女性がいた。ドラフのナルメアとヒューマンのマギサ、そして錬金術師であるクラリスの3人である。

 

「さすがにこうなるとは予想外だったわ」

 

「ご、ごめんねグランちゃん……」

 

「まさか……私もこうなるとは思ってなかったわ……」

 

「うぐぅ……女として負けた気分……」

 

「俺は人として耐久力に敗北してるがな」

 

 なぜこんな状況になっているのか。それはグランがクラリスに誘われて、彼女の実家に行ったところから話は始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラリス、子供は6人ですよ」

 

「お母様、多すぎだと思います」

 

「男の子3人、女の子3人が出来ればいいぞ。長男次男三男、長女次女三女、兄と弟、姉と妹……組み合わせが完璧だ」

 

「お父様、ちょっと何言ってるかわかんないです」

 

 あまり表情に出ていないが、どうやら娘が男を連れてきて嬉しいのかあまりにも家族の会話としてははっちゃけすぎている内容に、グランですら困惑しきっていた。

 

「あ、あの……」

 

「大丈夫、『娘はやらん』なんて言うことは無いですよ。あなたには恩があるし、なによりも私は既に認めていますからね」

 

「あ、はいありがとうございます」

 

「ちょっ!? 何頷いてるの!?」

 

 つい褒められたせいか、グランは返事をしてしまう。クラリスは顔を真っ赤にしているが、既にクラリスの両親はクラリスとグランは結婚するものだとばかり思っている。

 

「ふふ、とりあえず私達はお赤飯を炊いてこよう」

 

「孫の顔が見られるのも早そうですね」

 

「ちょっ!? 2人とも待って、待ってぇ!!」

 

 クラリスは少し涙目になりながら、両親を追いかけていって部屋から出ていく。1人取り残されたグランは、ふとこの家の探索ついでにトイレを使わせてもらおうと部屋から出ていく。

 別に、この家に来るのはなんだかんだ初めてでは無いのでそのまま向かっていく。だが、その最中。

 

「あら……」

 

「ん、あれ? マギサ? なんでこんなところいるの?」

 

 グランサイファーないであるならばともかく、何故かクラリスの家に入っているマギサ。錬金術師でもないが、なにか錬金術関連で呼ばれたのだろうかと、グランはその場で納得をする。

 

「今いるのはマギサだけ?」

 

「いいえ、とりあえず2人以上の行動をした方がいいと思ったから……ナルメアを連れてきているわ」

 

「グランちゃあああああん!!」

 

「おっ━━━」

 

 グランに勢いよく抱きつくナルメア。その反動でグランはマギサの方に倒れ込んでしまう。だが、そこで安易にT。L〇VEらないのがグランである。

 

「っ……!?」

 

 ドラフ女性の弾力性により、弾け飛ぶようにグランはマギサに突っ込む。しかし、そのドラフ女性と互角の戦いができるマギサもまた、同じ弾力性を持っているのだ。

 つまりどうなるのか? 答えは簡単だ、再度弾かれる。

 

「ぐおおおおお!?」

 

 しかし、ドラフ女性は身長が低い。ナルメアが抱きついた時に起こった反動はグランを少し斜め上にはじき飛ばしていた。だが、身長はヒューマンのマギサの脅威的な驚異の胸囲により上半身だけが下向きに弾かれていた。

 

「あっ……」

 

 そして、グランの体は結果的に勢いよく逆の『く』の字に折り曲げられた。それだけでは無い。上半身はそのまま勢いよく床に叩きつけられ、勢いで下半身は上へと向かう。

 そして、漫画かと思うほどに勢いよく着いた反動は床から天井へとグランをはじき飛ばしていた。

 

「いっ!? たっ!! いっ!!」

 

 そして、まるでゴムボールのように天井と床を弾き飛びながら、グランの体は何度が往復している間に止まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかしい……なんであんなに勢いよく弾け飛んだんだ……幾ら弾力性があっても、揉んだら手が吹き飛んでしまう……」

 

「魔法をかけたからよ、勢いよくぶつかったものを勢いそのままで弾く魔法」

 

「……俺に?」

 

「私とナルメアに」

 

「……」

 

 なんとなくだったが、グランはなぜあそこまで器用に吹き飛んで言っていたのかは理解出来ていた。要するに、ドラフ女性とドラフ女性並の物のポテンシャルが凄かっただけでは無いという事だけだが。

 

「素晴らしかった……」

 

「え、グラン? あれだけの事になってたのに、まさか喜んでるの?」

 

「全治多分1ヶ月くらいだけどすごく喜んでる」

 

「くっ……ウチのがもうちょっと大きかったら……」

 

「大丈夫よ、クラリスちゃんはもっといい所があるんだもの」

 

 ナルメアのフォローは、ナルメアが今回の事件の当人でなければちゃんとしたフォローになっていたのだろうが、グランはふと思った。『いやぁ、流石にそのフォローはフォローにならんよ』と。

 言ったら落ち込む可能性があるので言わないが。

 

「というかマギサは予知夢でこうなること分かったんじゃないの!?」

 

「あら、私の予知夢も万能じゃないのよ」

 

 クラリスからのツッコミがあるが、マギサはこれを華麗に避ける。予知なのに100%とでないというのはよく分からない話だが、当たらない時もあると言われたらクラリスは引かざるを得ないのだ。

 

「だからといって、そんな的中率低かったら予知夢じゃないけどな」

 

「基本100%よ、団長さんが関わると1%未満になるけど」

 

「極端すぎる!!」

 

 最早それは予知と言えるのだろうか、という話だが……グラン以外に関しては基本的に当たるので、全く間違っていないのだ。つまり、マギサがある意味では正論となっている。

 

「やっぱり……胸が大きいと器も大きくなるから、何言っても許されちゃうの……?」

 

「そんなことは無いぞクラリス」

 

「グラン……」

 

 グランから声をかけられて、フォローの1つでも入れてくれるのかと期待するクラリス。そんなクラリスにグランがかけた言葉は、簡単なものだった。

 

「アルルメイヤが言っても多分何言っても許されちゃう雰囲気はある、胸は関係ないさ」

 

「大人の余裕かぁっ!!!」

 

 胸の大きさと言うよりは、単純なお姉様的な余裕が見せるものであるということをクラリスは思い知った。そして、自分ではその境地は到底届かないところにあるのだと言うことも思い知った。

 

「う、うぅ……グランがお姉様好きなのかロリコンなのか分からなくなってきた……」

 

「クラリス、俺がどんな性癖をしているか教えてあげようか?」

 

「ほんと!? ウチに真似できる!?」

 

「エッt」

 

「ウロボロス、あの色情魔食べていいぞ」

 

 瞬間、ぱっくりとカリオストロの呼び出したウロボロスに飲み込まれるグラン。その光景を、全員が目の当たりにしたまま、グランはウロボロスの中へと消えていった。

 

「……し、ししょー!? 何してんの!?」

 

「いや……いきなり全治1ヶ月とか洒落にならんだろ、私情抜きにしても団長がいねぇってのはよ」

 

「食べる方がシャレにならなくない!? と、とりあえず吐き出させて!!」

 

「安心しろ、ウロボロスの体は改造してあんだ……グランの治療用にな」

 

「治療、用……?」

 

 突如現れたカリオストロ。そしてクラリスは気がつけばカリオストロの格好が、ナースの格好だということに気がついた。しかも、太ももを露出させるミニスカナース仕様である。

 

「……ししょー、何そのカッコ」

 

「あ? 物事は形から入らないといけねぇだろ? つまり……今のカリオストロはお医者さんだよ☆」

 

「うっわ」

 

「うっわってなんだようっわって」

 

 太ももを見せつけるようなアングルをするカリオストロに、素で引いているクラリス。ぶっちゃけ元男現同姓のカリオストロの太ももチラは、クラウディアとグランくらいしか引っ掛からない。

 

「……まぁ、しばらくしたら怪我なんて治ってんだろ」

 

「ところでさししょー」

 

「なんだよ」

 

「こんな便利なウロボロス改造案があったのに、どうして今の今まで使わなかったの?」

 

「……」

 

 クラリスの言葉を完全に無視するカリオストロ。それは、安易にしてはいけないことである。案の定、知られたくないことがるのだとクラリスは考えて、ニヤニヤと笑みを浮かび始める。

 

「ししょー、もしかして今まで全然作れてなかったけどようやく作れたとか、そんな話だったりする?」

 

「んな事はねぇよ、ただこれ使うのはあんまりよろしくねぇってだけだ」

 

「そう言っても顔は真っ赤だから説得力ないよ」

 

「んなっ!?」

 

「嘘だよ」

 

 クラリスのニヤニヤ顔に、プツンとくるカリオストロ。「その笑み」にあたる部分が抜けてる→その笑みはクラリスに対する逆襲を考えている時の笑みである。クラリスはそれには気づかない。

 

「よぉーし……お前胸がでかくなりたいんだったな?」

 

「……へ? ど、どうしたの急に」

 

「喜べ、グランサイファー並にでかくしてやるよ……空気の力でな」

 

「そ、そんなに大きくなりたくない! なりたくないから!!」

 

「安心しろ、空気が抜けたら元通りだ……皮膚と筋肉が伸びきって悲惨なことになってるだろうけどな」

 

「代償が大きすぎる!!」

 

 半泣きになりながら、カリオストロに迫られるクラリス。怒らせたらまずいと分かっていても、ついついいじって怒らせてしまう。それがこの錬金術士2人の日常である。

 

「よーし、その代償が嫌なら……今からみっちりお勉強タイムだ。俺に風船みたいに胸膨らませられないように、頑張んだな」

 

「そ、そんなぁ!? あ、待って引っ張らないで!! あ、あ、あー!!!」

 

 カリオストロに奥まで連れていかれるクラリス。その光景を一同は呆然と眺めていて……ふと、ナルメアが気づく。

 

「カリオストロちゃんのウロボロス消えちゃったけど……グランちゃんは?」

 

「……か、返してもらいにいきましょうか」

 

 その後、グランはどうにか怪我が完治してから取り出してもらった。妙に変な匂いを体から発生させていたが、特に気にされることも無く適度な距離を取った生活をされており、何とか支障が無くなるほどに完璧になっていた。

 クリスマス、グランが怪我をしてウロボロスにそれなりに長い間入っていたり、密かにクラリスの家に誘われていた事でちょっと修羅場的な問題が起こったりしたが……グランサイファー内で不和が起こることも無く、そのままグランサイファー毎年恒例年末の大掃除などが開催されるのであった。

 次は、年末年始……年越しである。




クリスマスに間に合わなかったので、特別編の年末年始編と繋げましょう。
ちなみに僕は年始無料ガチャでビカラ当てます、有料ガチャは…石がもうないよ…

偶には長編とか書いて欲しい

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