ぐらさい日記   作:長之助

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天象の風、精霊の御加護に感謝しましょう?

「今回のゲストはペトラさんです」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

 ペトラ、彼女は風祷師という風を読むことが出来る才能の持ち主である。船の上で空の天候をいち早く察知し、船の助けとなる……そういった力の持ち主である。

 

「ペトラは風祷師、空を旅するにおいては重要な天候の察知能力があるんだよね」

 

「はい、皆さんの助けになる……重要な仕事です」

 

「その力はラカムも絶賛してるくらいだからね、天候を読むっていうのは、それだけ凄いことなんだと思うよ」

 

「え、えへへ……」

 

 グランに褒められて悪い気はしないのか、照れ隠しに微笑んでいるペトラ。事実、風の流れを読めるだけで船がどう安全に航行出来るか……いるかいないかで比べれば、いた方が船の生存率は格段に跳ね上がる……そのレベルだろう。

 

「んで、各地の神殿を回ったことで今は精霊の力を使えるようになったと」

 

「そうなんですけど……」

 

 天象の精霊、その力を身に宿すペトラは天候そのものの操作が可能である。雨をふらせたり逆に晴れさせたり……その力だけでも世界をどうにかできてしまう強大な力である。

 ただ、本人はその力で人の助けになることだけしかする気はしないし、その力を褒めちぎられるのはあまり好きではないみたいだが。

 

「けど?」

 

「天候を操ると、どうしてもみなさん私を神様扱いしてきて……少しそれが悩みです。私、そんな大層なものじゃないのに……」

 

「そうだね、神様ってのはろくなのが居ないからね」

 

 思うところがあるのか、グランは神様という存在は好きか嫌いかでいえば親指を立て下に向けるくらいには、嫌いなので真顔で淡々と神をdisっていた。

 

「あ、あの……? グランさん……?」

 

「おっとなんでもない、というわけでペトラにもお便りいっぱい来てるので……読んでいきましょう。1通目『天候を操れると聞きますが、夏に雪降らせたり出来ますか?』」

 

「そういうのは無理ですね……」

 

「無理なの?」

 

「夏に雪は気温的に不可能です」

 

「ということです……ってだけじゃあさすがに早すぎるので、逆に夏に降らせられるものって何かある?」

 

「うーん……初夏なら、ギリギリ雹って所でしょうか……?」

 

「雹……ってあの氷の塊だよね、夏に降らせられるの?」

 

 ごく稀にだが、夏に雹が降ることがある。降られた地域はもう不幸だったという他ないだろう。降ってきた雹は家屋を貫き、鎧も潰す。空から降ってくる巨大な弾丸のようなものだ。

 

「かなり特殊な状況になりますが……はい、一応降ります。ただ……降らせようとは思いませんが……」

 

「飛んでる時に降られたくないなぁ……グランサイファーが穴だらけになりかねないよ」

 

 空を飛んでいる時に振られた場合、ほぼ確実に墜落するだろう。防御手段はいくらかあるかもしれないが、かなり巨大なグランサイファーの都合上全てを守りきるのは難しいだろう。そう『難しい』で済むのだ。

 

「なりかねない……って……ならない可能性があるって事ですか?」

 

「だってここ……星晶獣が乗ってるところだしねぇ」

 

「あぁ……」

 

 シヴァ、グリームニル、ゴッドガードブローディア……少なくともこの3人だけでグランサイファーの大半は守れるだろう。雹が相手という条件をつけたとしても、だ。

 

「それに十天衆もいるし……なんだったらロボミとかシロウとかも……」

 

「……本当にグランサイファーって、魔境ですよね」

 

「それに関しては否定しない……」

 

 戦力過多とはこのことだろう。恐らく今のグランサイファーの戦力は、空の均衡を完全に壊しているクラスである。そして均衡を守る星晶獣すらも仲間として迎え入れているのが恐ろしいところである。

 

「さてさて、そんな話はさておき2通目に行きましょう。『天象の精霊ってどんな見た目の人ですか? イケメンで筋肉質ですか?』ルナールだな」

 

「まぁ……イケメンかどうかはともかくとしても、強い精霊は何かしらそれを見た目て表現しています。アンさんの英霊をイメージしてもらえばわかりやすいかもしれないです」

 

「……あれ? でも俺見た時筋肉ムキムキだったよね、天象精霊」

 

「まぁ、力という原始的かつ生物としてわかりやすい強さの象徴を表すなら……筋肉になるんじゃないですか? 私はその辺り、まだ調べられてないんですけど……」

 

「……まぁ、ゆっくり調べていけばいいと思うよ……うん」

 

 今のペトラの力は、精霊を吸収したことで得た力である。同時に、得たことによって何故か服装がかなりはだけているものになっている。はっきり言えば、ペトラのおへそやあるように見える谷間までバッチリ見えているし、グランはちゃっかり見ている。

 

「……にしても、その格好から着替えないの?」

 

「この服が1番落ち着くんです……」

 

「力が宿ってるからかねぇ……?」

 

「かもしれないですね……未だに少し恥ずかしいですが……」

 

「もっと力を使いこなせるようになったら、もっと凄いことになっ」

 

『なったりして』なんて言おうものなら、恐らく秩序が飛んでくるだろう。直前で察したグランはそのまま口を動かさずに黙ることを選択した。

 秩序が今ので飛んできていたら、終わっていたところである。

 

「……あの、どうかしましたか?」

 

 しばらく黙って、秩序のセンサーに引っかかっていないことを確認してから、グランは再び口を開く。安全だと確信したのは30秒を超えたあたりである。

 

「いや? なんでもないよ、大丈夫大丈夫」

 

「そうですか? なら、いいんですけど……」

 

「さて、では最後の3通目行きましょう。3通目『マギサさんと仲はいいんですか?』」

 

 杖、そして人ではない自分だけの眷属……風祷師と魔女はまた別物だが、それが分からない人は2人は結構似たような立ち位置にいることだろう。

 

「はい! 仲良くさせてもらってます!」

 

「いやぁ、仲良くしているなら大丈夫だね。ぶっちゃけ絡むこと多いでしょ?」

 

「そうですね……案外話があったりしますし、たまにお話を聞いたり聞かせてもらったりしてます」

 

「魔女……とはまた違うけど……まぁ共通点がそれなりに多いもんね」

 

「まだ私は未熟ですから、マギサさんには叶わないんですけどね」

 

 正反対のように見えて共通点はちゃんとある2人。とある一部分の大きさを頭の中でついつい比較しながらも、グランは結局『どちらでも問題ない』と結論づけていた。無論、何がとは言わないが。

 

「……えっと、どうかしましたか? またぼーっとしていますけど……」

 

「いや、ほんとにペトラは純粋だなぁって」

 

「そ、そうですか? えへへ、嬉しいです」

 

「うーん、この反応ほんとに純粋さの塊だ」

 

 自分の頭の中の思考が恥ずかしくなるレベルで、ペトラは純粋である。グランもさすがにペトラでそういうことを考えるのはなるべく控えようと思うのだった、思うだけだった。

 

「……そう言えば、マギサはこの間ハロウィンの格好してたけどペトラってあんまりイタズラするってイメージわかないね」

 

「マギサさんほど大胆にはいけないです……」

 

「んー、相手の下から風を巻き上げて一瞬だけふわっとさせるイタズラって言うのは?」

 

「その前に地面にある砂が巻き上がって悲惨なことになりますよ?」

 

「地面にある砂」

 

 ふと考える。外でグランが言ったようなイタズラをすると……確かに砂が多少なりとも巻き上がって悲惨なことになるだろう。主に砂埃が自分の顔にクリーンヒットするくらいだが。

 

「なるほど……」

 

「それに、私は力の強弱がまだ上手くいってないので……他の方に迷惑をかける訳には行きません」

 

「ふーむ……」

 

 グランから見ても、ペトラはかなり力のコントロールができている方だと思っている。天候を操るという素人目に見ても繊細なコントロールが必要そうなものを扱っているのだから。

 しかし、あくまでも素人目なので━━

 

「まぁ、ペトラが自信持てるように俺も手伝うからな」

 

「は、はい! ありがとうございます!!」

 

「……というわけで、今回はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました、また次回この番組でお会いしましょう。さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで団長さん」

 

「はいはい団長さんですよ」

 

 番組のカメラを落としてから、ペトラがふと思い出したかのように話しかける。グランは特に気にする事はなく、後片付けを軽く行いながら適当に返事をしていた。

 

「時折私の目線から目を離していたのは何故ですか?」

 

「……」

 

 言うべきだろうか、とグランは悩んだ。ぶっちゃけ胸元が凄まじい開き方をしているペトラの服は、グランのような性格であればついつい見てしまうのだ。『ペトラが悪いんじゃない、そんな服装にした精霊が悪いんだ』とグランは内心思っていた。

 

「マギサさんの話になったら、特に目線が離されていた気がしたんですが……」

 

「ははは、気の所為じゃないか?」

 

「そ、そうなんでしょうか?」

 

「そうそう、きっとそうだよ」

 

 ハッキリと『実は見ていた』なんて言おうものなら、秩序が飛んできて直ぐに秩序されてしまうのは目に見えている。それを防ぐ為ならば、グランは優しい嘘のひとつや2つつくことだって可能である。無論、これが優しい嘘かと言われれば絶対に違うのだが。

 

「……とりあえず、私は外に出ます」

 

「あぁ、よろしくお願いするよ」

 

 風祷師としての仕事をするために、ペトラは外に出ていく。彼女の足音が遠ざかったことを確認してから、グランはため息を着く。あぁも純粋な彼女を相手にするのは、遠回しなセクハラをしても案外バレないといういわゆるボケ殺しをしそうな気がするからだ。

 

「いやぁ、ネタを振って反応が返ってきたらいいけどペトラは純粋に反応しそうだもんなあ」

 

「しかし、それとは別に体を見続けることもダメなんですよ団長さん」

 

「HAHAHA……もう来たのかリーシャ」

 

 肩に手を置かれるグラン。最早いつも通りの隠密移動に対して、諦めるしか無かった。彼は特に抵抗することも無いまま、リーシャに連れていかれる。

 

「まったく……チョコを渡してくれる女性たちを失望させてはダメですよ?」

 

「Hey」

 

「ふざけたのでカタリナさんにチョコをいっぱい作ってもらうようにお願いしますね」

 

「待って」

 

 そしてバレンタイン当日、体色がスライムのような色になったグランが発見されたのだとか何とか。




拝啓カタリナさんを団に引き入れてる騎空士の皆々様、如何お過ごしでしょうか
僕はカタリナさんのチョコをグリームニルにあげました、経験値になってよかったねグリームニル
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