「今回のゲストは十天衆のサラーサさんです」
「おう! よろしくな!!」
十天衆サラーサ、十天衆の中では斧を使いあらゆる敵をねじ伏せていくパワーファイターの役割を担っている。その力は海を割って魚を大量に捕獲できる力がある。正直使い方を間違えていると言われても仕方がない。
「さて、サラーサは森の中で育ってきたんだよね」
「そうだぞ! あたしは森に育てられたんだ! 森はいいぞ〜、弱肉強食……弱いやつは強いヤツに食われるって凄くわかりやすいからな!」
「ケーキは森にないけどな」
「ケーキが生えてる木とかないか!?」
今言った通り、サラーサは森で育った野生児である。野生児であるが故に……知識が多少足りていない。知能は悪くないはずなので、教えたら覚えるだろう。
「そう言えばサラーサって勝負に負けたヤツは勝った奴の言うことを聞かないといけない……みたいなのが信条って話だけど」
「しん……? よくわかんないけど、弱いやつは強いヤツの言うことは聞かなくちゃいけないんだぞ!!」
「ここにはいる時俺そう言えばサラーサに勝ったよね」
「そうだな! だから今はまだあたしはグランの言うことを聞かなくちゃいけないんだ!」
「ほほう、なるほど……じゃあもし俺と交b」
グランの頭を掠めるようにレイピアが飛んでくる。この感覚も随分久しぶりなので、グランは少し油断して掠ってしまっていた。罰は過剰なのかもしれないが、そもそもセクハラはダメなことである。
「おぉ……!? 今のあたしでも全然わからなかったぞ!? 誰が投げたんだ!?」
「秩序大好きな女の子だよ……俺に当てる気がないのは分かってるから、俺は微動だにしなかったのさ」
「グランすげー!!」
ドヤ顔できることでは無いが、純粋なサラーサはグランの言葉を真に受けて、素直に感心してしまっていた。少しグランは罪悪感に駆られたが、今更嘘でしたというのもあれなのでそのまま話を進めていくことにした。
「……さて、前座はここまでにしておこう。とりあえずお便りだお便り」
「例のやつだな!!」
「そうそう……何せサラーサは十天衆だからな、いっぱい質問されてるぞ……選ぶのは三通までだけど」
いつもよりもちょっと大きめの箱に、いっぱいに入っている質問の手紙をかき混ぜて……そして無作為に三通を取り出す。いつもやっている事だが、箱の大きさがいつもと違うのでそれなりに重さをグランは感じていた。
「おー!」
「って訳で1通目『おしゃれとかってします?』」
「ソーンとエッセルにやってもらってる! あたしは興味無いからな!!」
野生児のために、オシャレに興味が無いというのは仕方がない事である。しかし、年頃の娘がそれではいけないとエッセルやソーンが気を利かせて彼女におしゃれを教えているのだ。
無論、サラーサ自身も嫌がっている訳では無いので特に拒否することもないが……オシャレの仕方は全く覚えていないのである。
「あたしは別にいるとは思わないけどな! でも、2人が『女の子には必要』って言うんだ!!」
「まぁ、今のご時世年齢が1桁の子だってする時はするからな」
「フュンフはしてないぞ?」
「フュンフはまだ小さいからな……」
「ハーヴィンは元から小さいぞ……? グラン、大丈夫か……? 『ハーヴィンみたいな身長とエルーンみたいな耳と尻尾と背中と脇とドラフみたいな角と胸がある星晶獣いねぇかな』って連日言いすぎておかしくなってないか……?」
「人の性癖暴露すんのやめて? 俺が言うのもなんだけどさ、今更だけどやめて?」
かなり心配そうな表情で、グランのことを心配するサラーサ。本気でグランがハーヴィンの身長が小さいことを失念しているかのような扱いをしていた。
「分かった!!」
「分かったならよし、話変えたいし2通目に行こうか」
「おう!」
「……えっと……『武器が変形して斧から剣になりますが、何故剣も扱っているのですか?』」
「ん? あたしは斧の十天衆だぞ?」
お前は何を言っているんだと言わんばかりに、サラーサは首を傾げる。
サラーサの武器は、所謂可変武器であり斧から剣へとその姿を変えられるのだ。しかし、斧の十天衆である彼女が剣を使うというのはいささか変な話なのだが。
「いや、戦っている最中よく武器が斧から剣になってたりするじゃん」
「……?」
更に首を傾げるサラーサ。流石に少し話が噛み合ってないと理解したグランは、何故噛み合っていないのかが理解出来ていなかった。まるでサラーサは自分の武器が剣になることを知らないような……そんな反応である。
「……知らない、のか?」
「あたしの武器は昔から斧ひとつだぞ?」
どうやら、サラーサは剣へと変形することを知らなかったようである。しかし、知らないとなると話は実に単純であり今までサラーサが剣を使っているのに全くその理由を話そうとしないことも理解出来る。
「要するに……斧と同じ使い方でやってたってことなんだな……」
「……? 途中で使ってる感覚は変わるけど、それくらいしか気にならないな!!」
「まぁ使用感はそれでいいとしても……ていうか、その武器はどこで手に入れたんだ?」
森の中で自然に手に入るものでは無いだろう、明らかに誰かに作られ手渡されたであろうものの所在をグランはサラーサに尋ねる。サラーサは自分の武器を1度見たあと、グランを再度見てから再び斧を見て三度グランを見るのを繰り返していく。
「……分かんない!!」
「えっ」
「気づいたら持ってたとしか言えない!!」
まさかの回答に、グランは拍子抜けしたかのような声を出してしまう。サラーサはそのまま明るい笑顔をグランに向けていた。しかし、彼女のことはグランもよく知っており嘘をつくような……それ以前に嘘をつけるような性格をしていないのだ。彼女がそうだと言うのなら、そうなのだろう。
「そうかぁ……まぁなら仕方ないか……」
「そうだな!!」
「……にしても、その斧は随分と不思議斧だなぁ……」
「長年の相棒って奴だ!!」
斧の柄を床に軽く叩きつけ、音を鳴らすサラーサ。甲高い金属音が少しだけ鳴るが、煩くない程々の音である。自慢げに鼻息を荒くするサラーサだが、その子供っぽいところが彼女の魅力的な所である。
「さて、そろそろ3通目行こうか」
「おー!!」
「『森では負け無しだったんですか?』」
「おう! 何せ負けたら食われてたろうしな!!」
即答。しかし、彼女が森の中で生活してきた経験は間違いなく本物であり、その言葉は冗談ではなく本物である。という事は、少なくとも今の今までは彼女は1度も負けることがなかったということである。
「ふむ……という事は、サラーサを倒した俺は数少ないサラーサより強い存在だったってことか」
「むっ……いずれ勝つからな!!」
「ははは、いつでも受けて立とう……なんてな!!」
「ならメテオスラスト!!」
まるで隕石が降ってきたかのような衝撃が、グランの体に襲いかかっていた。会話の最中に間髪入れずに降ってきた衝撃に対して、グランは完全にダメージを防ぐことが出来なかった。故にまるで光の中に消し飛ぶかのようなイメージ図を浮かべながらグランはその意識を一瞬失っていた。
「ぎゃあああああああ!!!!」
……盛大な悲鳴をあげて。
「いやぁ、まるでバハムートが一撃で消し飛んだかのような感じのダメージを受けてたわ」
「ごめんな、いきなりやったの」
「いやぁ、可愛いしすごい上下に揺れてるの見えたからそれに比べたら2億ちょいのダメージなんて気にしない気にしない」
「よくわかんないけどありがとな!!」
グランのさり気ないセクハラも気にせず、サラーサはいつものように明るく笑みを浮かべる。サラーサは遠回しの言い方をだと理解せずに首を傾げるか、または気づかないのどちらかである。故に、彼女に物申す時はどストレートに言った方が伝わること間違いないのだ。
「……さて、何故だか機械も無事だったし部屋もほとんどは無事だったので今日はここまでとします」
「なんだ? もう終わりなのか?」
「ほとんどと言ったけど壁一枚分ぶち抜いちゃってるからね、俺よく防いで勢い受け流したと思う……まぁ物足りなかったら後で話すなりご飯食べるなり特訓なりするからさ」
「そっかぁ……なら後でケーキ食いに行こう!!」
「というわけで、3番目の十天衆が既に色気より食い気に走ったので、今から食べに行きます。ご視聴ありがとうございます、また次回お会いしましょう……さようなら」
「グーラーンー!! 早くしろー!! またメテオスラストするぞー!!」
「次受けたらグランサイファー沈むからダメでーす!!」
それを最後に、映像は途切れる。既にサラーサの興味は番組からケーキに移ったので終わらしたが、サラーサを野放しにするのも好き勝手させるのもあまり宜しくないことである。それがわかっているからこそ、誰かが着いてやらねばならぬとグランは思いササッと番組を終わらしたのであった。
「ところでこの間、ギュインギュインする男がアタシにいったんだよ」
「ギュインギュイン……アオイドスかな? なんて言われたの?」
「『お前はツヨイドスだ!』って!! あたしのこと強いって言ったんだよ!! やっぱりあたしは強いんだなって!!」
「へぇー……よかったな、強いって言って貰えて」
「だからさ」
「うん?」
「強いあたしと勝負してくれよグラン!!」
「いやいや、だからグランサイf」
「アニヒレイション・ノヴァ!!」
「嘘やnぎゃあああああああああああぁぁぁ!!」
後日、グランが飛んでる最中のグランサイファーから吹き飛ばされたという話がでてきたが……何時も吹き飛ばされているので、殆どのメンバーが『またか』という反応だけで終わってしまったという。
因みに、その際グランサイファーは甲板の床1枚ぶち抜いてしまっていたが、サラーサがついに加減を覚えたとシエテが泣いて喜んだという。その後でシエテもサラーサの強さ自慢に巻き込まれて吹き飛ばされたのだが……それはまた別の話である。
アオイドスのイベントでこの小説が似たようなことしてしまってたりサラーサの調整が入ってたりしてますが私は元気です。
ウチのサラーサはまだ賢い言葉をしゃべれる下地すら整ってません。