ぐらさい日記   作:長之助

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書く前ずっと何故かドラフかエルーンだと思ってました


四聖白帝、気のせいではないな?

「はい、今回のゲス」

 

「シュシュクだぞ〜!!」

 

「声がでかい」

 

グランの声を遮り、声を上げる少女シュシュク。チチリやアミと同じく四聖であり、彼女は白虎を討伐するのを目的とした家の娘である…のだが過去に1度折れてしまったのもあり現在では『今を楽しむ』という人物になっていた。紆余曲折あり逃げることは辞めたが、その考え方は今でも代わっていない。

 

「…………」

 

「…?どしたの」

 

「あとは何を言おうとしたか忘れた!」

 

「そういうこともある」

 

━━━━その考え方が幸いというのか災いというのかは分からないが、若干忘れっぽくなっているのはご愛嬌である。決して悪い人物では無いのだ…性格的には。

 

「という訳で3人目の四聖って事でね」

 

「答えられるか分からないのだ!」

 

「物事ははっきりという、いい事だね」

 

「………さっきから何だか雑じゃないか?」

 

「ンナコトナイヨー」

 

流石のシュシュクも、この対応を気づけないほど馬鹿では無い。じとっとした目でグランを睨みつけるが、グランは何処吹く風。気にしていないのだ。

 

「まぁチチリとアミで四聖とか四象とか、みんなよく知って貰えたと思う。だから割と個人的なこと聞かれるかも」

 

「問題ないの…………いや待て!スリーサイズや乙女の秘密はダメだぞ〜!」

 

「個人的には知りたい気持ちもあるけど教えてぐンっ!」

 

心地いいハリセンの音。グランの頭がリーシャのハリセンによって叩かれた音である。真っ当なセクハラな為、来るのは当然なのだ。セクハラに真っ当もクソもないが。

 

「…ダメか」

 

「駄目です…後シュシュクさん」

 

「?」

 

「お金はあまり借りない方がいいかと…」

 

「か、返してはいるのだ!」

 

今を楽しむというのは、言い方を変えれば刹那主義とも言えるもの。その場で欲しい物があれば買ったりすることもあるので、場合に乗っては団員からお金を借りたりしてしまっている時があるのだ。無論、返さないということは無いしそもそも返さない事を許すほどグランも甘くは無いのだ。

 

「う、ううう…!」

 

「若干勢いが落ち着いている…このまま質問行くか」

 

「そ、そうだな!うん!そうするのがいいのだ!」

 

誤魔化すように態度を治すシュシュク。その様子を横目に見ながらグランはいつものようにガサゴソと漁っていき、3つのお便りを取り出す。

 

「……というわけで質問タイム。1通目『観光地巡りが好きと聞きました、アウギュステには行ったことがありますか?』」

 

「行ったことない!」

 

「意外だ、刹那主義なんだから楽しそうなあの場所には絶対行くと思ってた」

 

「いや…幾らシュシュクでもあそこに1人で行く気はあんまり起きないぞ…」

 

「何でまた」

 

「楽しい以上に実害が出そうなのだ」

 

その言葉をグランは全く否定できなかった。毎年行く度に何かしら事件が起こるからである。最近だと記憶に新しいのはアルバコアのマグロウと入れ替わったり、スモウォーのあんな事やこんなことである。そもそも摩訶不思議生物の鮫だっているのだ、まともな観光客は行くことは無いだろう。

 

「確かに」

 

「言った事とはいえ、否定して欲しかったのだ」

 

「いや、そもそも俺に実害起きたからね」

 

「え」

 

「まぁ今年も行くつもりだけど」

 

「正気では無いのだ……」

 

「友達に会いに行きたいし」

 

「友達?」

 

「アルバコアのマグロウ」

 

「カツ……え、何…?」

 

「入れ替わったんだよね、この間の夏の時に。そん時に友達になった」

 

シュシュクは本気で恐怖を抱いていた。グランの言っていることが文章としては理解出来ても、内容の理解が頭で出来なかったからである。何故アルバコアと入れ替わったのかという話にもなるし、そもそもアルバコアにそれを理解できるだけの知能があるのかと言う話にもあるからだ。

全て事実なのだが、それを聞く第三者の気持ちも理解できるという話だろう。

 

「……病院、行った方がいいのではないか?」

 

「本気で心配されてる…いやクビラとかに話聞いてみなよ」

 

「えぇ……」

 

シュシュクがゲストなのにも関わらず、グランの方がまるで心配されている様な言い草であった。事実なのだが、それをバカ正直に人に言っても信用されない事は当たり前の話なのである。

 

「シュシュクですらそんな面白いこと起こらないぞ〜…いや、起こったら面倒くさそうなのだが……」

 

「まぁこれくらいならよくあるし…」

 

「やはり噂は本当あるのか〜…?」

 

「魚は飛ぶし貝は回転しながら飛ぶしサメは飛んで群れを成してゾンビになって人になっ」

 

「ストップ!ストップ!!!シュシュクをこれ以上困らせるな!!そうだ2通目!二通目に行こう!!な!?」

 

気が遠くなりそうな出来事の連続に、シュシュクが止めに入る。グランは『これからなのに…』とでも言いたげな顔をしていたが、シュシュクはスルーする。知らない人にとってはかなり頭が痛くなるか妄想だと唾棄するレベルの話なのである。

 

「仕方ない…二通目『討伐依頼の際に、攻撃する時叫んでるけどあれもしかして技名?』チチリからです、匿名でいいんだけどなこれ」

 

「そうだぞ!」

 

「集中しててあんまり聞けてないけど…まぁ技名ってあると便利だよね、使いやすくなるし相手にフェイントかけることもできるし……因みになんて技?」

 

「ふふん…觜宿(ドカドカギリ)金刺吸気(ボカーンづき)尖刃衝波(ズドドざし)刹那揚々(つよつよのかた)!だぞ!」

 

「待ってえぐいえぐいえぐい」

 

最早当て字である。空の世界にここまでの凄まじい読み方をする事があるだろうか?ないとも言いきれないが、基本的に見ることは少ないだろう。

 

「書きそれでいいの?」

 

「うむ!」

 

「そっかぁ」

 

本人が分かればいいのと、声に出して叫ぶくらいなら誰にも気づかれないので問題ないと言われてしまえば、それで問題は無いのである。

 

「わかればいいのだ!そう!今分かればいい!」

 

「流石の刹那主義……貯金しないのも明日大金持ちになるかもしれないって話だっけ」

 

「そう!」

 

「じゃあもし明日技名ど忘れして思い出せなかったら?」

 

「………………………………………………………………」

 

黙ってしまう。当たり前だ、刹那主義とは言え彼女は本気で先のことを考えられない訳では無い。先のことを考えるのは1種のトラウマのようなものであり、あまり深く考えるのが苦手になっているだけなのだ。

 

「…いや、まぁこれに関してはほんとにわかんな」

 

「いや…そもそもその時はそのときで別の名前になるだけだと思うぞ…?」

 

「…根拠は?」

 

「シュシュクだから……」

 

「何にも逆にしてないのに逆転の発想感あるな……」

 

今の名前が刹那主義故の物だとするならば、その後に忘れてもまた別の名前になるだけなのである。そう、それが刹那主義。忘れても別の名前が取り付けられるだけなので、問題がないと言われてしまうのも納得である。

 

「流石だ、シュシュク…」

 

「ふふん…!もっと褒めてもいいからな!シュシュクを褒めろ褒めろ〜!」

 

「褒めてないんだよなぁ………そんなこと言いつつ3通目『貯金しないんですか?』」

 

「昔はしてたぞ!」

 

「今は?」

 

「さっきも言ったが…明日大金持ちになるかもしれない!ならば今お金を使った方が得!!」

 

「言ったの俺だけどね」

 

故に金を借りる事態に発展したりするのだが、それがシュシュクらしいところとも言えるのだ。無論、返さなければただの不和を招くだけなのでグランは返すようにさせているのだが。

 

「因みに団内での貸し借りは実は厳格に禁止していません」

 

「別に気にはしてないが何故に禁止しないのだ?」

 

「まぁ返すって善性を俺は信じているからさ!!」

 

「本音は?」

 

「俺と何人か間にたっているから返さないことがない」

 

「他の面子は?」

 

「ルリア…というかミスラが基本」

 

「基本」

 

「単なる貸し借りならOK、返さないって相談受けたなら契約をミスラ越しに作る。返さない限り定期的にその書類を書いてもらう、内容はその度に書いてるから変わってるけど……段々と圧が強くなる」

 

「最終的には?」

 

「一回行くとこまで行った時にはルリアの他に隣にロベリア立ってもらってた」

 

その時のロベリアはいつもと表情は変わらないのに、どこか期待に満ちた目で見ていたのがとても怖かった…と語っていたそう。ちなみにその時の相手は入りたてのサンドリヨンである。

 

「お、脅しじゃないか!」

 

「いやあいつは俺の隣に立ってトレッビアントレッビアンって鳴く役目だから……」

 

「それもそれで謎なのだ…」

 

横でそうやって鳴くロベリアは、理解不能の存在だろう。存外本人も乗り気なのかもしれないが、そんな乗り気になられたところでただただ怖いだけなのである。

 

「……因みにほんとになんでそこに立たせているのだ?」

 

「普通に仕事はできるから書類作成に立ち会ってもらってる、後ペンで書いてる時の音が人によって変わってくるから録音して聞いてるらしい…あいつ音フェチだから」

 

「えぇ…」

 

シュシュクは内心で決めた。『お金は借りたとしても絶対に返すようにしよう』と。圧があるとかないとかの前に、ミスラによる契約とそれとは別に書かされる時の謎の恐怖を味わいたくがないためである。刹那主義とは言えそれくらいは考えるのだ。

 

「そこまでする必要は…」

 

「まぁそこ許したらね、ズルズル行きそうだから」

 

「まぁ…仕方ないのだ…なるべくすぐに返すようにするのだ」

 

「借りないという考えは…」

 

「無理なのだ!!」

 

まるで譲れないと言わんばかりの迫力に、グランは黙るしか無かった。そして時間が来たことを察知してお便りをしまいながら画面に向かって話しかけていく。

 

「……というわけで本日はここまでとなります、ご視聴いただきありがとうございました。また次回お会いしましょう、さようなら」

 

「…………宣伝することが何も無いぞー!」

 

「……」

 

グランは特に何も言うことがなく、そのままカメラの電源をoffにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで今年の夏アウギュステというのは…」

 

「まじまじ、そのつもり」

 

「うむむ…まぁ水着は用意しておくのだ!」

 

「チチリ達にも言っといてね〜」

 

「分かったのだ!だから買う為に…」

 

「お金貸さないよ?」

 

「うぐ……だめなのか…?うぅ…」

 

「…………今回だけだぞ?」

 

「太っ腹ーッ!!」

 

何だかんだ、甘い所があるグランなのであった。なおその後際どいのを選んで秩序されたのであった。




装飾華美なことに隠れて実は普通にうおでっかだと思う

追記:アルバコアとカツウォヌス間違えてました
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