「今回のゲストはピィ………ちょ、飲むな飲むな」
「ふむ、安心せよ…酒精は入っておらぬ。
「…あ、そうなの?」
「これもまた子らの技術の大成よな、どうしても酒精が受け付けぬ者もいる。そして同時に歳若い者達が背伸びをせんと、可愛げのある事をする。その為の偽酒という訳だ」
「ならいいや……というわけで改めて、ピィジウさんです」
「よしなに」
ピィジウ…コク、つまりは黒麒麟と対を成す黄龍が人の肉体を持って生まれた姿である。因みにコクもそうだが星晶獣とはまた違った兵器であり、人の肉体である現在では近しいのは六竜達である。
滅茶苦茶面倒なことになるとわかってるのでグランは語らないが、少し前までは黒麒麟による死滅と、黄龍の生誕の呪いによって空は突然の大量死を迎える1歩手前であった。その呪いは全部解決してるので、今は語る必要性もないのだ。解決してなくても語る必要性はないが。
「しかし…いつでも飲酒をしている訳では無いぞ?」
「ラードゥガ入り浸り長時間居座りしてるの知ってるからね」
「あなや」
「これでも団長なので……でも酒のレビュー上手すぎて人気あるのも事実なんだよな…」
「どの酒も美味い、人の子らが作りし技術の集大成…土地ごとに違うその味わいは格別なものでな…その感想を書き記すだけよ」
「どんだけ書いたの?」
「500頁」
「船乗ってから全然時間経ってないはずなんだけどな、酒好き過ぎない?」
「技術を味わえるのでな」
ピィジウは生粋の酒好きである。戦闘中に酒のことを気にかけてしまうほどには酒好きであり、グランサイファーに乗り始めてからは依頼を手伝いつつも好きな時に好きなだけ酒を煽っていた。飲み友もいるらしいと言うのはラムレッダの談。飲み友本人だろと言ったのはグランである。
「まぁいいや…とりあえずいつも通りお便りに行こう」
「是非に」
「えーっと……チチリから…『最近気に入ったお酒はありますか?』だそうだ」
「そうさな……少し前に雷迅卿から賜った新作とやらが気に入っているな、まだ販売はしていないが団の飲酒好きの者達に振舞ったとの事だ」
「へぇ、飲めないから知らないけどどんなやつ?」
「━━━かの国はレヴィオンであったな。レヴィオンは葡萄酒が有名であり、昨今開かれた観光地区で振る舞うこともあるようだが…葡萄酒は甘味としても味わえる素晴らしい逸品である。しかし新作は甘味とは真逆の所謂辛味が強いものであってな?酒精と共に山椒を入れる事で、舌の上が痺れるような感覚を味わえるのだ。更に炭酸が強くなっていてな、それら2つが合わさることでまるで舌の上を電撃が走るような味わいとなっている。商品名はまだ決めていないようだが、頭の中と舌の上で雷が落ちたような感覚、そして雷迅卿の名を取り『
「待って待ってストップストップ…めっちゃ語るじゃん」
「………いいものであったからな」
早口で喋っている訳では無いのにも関わらず、何故か一切口を挟めないほどの勢いで語っていたピィジウ。この勢いで感想を書いているのなら確かに500ページいくのも納得のグランであった。
「特異点は飲めぬのであったな」
「そうだね、アルコール入ってるのはまだダメ」
「では非酒精麦酒として作れぬか聞いてみよう」
「…そんな良かったの?」
「うむ…年齢が許せば己が試飲で貰ったものを渡す程には」
「すごい気にいってるじゃん……」
「うむ」
よほど気に入ってるのか、真面目な顔で感慨深く頷くピィジウ。それだけ気に入って貰えているのなら、アルベールも喜ぶだろうとグランは考えていた。レヴィオンは未だ観光地としては発展途上国…酒類とはいえ名物が増えるのは向こうにとってもいいものだろう。
「とりあえずお便り2つ目に行こう……今度はウルキだ…『お酒以外にも目を向けないの?』」
「無論好きだ」
「………」
グランはふと考えた。ピィジウは黄龍であり、きちんと仲良くなるまでは枠組みとしては六竜達の様な所謂『概念側』の存在だと思っていたのだ。
しかし冷静になって考えてみると、どちらかと言えばカシウスやラムレッダ等の大食漢や酒飲み枠でいいのではないかと考えてしまったのだ。
「…どうした?」
「いや、何でも……じゃあまぁツマミでいいかな。なんか気に入ったのある?そっちなら俺食べれるし」
「そうさな……月の子孫…アイザックと言ったか。あの者が
「めっちゃ語るね、お腹すいて来ちゃった」
「後で向かうとしよう」
「やったぜ」
別段空腹時に近い時間帯ではやってない当番組だが、如何せん美味そうな話を聞かされてしまえば誰だって腹は減るものである。グランは腹部を抑え頭角を表し始めた空腹が、顔に表してしまっていた。
「じゃあそのためにも時間内に綺麗に終わらせるとしよう…3通目…無記名、『黄龍の力とは何ですか?』」
「ふむ…分かりやすくいえば、黒麒麟の反対…かの存在は六竜の黒、フェディエルに近い力を持っている。それとは逆、黄龍は簡単に言えば『生誕』よな」
「俺達と初めて出会った時もそんな感じの力を使ってたもんね」
「我らは互いに対となる存在…近しいだけで存在自体が概念である六竜とは違い、黄龍と黒麒麟は『権能』に近いな」
詳細は省くが、黄龍と黒麒麟…そのモデルは星晶獣の機構である。力こそ強いもののあくまでも作り上げられた兵器に過ぎないのだ。コクとピィジウという『人型』が得られたのはまた別の経緯に過ぎないが、基本的な能力は強力な星晶獣の持つ力に近いのだ。
「しかし…これを見てる子らに取っては、違いが不明瞭なところがあるだろう」
「まぁね、正直言うと区別が着きづらいってのはあるかも」
「説明をしたい…ところだが、かなり細かくなりそうだ」
「よりにもよって例外もいるしね…」
六竜と星晶獣の基本的な違いは、有り様である。星晶獣にはコアがあり、力は自分自身のもの。六竜は有り様は世界の概念である。世界の元素を利用してその権能を行使するのだ。
問題は天司達は六竜の様に元素を使っているのだが……それが例外1。そして黄龍と黒麒麟はコアがない星晶獣に近い。強力な星晶獣の様に力を震えるのだ。
問題は人の身となったピィジウとコクの存在は六竜に近いこと。同時にだからといって空の元素を行使する訳では無いこと。なんなら今は黄龍とピィジウ、黒麒麟とコクは別存在となっていること。あまりにも説明することが多すぎるのだ。なんならこれ以外にも例外はあるが、何なら思いつかないまであるのだ。
「…まっこと、面倒よな」
「わかる」
「星の獣は侵略する為の物だ…いや我らもそうなのだが。故に空の力に干渉できる存在が多数ある」
「アーカーシャとかやばいもんね」
「そうさな…太上老君も、だな」
少し遠い目をしながら窓の外を見るピィジウ。その様子にグランは少し見惚れたものの、すぐに思い至る。『そういや声は男性っぽいけどこいつ性別ないから顔だけならギリ中性だったわ』と。つまりは綺麗系とカワイイ系のハイブリッドイケメンなのだ。その事実に思い至り、大きなため息を着く。
「モテそうだよね、ピィジウ」
「特異点には負けるがな」
「ナンノコトヤラ」
「はっはっは…英雄色を好むというが、1人にするか複数人にするかは自ら次第だ。四聖も特異点を好んでいるのでな、可能ならば囲ってあげて欲しい」
「父親ですかあんた……いや似たようなもんか」
「然り…コクも囲ってもらって構わんぞ?」
「ついてるかついてないかの話になるな…」
「己も囲ってみ………その顔を見るに失言だったようだ」
ピィジウは空の世界の世間という枠組みには少々疎い。故に偶に突拍子も無いことを言ってしまうのが玉に瑕であるというのが、コクの談である。
「…まぁ、いいや…本日はここまでとなります。また次回お会いしましょう…さようなら」
「酒の感想手記を読みたければ、貸すぞ…子らよ」
,
「そういや結構アレな話したのに落ちなかったな…ついてるかついてないかって話したのに」
「その事なんですけどね」
部屋から出、ピィジウと別れたグラン。独り言を呟いた瞬間後ろからリーシャが声をかける。もはや慣れたもので、後ろから声をかけられても焦ることはなくなっていた。
「落とす機構が壊れてたんですよね」
「なんで?」
「この間の強くなった黄龍との戦いで船の一部が破損してしまってるようで…電撃凄かったですし…落とす機構は後回しにしてたんですよね、修理」
「あー、なるほど…因みに今日の待機してた人は?」
「黒麒麟です」
「…コクじゃなくて?」
「黒麒麟です」
「…………刺さったら痛そうだし、落ちなくてよかった」
進化した黒麒麟の事を考え、グランはしみじみと考える。こうして今日もまた一段落するのであった。
書いてる時に腹減ってるわ『よく考えたら星晶獣と六竜と四獣組の違いなんやねん』ってなってました。
酒飲まないんで調べながら書いたんですけど、山椒入の酒ってガチであるんすね。『あったら電撃っぽいよね』位で調べたんですけど
あとコラボ書くって言いましたけど
コラボ先だけに関しては居残り組の実際いる枠だけに関しては召喚石もありにします。何故ならそうしないと、よりにもよってエレンが書けなくなるからです。
迷ってるのは召喚石枠の幻影旅団と、最終で鬼人組が増えるリムルはどうしよ…です。ウタやオールマイトはいないので書きません。