「今回はゼタさんでーす」
「よろしくねー」
「ってわけで早速1つ」
「ん?何いきなり」
「バザラガが前に言ってた言葉発音できるようになった?」
グランが苦笑しながら尋ねる。前、とは
「いやいや、あれ発音出来るわけないじゃん。未だにあれ何言ってるかわかんないのよねぇ」
「だよねぇ、俺も何言ってるかよくわかんないよアレ」
「しかもあれ、むやみに発音するわけにもいかないのよね……下手に言っちゃったら私もアイツみたいになっちゃうわけだし……あ、そう言えばちょっと訂正しときたいんだけど」
「え、何を?」
「あの時ベアが言ったことよ!流石にあればっかりは怒りたくなったわ!!」
「……?」
グランはいまいちピンときていなかった。が、ベア……つまりはベアトリクスが言ったことは、バザラガによる対抗心やその他諸々の感情により、彼女の持つアルベスをグロウノスの様に解放できる……と言った時である。その時ベアトリクスは、『夫婦じゃん!!』と言ったのだ。それがどうも、ゼタは気に食わないらしい。
「あいつとは!そんな関係じゃ!!ないから!!!」
「わ、分かったから……一旦落ち着きなさいな」
「……ふぅ、よし落ち着いた!!」
「ならよし」
どう見ても落ち着いていないからこそ、今ここでその話題を出したのだが、ゼタはそこまでに至っていなかった。
「……で、今日はいつ落ちるの?」
「落ちるのを期待されてるのか…?」
「いや、何だかんだ助かってるし……あんた、最悪空飛べるじゃない…勢いで」
事実、バハムートウェポンの力によって落ちるのを回避した事例はあるが、流石に空を飛ぶほどのものではない。
「あれは別に空飛んでるわけじゃないしなぁ…重力に逆らって、浮くのが限界」
「それがおかしいって話してんだけどなぁ……まぁいいわ、気にしてたらしょうがないし」
「なら番組を進行させてもらおう……って訳でお便りコーナー」
「余計なやつとか入ってないといいけど……」
「1通目『ゼタ、俺もそこまで考えていない』バザラ━━━」
お便りを貫き、器用に壁に刺さるアルベスの槍。奇跡的にも、顔や体からずらした位置で読んでいたので、どこも傷つくことは無くお便りだけが突き刺さっていた。
「今のなしで」
「うぃっす……『なんでパンツ見せてるんですか』ルリア……からです」
「パンツ?」
「パンツ見せてるって言うか……そもそもゼタのスカートってほんとにスカートの役割果たしてないよね」
「いやもう…あんまり気にしたことないのよねぇ……え、もしかして目に毒?」
「いえ別にそのまま続けてくださいゼタ姫」
「次に姫とか言ったら、アルベスの槍であんたの槍潰すわよ?」
「女の子がそんなこと言っちゃ……あ、ごめんなさいなんでもないです」
いつの間にか抜いた槍をグランの下半身に向けながら、ゼタはそのまま座り込む。しかし、ゼタにもその意識がなかったのか頬をポリポリと掻いていた。
「いやぁ、でもあんまり深く考えたことないわ。そもそも見られようがそんな気にしないし……あ、でも体は別」
「何故またそのような思考に」
「だって星晶獣との戦いがメインなのよ?スカート履きたいって思ってても見えるし破けるじゃない」
「だから初めから見えるようなデザインに……?」
「ま、そんな感じじゃない?……自分でも最近意識してなかったから、理由がうろ覚えだけれど」
「というか、何でルリアちゃんがそれ気にしてるのよ」
「たまに俺が目線で追ってるせいかもしれない」
「……毒?」
「薬」
「……ぷっ、あははははは!!じゃあしょうがないわね!」
薬といえば笑うゼタ。その後唐突に笑いがなくなり、槍を突きつけられる……と言ったことも無いままそして三通目…ではなく2通目に入る。
「『槍使いも多いこの団ですが、ゼタさんはどの位置にいると思いますか』」
「1番!……って言いたいけどねぇ」
「いいじゃん、じゃんじゃん言っていこうよ」
「いやいやいや、言えるわけないでしょ……どんだけ槍使い多いと思ってるのよこの団に」
「自分は1番!くらいに表明していた方がいいと思うよ?特に槍使いは」
「ん?なんか妙に含みがある言い方ね……」
グランの言い方に少し違和感を感じるゼタ。その後急にグランの顔が険しくなり、両肘をテーブルに立てて両手を組みそれで口を隠すように顔を重ねる。
まるでどこかのサングラスをかけた司令官のようなポーズを取りながら、グランは騙り始める。
「槍使いは……まだいいんだよ。剣となると……」
「あぁ……難所すぎるわね…」
剣を使う人物達を列挙していくと、十天衆ですら3人いるのだ。さらに、星晶獣などの人外も入ってくる他……十天衆並に強力な剣士もこの団には所属している。
「考えてみたら、なんでそれでアンタ舐められてないのか不思議だわ…この団いい人ばかりよね本当」
「分かる……めっちゃ良い人いい子が多い……」
しみじみと思いながら、グランは改めて三通目を取り出す。というか取り出さなければ、アルベスの槍が飛んでくるのがわかっているからだ。流石のグランでもあれに刺されば大ダメージである。
「『同業の人達に対してどんなイメージを持っていますか』」
「同業?」
「組織メンバーじゃない?」
「なるほど……まぁいい機会だし言っておきましょうか、別に深いとこ語らなければ大丈夫でしょ」
そう言いながら、ゼタは少し唸りながら考えていく。そしてそれをどこから取り出したか、紙にペンで書きあげていく。そうした方がわかりやすいと思ったのだろう。
「じゃあ、ベアのイメージ言ってみましょうか」
「ベアトリクスのイメージ……って言っても前からの付き合いなんでしょ?」
「そ、だからイメージというか…あの子の印象かなぁ……」
「まぁ、とりあえずどうぞ」
「負けず嫌いで、ちょっとドジが入ってて……なんでも自分で背負おうとするけど、いい子…それがベアに対するイメージかな」
「画面の向こうで嬉し泣きしてそうだな」
かなり素直なので、恐らく本当に嬉し泣きしているだろう…とグランは予測していた。そしてそのままゼタは次の人物のイメージを語り始める。
「教官に対するイメージは…いい人だと思う、onの時は確かに厳しくて言動が荒っぽいけどね。あれでも面倒見が良くて、色んなお店知ってるから上司としても女の先輩としても尊敬出来る…そんなイメージよ」
「信頼してるんだね」
「ベアは未だに怯える時あるけどね……まぁ、怒られるのは自業自得よ」
いつぞやの時に、ベアトリクスが極寒の地の湖に自身の武器を落とした時のことを語ると、大目玉を食らっていたことをグランは思い出した。offとのギャップが激しい人物とも、私情と仕事を分けて生活している人物とも言える。
「バザラガは……あんまり口開かないし、口を開けばお節介、しかもまるで嫌味を込めるかのような言い回し、本人にはそんな気がなくとも私を煽ったりしてることなんて多々あったり……」
「本音は?」
「…まぁ、悪い奴ではないのはわかってるわよ。自分1人で背負い込むのはベア以上に酷いから、私がちゃんとしてなきゃ…ってそんなイメージよ」
「何だかんだ、信頼してるよねぇ」
「ばっ……まぁ、信頼はしてるわ。何度も言うけど、あれに異性として見てるってのはないわよ。」
「まぁ、見てる見てないは俺らにはわかんないけど…どうしてそこまで怒るのか」
「……失礼、じゃない?」
「失礼?」
「仲間の信頼、って奴があるのにそれ以上の感情持ち込むのはなんかね……多分、全員が全員…同業に恋愛感情なんて持ち合わせてないと思うわ」
「なるほどね」
バザラガに対するイメージ……だが、そのイメージを聞いてグランは何となくあそこまで怒る理由も理解は出来ていた。納得もしていた。
「最後はユーステスね……」
「さて、どういうイメージ?」
「寡黙だけど……多分私達の中では一番熱いわよ?それに犬好きだし…あ、これ言ったらまずかったかしら」
「いやもうみんなにバレてることだし……」
「それもそうね…あぁえっと続きだけど。熱血漢、犬好き、それらを隠すクールさを兼ね備えた仕事人間……かしら?」
「随分とカッコいい要素を兼ね備えているねぇ、そう聞くと」
実際かっこいいのだから困る、とグランは思っていた。クール系は若干の憧れがあるのだ。自分にはおそらく真似できないレベルのクールさなので、自分らしさを売りにしていくことは変わらないが。
「……っと、ここまでかしら?」
「そうだね、そろそろ時間だし……それでは皆さんご視聴ありがとうございました。またお会いしましょう」
そう言いながら、グランはカメラの電源を落とす。そして、ゼタに向き治してからとある違和感に気づく。いつもとは違うパターンだと、そう感じとった後に、その違和感の原因に気づいた。
「……落ちてないよね、俺」
「あ、ほんとね……パンツのくだりで落ちなかったのなんで?」
「お便り関係だったからじゃないか…?落ちないのは意外だったな」
「あんたいっつも落ちてるもんね……」
「まぁ、落ちて変なことが起きないよりマシかな……」
「それもそうね……じゃ、戻りましょうか」
「うん……あ、そう言えば前気になってたんだけどさ」
「え、何?」
ふと、思い出したかなようにグランはゼタに尋ねる。番組以外で聞きたいことがあるというのは、ゼタは意外だったらしくキョトンとした顔をしていた。
「パイポジって何」
「……あんた、それをどこで…」
「いや、前にゼタの部屋通りがかったら聞こえてきてさ……気になってたから本人に聞くのが早いかなぁって」
「……アルベスの槍よ!!」
「え、ちょ、待っ」
「プロミネンスダイブ!!」
「熱い!!」
ゼタの一撃により、グランは部屋の窓から飛び出していった。後日、グランは『思ってたより熱かった、もっと特訓して耐えれるようになりたい』とか言っていた。
「……あー…!あれ聞かれたかぁ……!」
そして、吹き飛ばした直後のゼタは顔を赤くしながらうつ伏せになっていた。どうとも思っていない者達に見られるのは構わないが、グランだけはどうしてもダメらしい。
他の者になら聞かれても、彼女は気にしないという自信があった。
「パンツのくだりめっちゃ恥ずかしかった……」
顔を赤くしながら、ゼタは手足をバタバタと動かす。嬉し恥ずかし…といった感情が入り交じっているのか、ちょっと笑みを浮かべながらも恥ずかしがっていた。
「……後で謝ろう」
結局、勢いで吹き飛ばしてしまったことについてはゼタは謝った。グランは大して気にしていなかったため、1日二人きりでお出かけで荷物持ちという軽い罰をゼタに与えるだけで済ましたのであった。
尚、あまり罰になっていないのはゼタ本人が1番理解していた……が、黙って置くことにした。理由は、面倒だから……である。
ゼタさんのパンツが丸見えなの実は最近気づきました。
偶には長編とか書いて欲しい
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はい(ギャグノリ)
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はい(シリアス)
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いいえ