ぐらさい日記   作:長之助

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創意の銃設計士、それじゃあいっちょ頑張ってみる?

「今日のゲストはククルさんです」

 

「はーい、みんなのお悩み聞いちゃうよ?ククルお姉ちゃんでーす」

 

「ククルはクムユのお姉ちゃんで、銃工房の跡取り娘でもあります。今や使うのは自分が作り出したオリジナルの銃、シルヴァや俺達の力になってくれると物凄くありがたいです」

 

「やだなー、褒めすぎだよ団長ー」

 

 照れながら頭を掻くククル。褒めるのは得意なのだが、褒められるのはあまり慣れていないようだった。

 

「お悩み聞いちゃうよ?って言ったけど、そんなククルはなんか最近悩みがあるって聞いたけれど?」

 

「え、それって誰から?」

 

「ルリアに聞いたんだよ。前に話してた時になんか言ってたから、詳しく聞こうと思ったんだけどどうにもはぐらかされちゃってさ」

 

「あ、あー……」

 

 グランが聞くと、目を明後日の方向に向けるククル。グランが直接聞いても話しづらいのか、言葉が出てきていなかった。

 グランも、話しづらい話題を降ったのだろうかと思ったのだが、嫌そうという訳では無いのが、余計に彼の困惑を買っていた。

 

「もしかして変に言いづらい事聞いちゃった?」

 

「う、うーん……その、団長にはあまり…というかできれば男性には話したくないなぁ…って……」

 

 ここでグラン、ピンと来ていた。自分と言うよりも男性という括りである以上、恐らく悩みは女性的なことだろう。つまり、自分が何を言ってもアドバイスにならない可能性もあるし、下手をすれば的外れの見当違いを起こしてしまう可能性もある。

 

「そっか、なら聞かないでおくよ」

 

「ご、ごめんね?本当に言いづらいことでさ…」

 

「ううん、こっちが無理に聞き出すわけにもいかないしね」

 

 グランはそれでその話題を終わらせた。因みに彼女の悩みとは、シルヴァとクムユの間に挟まれたことによる、胸囲の話題である。ルリアに言った時は、彼女の目が死んでしまっていたということもあり、中々言い出せない話題となっていた。

 

「さて、それじゃあ……ククルはこの団に入って良かったと思ったことってある?」

 

「うーん…いっぱいだなぁ。クムユにも会えたし、シルヴァ姉にも会えた。それに私の中で今の所最高の銃も出来上がった、ソーンさんにも出逢えたし……何より団長にも出逢えた」

 

「俺に会えたのはいい事?」

 

「うん!とってもいい事だと私は思ってるよ。運命なんて、ガラじゃないかもしれないけれど……私はそういうのを感じとったくらいには、とってもいい事」

 

「そっか、そう言って貰えると俺も嬉しいよ」

 

 お互いに微笑むグランとククル。姉弟と言うには、あまりにも似ていないかもしれないが、今この時はそういった雰囲気は出していた。

 

「……っと、そろそろお便りを読んでいこうかな」

 

「じゃあ、よろしく!」

 

「お言葉に甘えて……1通目『この団にはガラドアさんみたいな鉄を加工する人もいますが、そういった人達と合同で作業することはありますか?』」

 

「そうだねぇ、ガラドアさんには前にお世話になったけど…うん、うちの銃工房に来てくれたりして、鉄の加工の仕方とか教えてくれたりするよ」

 

「へぇ、そうだったんだ」

 

「うん、だってあの人の加工技術は凄いからね。エアロバイスさんも、よく手伝ってくれてるし……でも基本的には1人で、というかウチの銃工房は銃工房で……私一人の時は私一人のときで作業したりするよ」

 

「あれ、ちょっと意外かも?」

 

 この団で仲良くなっているから、グランはてっきり合同で作業することも増えたのだろうかと思っていた。しかし、どうやらそうでも無いらしい。

 

「だって私のことは私ひとりで…銃工房のことは銃工房の中で収めていかないと駄目だからね。

 勿論、意見を聞くことくらいはあるけど……私はなるべく1人で出来ることをしていく性格だから、余計にガラドアさん達の手助けを請おうとは思ってなかったよ」

 

「なるほど、どっちかと言うと見守るために来てるってことだね」

 

「まぁそんな感じだね」

 

「ふむふむ……とりあえず答えは出たので2通目に……『銃を作る時に気をつけなきゃいけないことってありますか?』」

 

 2つ目の質問は、銃の加工の際の質問だった。ククルは顎に指を当てて少しだけ考えていたが、直ぐにその答えを出していた。

 

「そうだねぇ……やっぱり熱さかな、汗もかくし喉が渇く。慣れてくると、どのタイミングで水分を補給するかって言うのが分かるけど、慣れてないと倒れちゃうこともあるからね」

 

「やっぱりそういうことなんだね、絶対暑いもんねあそこ」

 

「何が厄介かって、あんまり暑すぎると汗自体直ぐに蒸発しちゃうからさ……思ってた以上に水分が抜けてる時あるんだよね」

 

「あんまり暑いとそうなっちゃうのか……」

 

「ファータ・グランデにはそこまで暑い気候の島が無いからねぇ……他の空域にはあるのかもしれないけとさ」

 

 確かに、とファータ・グランデにある殆どの島を思い出していたグラン。1番それらしいと言えばアウギュステかもしれないが、夏に海に行く程度なのであまり灼熱とは言えないだろう。

 

「あ、バルツとかは?」

 

「確かにあそこも暑いけどさ、汗がすぐ蒸発する程じゃないでしょ?もしそういった気候なら、水不足が深刻化してたかもしれないね」

 

「ふむ…確かに」

 

 暑いといえば暑いが……と言ったところだろう。勿論、島の場所によってはそういった場所もあるかもしれないが、そもそもバルツは火山もある島なので、暑いのは当たり前なのだが。

 

「まぁ、ちょっと話がそれちゃったけど…とりあえずそんな感じかなぁ」

 

「なるほど……水分補給っていうのはいついかなる時でも大事なんだなぁ」

 

「じゃあ次行ってみよう!」

 

「はーい……3通目『中身を見てみたい銃等はありますか?』」

 

「……中身?」

 

 質問の意図がイマイチ理解できなかったのか、ククルは首を傾げる。グランは何となく予想が着いたのか、その予想を口に出す。

 

「要するにバラしてみたいって事じゃない?」

 

「あぁなるほど……でもまぁ、他の人の銃を勝手にバラすのもなぁ…」

 

「まぁほらそこは……あくまでも仮定でね?『もしも中身を見れるなら誰の銃を見たいですか』みたいな」

 

「なるほど……」

 

 グランの言葉に理解と納得を示すククル。そして少し考えた後に、思いついたのか名前を上げていく。

 

「十天衆の…」

 

「え、ソーン?」

 

「ううん、ソーンさんじゃなくて。エッセルさん、っていたでしょ?」

 

「あぁ、彼女の銃を見てみたいの?」

 

「うん、手入れは自分で出来るらしいから見せてくれることは無いんだけどね?」

 

 十天衆が1人、エッセル。桃色の髪のエルーンであり、銃を主な武器として戦っている。十天衆という名の通り、少なくとも銃使いの中ではトップクラスに強い猛者である。

 

「あれ、そうだったんだ」

 

「信用してくれてない、って訳じゃないけどね?誰だって自分の武器を他人に渡すのは仲が良くても躊躇すると思うよ?

 シルヴァ姉の銃は私が作ったものだから、私しか見れないんだけどね?」

 

「へぇ……他にはいる?」

 

「うーん…イルザさんのニバスとか、ユーステスさんのフラメクとかかなぁ……あれはもう、特殊武器すぎて私の手には負えないだろうけどさ」

 

 イルザ、そしてユーステスの武器。どちらも、彼らの属する組織から配られたものであり、はっきり言えば中身を見せることが許されない武器である。

 仮に任されたとしても、銃の形をしたまた別の武器なので自分では手に負えないと考えているのだろう。

 

「あれはね……むしろ、あれバラしたら凄いことになりそう」

 

「武器の自己防衛本能みたいなのが働いて……」

 

「船の中でそれは勘弁…」

 

「だよねぇあはは」

 

 苦い思い出である。組織から配給された武器は、皆別の姿を持っているのだが、それはまた別の話だったりするので割愛しよう。

 

「あ、そう言えば今日シルヴァ姉の銃のメンテだった!」

 

「え、ほんと?」

 

「別に時間は特に指定してないからいいけどね?バラして組み立て直すだけの簡単なお仕事なのです。だからと言って、集中しないといけないけどね」

 

「ふーん……あ、ならさ」

 

「ん?」

 

「俺の銃も」

 

 瞬間、グランの姿は掻き消えた。またもや下に落下したのだ。いや、落下することは構わない。彼にとってそれは日常茶飯事なのだから。しかし、なぜ落とされたのか…彼にはその理由が全くわからなかった。

 ただ、自分の銃もメンテナンスして欲しいと言いたかっただけなのだが……と、ここまで考えたところで気づいた。

 あぁ、言い方の問題だったのかと。ならしょうがねぇな……と思いながらグランは自由落下に身を任せるのであった。

 

「……え、なんで今落ちたの…?」

 

「『俺の銃』なんていう事を言うのは、セクハラでしょう」

 

 ククルも疑問に思っていたが、リーシャが説明をする。リーシャの説明を聞いて、意味がわからなかったのか首を傾げながら考えるククルだったが、少し考えて意味が理解出来たのか顔を真っ赤にしていた。

 

「あっ……」

 

「……そういう事です」

 

「あ、あはは……団長は別にそういった意味で言ってるんじゃ無いと思うけど……」

 

 真っ赤になりながらグランのフォローを入れるククル。内心、それはそれでありかもしれない……なんていうことを考えていたが、それは口に出さず心の中に留めておいた。

 

「……確かに、よく考えずに落としてしまいましたね…」

 

「で、でしょ?」

 

「後で団長さんに謝っておきます」

 

 リーシャがククルの言葉で少し考えたが、よく考えずに落としたようであり、それを反省してから部屋を出ていった。

 ククルはそれをしばらく見ていたが、リーシャが部屋を出てしばらくしてから、まだ顔を赤くしながらモジモジと体を動かしていた。

 

「だ、団長の銃……ね…」

 

 そんな言葉を、ククルはぽつりと呟く。しかし、その後に続くであろう言葉を言うことはなく、そこから先どう思ったのかは彼女しか知りえないことなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ……」

 

「見事にバラバラだなぁ」

 

 戻ってきてから、グランは模型の銃をバラしていた。影響を受けたというか、ちょっとやりたくなったお年頃なのである。しかし、本当に武器をバラして部品が無くなれば困るのは自分なので、まずは模型から……ということになったのである。

 

「ここからまた組み直すわけか」

 

「思いの外模型でもパーツが多いもんだなぁ」

 

「うし、なら一旦組み立てるとしますか」

 

 そう言ってグランは模型の銃を組み立てていく。一心不乱に黙々と続けられるその作業に、ビィも何も言わずに羽を羽ばたかせているだけだった。そして、しばらく時間が経った時にようやく組み立てが終わったのである。

 

「おわったー!!」

 

「結構時間かかるんだなぁ……もう夕方だぜぇ?」

 

「これからもっと早く組めるようにならないといけないなぁ」

 

「まぁいざと言う時、直せた方が楽だもんなぁ」

 

 そう言っていたグランだったが、しばらくすると時間が段々と短縮されていくわけであり……今回は数時間かかっていたが、次回は1時間短縮、その次は1時間での組み立て終了、そして5回もこなす頃には1時間は余裕で切っていた。

 

「おいおい、もうマスターしたのかぁ?」

 

「いや、まだまだ……これから本物の銃に取り掛かる」

 

 グランの底知れない探究心を見て、ビィは感心しながらも呆れていた。因みに、しばらくすると本物の銃でもプロであるククルと遜色ない修理タイムを叩き出したので、完全にマスターしていたのであった。




今月ククルをサプりました。
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