「今日のゲストはシルヴァさんです」
「よろしく頼む」
「今日は
「違う方が良かったか?」
「いやいや、そういった意味じゃないよ。ただ着分けている時多いなって」
今のシルヴァの格好は、スーツのような格好だが、へそ周りの腹が出ている格好であり、胸は白い布地で隠している。そういった格好である。
「まぁ私としては、どちらの格好も好きだが……こちらの方が仕事着らしいだろう?」
「まぁたしかに……けどいつも思ってるんだけどさ」
「ん?」
「何でいつもお腹露出してるの?」
「…へ?」
まさかそんな質問が飛んでくるとは思わなく、シルヴァは少し意外そうな顔をしていた。それに対してグランは、逆に意外そうな顔で返していた。
「いや、その格好もお腹が出ちゃってるし……いつもの格好もお腹出してるからさ。ずっと気になってたんだよそれ」
「そ、そんなにか?」
「いや、シルヴァって結構恥ずかしがるタイプなのに、珍しいなぁって思っただけだよ。スカートの話振ったらめっちゃ赤くなってたじゃん前」
「うっ……その話はちょっと…」
顔を赤くして俯くシルヴァ。スカートの時と言い、今の時といいどうやら彼女は自分が男達に取って、痴女か何かに見えているのだろうか?とも思わないのだろうか、とグランは思っていた。
痴女は言い過ぎだが、しかしそれでも男達が視線を逸らす事ばかりである。
「わ、私としては……あまり意識していなかったんだ。可愛かったり…これいいなぁって思ったものを着ているだけで……」
「……露出とかは一切?」
「考えていない……」
赤くなっていた顔がさらに赤くなるシルヴァ。見ていて面白い反応ではあるが、しかしあまりからかっても居られないのでここで一旦格好のことは切り上げることにしたグランであった。
「まぁシルヴァの格好は置いておくとして……さて、いつものお便り箱です」
「あ、あぁ!さぁどんどん来い!!」
少し焦りながらも、シルヴァはグランに同調する。じゃなければ、いつまで経っても格好のことで話が終わらなくなりそうな気がしたからだ。
「さて、1通目……『戦闘をする時に、自分が組みたいと思う団の人はいますか?』」
「そうだな……私としては、お互いに攻撃を阻害しないような組み合わせが好ましい」
「と言うと?」
「私の戦い方は狙撃銃による一撃必殺だ。ククルの武器の様に大量にいる魔物の相手をするのは、あまり向いていない武器だ」
「なるほど、確かに」
「ソーンと組めば、また話は別なのだがな。彼女は私よりも遠い位置から、敵の大軍を殲滅することが出来る」
十天衆ソーン。常軌を逸した視覚を持ち、スコープから覗いて遠くを撃てるシルヴァと違い、彼女は裸眼で彼女よりも遠いところを見ることが出来る『魔眼』を持っている。
そして武器は、魔力を矢として放つ魔導弓である。これにより、一度に大量の矢を放つことが可能となるのだ。
彼女にも弱点はもちろんあるが、それはまた別の機会である。
「ソーンを連れ出すのは……」
「…まぁそうか、彼女は誰と組んでも強いからな」
「彼女以外はどう?」
「うーむ……この団には、近接が多いからな。それも、大概が手練の者達ということも考えると、私としては誰と組んでも遺憾無く実力を発揮できると思っている」
「ククルとかクムユも?」
「あぁ」
「なるほど」
確かに、彼女の戦闘スタイルは余程のことがない限り味方を阻害するということは無いだろう。
一撃必殺、群れのボスや味方の後ろから攻撃してきそうな魔物を排除するのが役目なのだ。
そういう点を考えれば、他対戦をする場合シルヴァやクムユのような周りに弾丸をばらまく戦い方をする者達との噛み合わせはいいほうなのだろう。
「ユーステスとかイルザみたいなのは?」
「彼らも私と上手く噛み合う戦い方だな。まぁ私以外狙撃銃を使う者が居ないというのが、一番の理由なのだろうけど」
「ふむ……とりあえず、誰と組んでも問題ないってことだね」
「そういう事になるな」
「では話題がいい感じになったところで2通目に行ってみよう。『何故そんなに大きいんですか?』」
「……?身長の話か?」
「いやぁ、多分そっちじゃないと思うなぁ」
グランは、お便りの主が何を言いたいのかよくわかっていた。要するに、胸の話である。
しかし、体の話題というのは本人も困るものなので、笑って誤魔化すだけになっていた。
「体の話題は、本人にも答えられない事があるんで……」
「…?そうだな、確かに私の身長の話をしようにも食生活や普段何をやっているか……以外にも理由があるかもしれないしな」
シルヴァも、少しズレてはいるが理解してくれたようで頷いていた。グランはこれは無効だと考えて、改めて新しい2つ目の意見を出していた。
「えーっと…『銃工房の人達と仲がいいと聞きましたが、銃の話以外にどんな話をしたりするんですか』」
「銃以外、か……」
「あ、無い?」
「いや…あるんだ……確かにあることはあるんだが……」
どうにも歯切れの悪いシルヴァに、グランは首を傾げる。もしかしたら、ククルと同じように体の話題を上げている可能性もある。それを危惧したグランは、無理に答えなくてもいい……そう伝えようとしたが、その前にシルヴァが語り始める。
「その、ココ最近は結婚の話ばかりされるんだ……」
「…結婚?」
何かと答えづらい話題かと身構えていたグランだったが、いざ聞いてみると全く別方向の話題が飛んできていた。
「私もいい歳だ、いい相手はいないのか?と色々聞かれてな……付き合っている相手はいないと1度は言ったのだが、そうするといい男性を紹介すると銃工房の女将さん達からの相手の写真を見せられるんだ」
「『こんな見た目の男だけどそれでもいいかい?』みたいな?」
「まぁ大体そんなところだ……」
なんと、お見合い話とまでは行かないがそれに近い話題をシルヴァは振られていたわけである。確かにそれは、少し答えづらい話題ではあるとグランは苦笑いしながら納得していた。
「女将さん達が、私の為に相手を見繕ってきてくれるというのは……まぁ感謝している。私が…その、付き合いたい男性がいるという話をしたら、それ以降『その後の調子はどうだい?』みたいな感じでしょっちゅう聞かれるようになったが」
「やっぱり銃工房の女将さん達ってさ……」
「ん?」
「シルヴァの親だよね、ほんとに親にしか感じないよ」
「……そうだな、確かに私にここまで世話を焼いてくれるのは、母親や父親という役割くらいだろう。あの人達は世話焼きなんだ、と改めて知ったよ」
「でも、嬉しいでしょ?全然嫌そうじゃないし」
「あぁ、私のもう1人の両親だ…」
そう言って微笑むシルヴァ。その笑顔には、銃工房の人達に対する親愛と家族愛のようなものが入り交じって居るようにグランは感じた。
「 ふふ……」
「ん?どうした?団長」
「いや?シルヴァもいい人達に恵まれてるんだなぁって」
「あぁ、あの人達は私の中で一番に登るくらいいい人の集まりだと思ってるよ」
グランとシルヴァはそれぞれ微笑んでいた。しかし、ずっと微笑んでいては番組が進行しないので、グランはシルヴァに了承を取ってから三通目に移行する。
「三通目、『何故ミニスカートなんですか?』」
「……やっぱり気になってる人多いのか?」
「そりゃあ、銃を撃つだけならともかく……蹴るじゃん、シルヴァ」
「拳でも戦えるようにしておいた方がいいのだろうか……?」
「そこまでしなくていいと思うけど……まぁでも、ミニスカートではシルヴァとチームを組んだ男性陣はまず戦いづらいと思う」
シルヴァは今の黒い服と、青い服の2着を持っている。前の仕事着は後者の服だったのだが、この服はミニスカートであり、シルヴァはそのミニスカートがある状態で蹴りを主としたインファイトを行う場合があるのだ。
そして、当然ミニスカートで魔物などを蹴るのでミニスカートの中である所に男達は視線が行くだろう。中につける短パンを履け、という話なのだが目の前で真っ赤になっているシルヴァがいるので、グランは当然履いていないのだろうと結論づけた。
「中になんか履けば問題ないと思うけど……」
「それが簡単に出来たら苦労はないんだが……服にもバランスがある、それを簡単に潰してしまえば、今度は銃工房の人達から何があったと心配されかねない…」
「あぁ……」
もし外からわかるくらいの短パンを履いていた場合、シルヴァが少し面白おかしい格好になってしまうのは間違いがないだろう。『ならそもそも長いのを履け』と言うだけの話なのだから。
「…さてと、こんなもんかな?」
「ん?もう終わりなのか?」
「まぁ簡単な話し合い程度だしね」
「ふむ……なら仕方ないか。少し名残惜しいところだが……」
「というわけで皆さんご視聴ありがとうございました、またのご視聴をお待ちしております」
いつもの宣言を終えて、グランはシルヴァと共に部屋を出る。そして出てから気づいたのだが、シルヴァはよく見たら肩から銃をかけていたのだ。何故気づかないのか。
「その銃、ずっと持ち歩いてるの?」
「まぁな、いざというとき武器を携帯しておくのは間違いではないだろう?」
「まぁ確かにね」
少し興味をもったグランが手を伸ばそうとする。シルヴァは寧ろ、もっと見てほしいと言わんばかりに見せようとするが……突如、その足元に黒い例の虫が通りすぎる。
「━━━ひゃう!?」
驚くシルヴァ、咄嗟に後ろを向きながらバックステップを取る様は慣れたものであり、1秒と経たずして戦闘態勢に入る。
「がふぅ!?」
そしてその際にシルヴァの自慢の脚で行ったジャンプ、それの体当たりと銃の持ち手がそれぞれグランに激突する。1つはみぞおち、もうひとつは股間部である。
「あっ!?」
「な、ナイスバトルチェンジ……後太もものライン綺麗っすね━━」
悶絶しながら、グランは落ちていった。番組が終わったというのに、部屋から出たというのに、リーシャが設置した落下罠はまだ生きているようだった。
「え、えっ…!?」
先程の驚きはどこへやら、グランが落下したことによる驚きと困惑がシルヴァを襲っていた。
そんなことをしている間に、開いた扉は締まりグランは落とされた穴からは戻ることが不可能となった。どうせ拾われているので、大丈夫だろうけど。
「……な、なんだったんだ?」
その後、グランが無事だとシルヴァは聞き安堵した。因みにシルヴァの足元を通った黒い例のアレは、シヴァが跡形もなく燃やし尽くしたことによって、団内に平穏を取り戻したのであった。
落ちたグランは、その後なんとか拾われて戻ってくることが出来たが、流石の部屋外での不意打ち落下は心臓に悪かったという。ただちょっと気持ちよかったらしい。
シルヴァさんは大人可愛い。
偶には長編とか書いて欲しい
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はい(ギャグノリ)
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はい(シリアス)
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いいえ