ぐらさい日記   作:長之助

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千年を探す者、ウチに任せてみいひんか?

「今日はユエルさんです」

 

「よろしく頼むでぇ〜」

 

「今日は露出がない方(水SR)だね」

 

「何かなぁ、ロゼッタに言われたんよ。『前の格好(火SSR)は見ただけで危ない、今の格好(水SSR)も危ないからこれ着て』って」

 

「前のならばいざ知らず、何故今の格好も…?」

 

「さぁなぁ……ウチには分からんわ」

 

 今のユエルの格好は、赤い着物のような格好であり、下もキチンと丈の長いズボンを着込んでいるために、いつものユエルからしてみれば圧倒的厚着と言われても仕方ないくらいには着込んでいた。

 

「何かなぁ『子供達が歪む』とか言うとったんよ、よう分からん」

 

「歪む……」

 

 グランは今とは違う格好……今見ているものとは違う、また別の格好を思い出していた。上は白い布を前掛けのように付けており、唯一スカートだけが腰周りを覆っていた。胸囲周辺は、黒い編み目のようなものをつけており、胸だけが綺麗に下着のように覆われていた。そこまでは見ただけでわかるが、もうひとつの下着…要するにスカートの中身がよく分からない状態だった。別段、グランは無理やり見ようとはしないが。

 因みに、膝下まで布でおおわれているが、踵とつま先だけが出ていた。

 

「いつものは、まぁ前のと比べたらあれだけど……一応露出はあったからね」

 

「やんなぁ、なんでなんやろうか」

 

 恐らく、付け根のギリギリのところまでしかないスカートが原因だろうとグランは思ったが、特に言うべきことでもないので自重した。

 

「こんな事言うのもアレなんやけどな」

 

「ん?」

 

「ウチよりロゼッタの方が色気あると思うねん」

 

「自分の格好を客観的に見てから言った方がいいぞ」

 

「グランまでそないなこと言うんか……確かに前の格好は、ちょっと露出してたかもしれんけど」

 

 ちょっと所ではない。胸はほとんど出てるし下はパンツ一丁、太ももの途中まで布で覆っているだけで、それ以外は何も着込んでいない。それをちょっとと言い張るのはどうだろうか。

 

「というか前の格好でちょっと疑問だったんだけどさ」

 

「ん?」

 

「胸を被ってた布はどうやってあれを維持してたんだ」

 

 前の格好、先程も言った通り露出が激しい格好だが……その格好がグランサイファーにおいての七不思議の1つとなっている。因みにもう1つヘルエスの格好も七不思議に入っているが、また別の話である。

 

「え、どうやってってどういう事?」

 

「いや、胸周りを布で覆うのはわかる、わかるんだ。けどさ……普通下着みたいに横向きにぐるっと1周してると思うんだが」

 

「…?」

 

「いやいやいや、要するに胸にあった布二枚をどうやって支えてたか気になるんだが」

 

 初めてあった時のユエルの格好。太ももの布は置いておくとしても、胸を覆っていた布だけは、グランはどうしても気になっていたのだ。

 何故なら、下着のように胸全体を覆っているものでは無い。縦向きにそれぞれの膨らみに布をかけているだけである。それを固定するためのものは、一切何も無いのだ。

 風が吹けばめくれてしまいかねないレベルなのだが、実はそういったことは一切起きていなかった。

 

「胸かけてたあれ?」

 

「胸かけてたあれ」

 

「あれなぁ……実は挟んどったんや!!下乳に!」

 

「よく取れないな!?」

 

「嘘や、冗談に決まっとるやろ」

 

 ニシシと笑いながら、ユエルは誤魔化していた。これはあの格好の秘密を言うことは無いだろうと思い、仕方ないのでお便り箱を取り出してその中からお便りを3通取り出す。

 

「話が長引きそうなので、ここで質問お便りのコーナー行ってみよう」

 

「待ってたで!うちがそういう立場になんのは楽しみやわぁ」

 

「何が出るかな、何が出るかな、何が出るかはお楽しみ……っと『アンスリアさんと、ユエルさんの舞の違いってなんですか?』」

 

「それは……なんかもう、別モンとしか言い様がないわ」

 

 この団には、何人か舞を踊る者達がいる。そう言った者達の中でも、アンスリアは有名な者であり、そのアンスリアとユエルの踊る舞はどう言った違いがあるの……という話をしているのだろう。

 

「まぁ、どのくらい違うのかって話をしたらいいんじゃない?」

 

「うーん、素人目からしてみたら分からんことなんやろうし…せやなぁ、例えて言うんやったら……いちごパフェと普通のバナナくらい違うと思うわ」

 

「分かりづらい」

 

「うーん……せやかて、ウチもなんて言うたらええかわからんのよ。全くの別ものとして考えて欲しい、って事しか言えんよ」

 

「ふむ……まぁそれでいいとしよう。実際俺もどう違うか、って言われても答えられないことなんてあるし……悪いけど2通目にいかせてもらう」

 

「質問してくれた人、ごめんな〜」

 

 カメラに向かって両手を合わせるユエル。その際に耳がピコピコ動いているのを見て、グランは無性に触りたくなる欲求に駆られていた。

 

「2通目は……『どうして最近厚着してるんですか』」

 

「厚着?」

 

「今みたいな格好をどうしてし始めたんですか、って事でしょ」

 

「いや……この格好も、最近してるいつもの格好も……儀式用って奴やしなぁ…今着てるんはソシエが用意してくれた大切なもんやし」

 

「そうだったよね、確かその格好ソシエのお下がりだっけ?」

 

 今着ている衣装、赤い色が目立つ着物のような格好はソシエのお下がりだった。つまり、ソシエにはもう着られない服ということになる。それは、ソシエが成長したため着られなくなった…というのが正しいと思われるが……

 

「……あれ?今更気づいたけど、ウチってソシエより体小さいってことにならへん?」

 

「え、小さいの嫌なの?」

 

「出来ればソシエと同じが良かったわぁ…そうなると胸の大きさ負けてるやん!!」

 

「ぶふっ」

 

 突然そんなことを言うので、グランは不意打ちで吹いてしまった。ある意味逆セクハラである。意味は全く違うが。

 

「まぁウチはグランが気にいるんやったら、どんな格好でもええけどなぁ」

 

「でも初めてあった時の格好は、好き好んで着てたやつだよね」

 

「いやぁ、あれくらい身軽の方がええやろ?」

 

「身軽すぎて逆に危なそうだけど」

 

「そうやろうか?って、さっきもこんな話したような気がするわ」

 

「まぁまぁ……でもまぁ、1番初めの格好を知ってる人からしてみれば、今は確かに厚着だよね」

 

 あくまでも比べてみれば、の話である。レスラーの格好をしているグランに比べたら、他の格好は大概厚着に見えるような…そのようなものである。

 

「ウチよりヘルエスの方が露出が多いような━━━」

 

「絶対にそれは無い」

 

「背中丸出しやん、いつ鎧が前倒しになるか分からんであれ」

 

「自分の格好も基本背中丸出し…というかエルーン全体がそうでは?」

 

「……せやったわ!!」

 

 耳と尻尾がユエルの反応と同期しているかのように、ピンと上に向く。素直な犬のように見えるのは、やはりユエルの元来の性格だからだろうか。

 

「まぁ、そろそろ話が脱線してきたし…三通目行くか」

 

「せやな」

 

「んー……『尻尾ってどうやって洗ってるんですか』」

 

「しっぽ?」

 

「そのいかにも、モフモフしてそうな尻尾の事だろうな。触っていい?」

 

「アカンで〜?言葉だけならともかく実力行使は、秩序の人に晒し首にされるで〜」

 

「そんなスプラッタなことをする人は、ウチにはいません」

 

 ユエルの尻尾。実を言うと、尻尾を持っているエルーンは数が少ないのだ。基本的に、特別な力を持つエルーン等が尻尾持ちなことが多い。グランサイファーに乗船しているメンバーの中では、ユエル、ソシエ、アンチラ、ヴァジラの4人である。

 その内、ユエルとソシエは狐の尻尾のようなモフモフである。

 

「確かに、この尻尾実を言うと洗いにくいのよなぁ」

 

「まぁ、見るからに水を吸い取りそうだもんね」

 

「そうなんよぉ、いざ洗おうと思ったら…その、結構いい感じに長いブラシが必要でなぁ…ソシエとウチの自主制作したブラシを使うて、毛の内側まできっちり洗わなあかんのよ」

 

「水落とす時ってどうしてるの?振ってる?」

 

「振られへんくらい重なるんよなぁ…」

 

「そりゃあ大変だ、じゃあどうしてるのさ」

 

「こう、ソシエに絞ってもらってるわ…ただあんまり強うしすぎると痛いから、優しぃく絞ってもらってんねん……アンチラやヴァジラが羨ましいわぁ」

 

 モフモフであるが故に、ユエルとソシエは尻尾で四苦八苦しているようだ。アンチラの尻尾は、猿のようにモフモフしたものではないので、あまり水を吸い取る等といった不便は起こっていないようだった。ヴァジラはその中間であり、犬のような尻尾なのだがグランは別段そういった事で悩んでいるという話を聞いた覚えがなかった。

 

「尻尾付きのエルーンって少ないからね…」

 

「だから色々と珍しがられるし、尻尾洗う道具も不足してるんよなぁ」

 

「そう言えばさ」

 

「ん?なんや?」

 

「尻尾触っても」

 

 セリフが終わる前に、グランは吹き飛ばされていた。突然壁から飛んできた鉄球に当たり、そのままの勢いで壁に吹っ飛ばされていた。

 因みに、いつも床が開く様にその壁も開く事で、グランは凄まじい勢いのまま船の外へと吹き飛ばされたのだ。

 

「……場外ホームランやなぁ…まぁ、そないに気になるんやったらちょっとくらい触らせてもええかもしれんなぁ……」

 

 随分と遠くに吹き飛ばされたグランを眺めながら、ユエルはポツリと呟いていた。

 ちなみに、尻尾を触りたいというのはセクハラ発言になるのか?という話だが、こればかりは当人達しかわからないことなので、グランは今度から尻尾触る発言はしないようにしないといけないと思っていた。

 しかし、あのモフモフは1度味わってみたいと思わなくもない……とも思っていた。

 この矛盾が、彼をただただ悩ませるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?尻尾?」

 

「うん、触られるのどう思う?」

 

「オイラは別に気にしねーけどよォ、あいつらみてーに毛はねぇし鱗だから触るといてーぞ?」

 

「え、鱗って触ると痛いの!?」

 

 あまりにも気になったので、グランは何を血迷ったのかビィに触られることを、どう思うか聞いてしまっていた。

 当たり前だが、ビィの尻尾ではユエルやソシエみたいにふわふわしたものでは無いので、当然触っても何も思えないというのが正式な回答である。

 アンチラは、よく触っている……というか腕にぶらさがってる際に嫌でもしっぽが腕に触れているので、今更感があるのだ。

 

「くっ……」

 

「そんなに触りてぇならよォ、本人達に頼めばいいじゃねぇか」

 

「ダメ元で頼み込めばいけるか!?」

 

「いやぁ、オイラはそんなん知らねぇよ。あいつらに聞けって話だしなぁ……それよりも、あっちにアンチラがいるぞ」

 

「はい?」

 

 ビィが指をさした先には、確かにアンチラがいた。しかし、膝をついてめそめそと泣いている姿なのだが。

 

「なぜ泣いている……」

 

「団長が尻尾浮気するなんてぇ……」

 

「尻尾浮気」

 

「他の尻尾に惑わされるなんて、酷いよォ……」

 

 グランは困惑した。尻尾浮気という聞き覚えのない単語を口にされたばかりか、何故かアンチラが泣いている姿が心に刺さったからだ。

 これも、あのフワフワのもふもふを触ろうとした天罰なのだろうか……とグランは考えた。

 しかし、触りたいという気持ちもあった。しかし、泣いているアンチラが…尻尾が…アンチラが…泣いている尻尾が……と思考がループしていった後……

 

「……」

 

「…あれ?おーい…」

 

「……困惑しすぎて思考がぶっ飛んじまったな、こりゃあしばらくは元に戻らなさそうだぜ」

 

 ━━━グランはその内、考えることをやめたのであった。




何故ユエルなのかって話しです。
バレンタインに新しく何か追加された組です。後もふもふしたい。

※2019/03/09
2時34分追記

ヴァジラ忘れてましたすいません……というか尻尾あったことに気づかなかった…失態でした…
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