「今日のゲストはなんと3人」
「ちぃーっす、エルセムでーす」
「うぃーっす、トモイでーす」
「うぇーい、ローアインでーす」
少し茶色がかった肌の色、そして金髪銀髪となっている3人組。ローアイン、エルセム、トモイ…3人合わせてチームローアインである。
いつもは1人なのにも関わらず、何故か今回は3人組である。その理由だが……
「えー、団長権限によりこの3人は揃ってないとなんか会話1/3位の内容で終わりそうだと思ったので3人にしました」
「ちょ、ダンチョ酷くね?」
「いや実際君ら3人の魅力って、君らの独特な話し方と3人いる時のテンションの上がり方だし」
「……あれ?もしかして結構褒めちぎられてるパティーン?」
「マジで?」
「マジで」
「やっぱダンチョ素敵だわ男だわ。俺ら一生ついていくわ」
感動しているのか、真面目な顔でウンウン頷いているローアイン。それに釣られてかエルセムとトモイも頷いていた。
「まぁ、ローアインはファラと一緒に専らキッチン仕事させてるけど…なんかキッチンに不満ある?」
「あー、火力がちょーっとデンジャラスな時あるっすわ」
「え、マジで?そんな危険なことになってんの?」
「なんつーか…ココ最近、グラサイめちゃんこボロボロになってる弊害っていうか……0か100しかねぇピーキーな火力っつうか」
「やばいな…外装とかエンジンに負担かけすぎて気づかなかった…1回グランサイファーガチで修理しないといけないか……」
よく考えなくても、サンダルフォンの時の災厄や天国の門への到達、そしてつい最近決着の着いたベリアルの時なども含めて、グランサイファーは幾度となく修理と改修を尾施されていた。
しかし、その際に1番被害の大きかったエンジンや外装にばかり手をつけていたせいで、他の部分に手が回ってないことも多かったという。
「それでも、クッキングできるんで問題はまぁねぇんすけどね」
「いやいやいや……大問題だわ。言ってくれてありがと、修理費出さないとな……」
グランは大真面目な顔でメモしておく。後でラカムに伝えるためでもある。
ローアイン達はそんな彼の様子を見て、真面目な顔をしていた。メモを書き終えた時、グランは3人が見ていることに気づいて首を傾げていた。
「…どしたの?」
「いや、やっぱりダンチョは器でかいわ」
「マジそれな、俺ら言わなかったのが悪ぃのに感謝されたし」
「いやいや、そこで感謝以外何が出るの?」
「っべぇよ、マジやべぇよ。これ俺女だったらまず惚れてたわ」
「「分かるー」」
なんのことだが分からずに更に首を傾げるグラン。ローアイン達も、グランがそれを天然で行っていることを知って、さらに尊敬を抱いていた。
「元々はさァ、キャタリナさんのためにグラサイ乗ろうと思ってたけどォ…いい人ばっかでマジバビッたのよ」
「分かるわ、そん中でもダンチョは1番聖人」
「マジそれな」
「聖人って……そんな俺人に好かれるような事したかな」
「ダウト」
「ダウター」
「ダウテスト」
「え、なにそれお前ら息ぴったりかよ」
ローアイン達が1人ずつビシビシとグランに指をさしていく。幼馴染で腐れ縁だと聞いているので、長い間つるんでいたらここまでの連携プレイを出すことが出来るのだろうか、とグランはしみじみ思っていた。
「まぁ?ダンチョとビィさん並には一緒にいると思いますし?」
「…確かに俺とビィも結構以心伝心してる時あるかも…」
「まぁ2人の絆はやべぇってのは知ってるけど、さすがに絆では負けたくないっすわ俺ら」
「多分一番仲いいよねグランサイファーの中で」
何せ、K.B.S.Nなる技を使ってくるのだ。しかし、ここまでイケメンで料理ができて他人を思いやることができるにも関わらず、何故か彼らはモテない。
理由は前述の騎馬戦だろうと、グランは笑顔の裏でそう考えていた。というか、それが理由なのは明白なのだが何故か気づいていないようなのだ。
「そう言えばカタリナにアプローチ続けて、今何回目?」
「この間でぇ…万超えたっすよ」
「だはっ!桁を盛るんじゃねぇよ桁を!」
「おめー1日何回アタックしねぇと万超えるか分かってんのか」
「は?ンなもん100回以上アタックすれば簡単じゃん」
「え、マジで?100回でいいの?」
3人のお馴染みの漫才が目の前で繰り広げられていた。グランはそれを見ながら、苦笑を漏らしていたがふと思い出したかのようにダンボールを取り出す。
「お、いつもの出しちゃいますパティーン?」
「そうそう、そろそろお便り読んでいかないとね…時間がね……というわけで1通目『何故ノイシュさんは無事だと思います?』」
「それ俺らに聞く?」
「ダンチョ、それ混じったやつじゃね?」
「……いや、これローアイン達宛だよ」
「マジで?それ書いた人答えられるってなんで思ったんすかね」
「さぁ…?」
ノイシュ…彼らと絡んだことがない、という訳では無いが彼らよりは、ヘルエスやセルエルの2人の方がまだ答えられるだろう。
アイルスト王国側の人間のはずなのに、特に料理という観点でしか絡まないのに何故送られてきたのか。
「無事ってぇと……」
「あれでしょ、刺激物に対する耐性の高さでしょ」
「だよね……」
ノイシュは、どんな料理でも基本的に美味しいと言ってくれる。そう、たとえそれがカタリナの用意した料理であっても、本当に心の底から美味しそうに食べるのだ。それで腹を下したこともないので、彼の胃袋の丈夫さは事情を知っているものからすれば、恐らく人類1だろう。
「ヴィーラちゃんですら、倒れる時は1発のものを本当に美味そうに食べてくれるっすからねぇ」
「あれほんと謎」
「ヘルエスも言ってたなぁ…毒味役として凄く役に立てないって…」
カタリナの料理を美味いと言えるのならば、当然それと同等の刺激物も彼ならば美味しく頂けるということである。アイルスト王国の騎士だった彼だが、そこ以外はほぼ完璧と言っても差し支えがない。
逆に言えば、そこに関してはまず任せられないということになる。
「……まぁ、バレンタインの時なんかは皆頼ってるけどね」
「キャタリナさんのチョコ…食べてるからなぁ…」
ローアイン達もウンウンと頷いているが、結局の所何故彼があそこまでの味覚音痴なのかは…考えない方がいい案件な気もすると、この場の4人はそう感じとっていた。
「次行こう」
「ウェーイ!」
「2通目『3人の好みの女性は何ですか?』」
「無論キャタリナさん」
この手の質問において、ローアインは既に心に決めた人がいるのだ。まず、迷うことなくカタリナを彼は宣言するだろう。
「んー…フーちゃん」
「ゆぐゆぐ!」
少し言い淀んでいたが、エルセムとトモイも同じく答える。グランは知らないが、フーちゃんとは帝国にいる宰相であるフリーシアのことであり、ゆぐゆぐとは星晶獣ユグドラシルの事である。
「フーちゃんって?」
「あー、ほらあの、帝国宰相の」
「あぁ、フリーシア……帝国の人だけどあの人綺麗だよね」
「おっと?もしかしてダンチョの好みもフーちゃんパティーン?」
「あはは、綺麗だけど恋愛対象かどうかはわからないや」
グランは笑ったが、まぁ好みのタイプという反応でもなかったのでローアイン達は同じように笑って、その場を誤魔化す。というか、下手なことを言ってしまうとグラン自身の身が危ないことを皆知っているのだ。
「ゆぐゆぐって、ユグドラシルの事?」
「そうっす」
「……可愛いよね」
「Do感」
ユグドラシルは可愛い。ルリアの中にいることが多いが、一度姿を表した時に時折彼女は笑顔を見せるのだ。星晶獣とはいえ、女の子らしい趣味を持っていると言っても間違いではないので、グランサイファーでもかなり人気の高い女子である。
「エルっち、1回ゆぐゆぐとデカさ一緒になったとかって妄想してたんすよ」
「そうそう、ギガントエルセムとか言ったロボット」
「え、彼女機械関係苦手だよ?」
「「「……は?」」」
このことを3人は知らなかったのか、グランのぽつりと言った一言に目を見開いていた。
そう、ユグドラシルは機械が苦手なのだ。自然豊かなルーマシーにいる星晶獣のためか、自然豊かな環境を好みこそすれ、人が多く発展した産業などが多い環境を、彼女は好んでいなかった。
真逆の位置にあるものなので、当たり前といえば当たり前かもしれないが。
「おいおいおい…まさかの速報だぞコレ!」
「おいおい…これは悲しい事実だわ…」
「……ゆぐゆぐ…」
悲観する3人だが、別に巨大化しなくてもユグドラシルとは一緒にいられるのだ。そもそも、星晶獣に取って大きさというものはあまり意味をなさないものらしいからだ。
事実、その身の大きさを変えているのも何人かいるためである。
「フーちゃんも…そういうのあんのかな……」
「あ、トモちゃん病み始めた」
「っべぇわ、病院案件再びだわ」
「病院?」
「トモちゃん、フーちゃんの事考える度に病んでんすよ」
「ワーさん達と会した時とか、俺らですらドン引きだったし」
遠い目をするトモイだが、正直時間もまともにないので仕方ない話だがグランは3通目に移行……しようとした時。突然ドアがノックされる。
「ん、あれ?今撮影中なんだけど……誰ですかー…」
グランが席を立って扉の前に行く。途中まで目で追っていたローアイン達だが、ふと視線を窓の方に移すと……何故かシュヴァリエがふよふよと浮いていた。窓の外に。
「……あれ、ヴィーラちゃんの…」
「ぱひっ!」
シュヴァリエを見つけた瞬間に、グランが素っ頓狂な声を上げる。瞬間的に視線を後ろに移すローアイン達。
そこでは何故かグランをお姫様抱っこしているヴィーラが立っていた。
「ちょ、ちょちょっ!?」
「な、なんでヴィーラちゃんがここに!?」
「俺らなんか余計な事言った!?」
「いえ、ただ……居場所がわかっている分やりやすい……いえ、殺りやすいと思いまして」
言い換えられているが、発音的には何ら変わりのない言葉。しかし、ローアイン達はその言葉にある殺意を明確に感じていた。そして、それが当たり前のように自分たちに向けられていることも、理解していた。
「言い換えられてないのに言い換えられてるパティーンだわ!!」
「殺意溢れてるわ!!」
「俺……最近油っこいもの、駄目なんだよね…」
遠い目をするトモイ。この状況が、彼が現実逃避をするには十分なほどえげつない状況だというのは理解出来ていた。その現実逃避も、無駄な話なのだが。
「なんで今それを━━━」
シュヴァリエがカメラの前まで行き、向きを変える。ローアイン達を映さないようにして、窓の外だけを映す様にする。
しかし、その綺麗な青空とは裏腹に画面の外では赤黒い現場が繰り広げられていた。
「「「ぎゃー!!!」」」
ローアイン達の悲鳴がこだまする。何が悪かったのか、何が行けなかったのか。今回三通目まで行けてないのだけどそれでいいのだろうか。
と、色々突っ込みたいことは山ほどあるのだが、しかし外に向けられたカメラはヴィーラの手によってoffにされて、そのままグランはヴィーラに持ち運ばれていき、ローアイン達はその場に放置されているのであった。
その構図は、さながら選択肢を間違えた結果の死亡…つまりは、物語で言うところのBADEND。
因みに、グランはちゃんとヴィーラの手によって団長室に運ばれて行ったのであった。ローアイン達も、きちんとメタノイアをかけられたのであった。
BADEND NO.37564『放送事故』
ローアイン達……結構難しいねんな……