「とんでもなく遅れたエイプリルフールイベントだゴラァ!!」
突如襲いかかる筋肉質なビィ。身長は成人したドラフの男性よりも高く、そしてより筋肉質になっていた。羽は可愛い時の面影はなく、とても長くなっていた。
「うるせぇ!死ね!!!!!!!!」
そして突如現れる金髪の少女。ピンクのスカートが特徴的な彼女は、そんなマッスルビィを一撃で粉砕していた。
「今日からこの話は『ジータの百合百合パラダイス☆』になるんだよ!!R-18に染めてやるから覚悟しておけ!!!
まずはベアトリクスが相手だ!!立派な犬に仕立ててやんよォ!!」
そして唐突に叫び出す。しかし、彼女は気づいていない。自分の騎空団に所属しているのがオッサンばかりだということに。
そして、まだもう1つ……弊害があるのだ。
「はっ!?なんだ、夢か…」
今のがグランの夢であるということである。因みに、ジータが実際にいるかどうかは秘密である。ここでは特に関係もないので、割愛させて頂く。
「団長殿、夢を見ていたのですか?」
「うん……とても、とても変な夢だったような…」
「女の子口説くのに変な夢はないでしょう」
「じゃあここでもしメーテラの夢を見てたって言ったら?」
「……」
現在、とある島の宿屋でメーテラ、スーテラ、アステールの3人と共にグランは駄弁っていた。別に一緒の部屋に泊まっている訳では無いが、朝迎えに行くとグランが未だに寝ていたのでこうして様子を見ていたというわけである。
「あれ?メーテラ姉様、顔が赤いのです」
「う、うっさい!!とりあえず早く依頼片付けに行くよ!!」
今日の依頼は魔物退治…簡単なものである。だとすれば、メーテラが着いてきているのは珍しい話だが、どうやらここの村にある化粧品が目当てだったようだ。
「そういや、化粧品は買ったの?」
「依頼終わらせてからの方がいいでしょ、そーいうのは」
「まぁそうだけど…まぁ今回の依頼はすぐ終わるもんだし、先に買っといても……」
「壊れたりしたら嫌じゃん」
「確かに」
「ねぇ」
「はい」
「魔物退治って言ったわよね」
「言いました」
「目の前にいるの明らかに星晶獣なんだけど?」
目の前にいるのは、星晶獣である。砕かれるために生まれてきた…と言われてもおかしくないような、そんな星晶獣達がいたのだ。悲しき存在である。
「なんでいるのかなぁ…って僕も思ってました、はい」
「ルリアどこ行ったの」
「今日は船でミックスパイを食べてます」
「……あれ倒すの?1体2体じゃないのよ?」
「……頑張ります」
「改めて考えたら、星晶獣倒すのに『頑張ります』って言えるのおかしいわ」
ご最もな意見だが、少なくともこの場には星晶獣を単独で倒せるのが二人はいるのと、そのうちの1人がメーテラ自身なために全く説得力がないのが悲しい現実である。
「えーっと…6体くらい?」
「大体そのくらい、メーテラ達が苦手そうな奴等もいるからそっちは俺がやるよ」
「あっそ……で、今何持ってるのそれ」
「刀と鰹」
「ジョブは剣豪なのね……」
二人で話し合っているが、残り2人はついていけてないのか会話に混ざれなくなっていた。しかし、やらねばならない時もある……2人は自分の得物を構えて準備だけはしていた。
「姉様、団長殿」
「ん、スーテラ達も準備できたみたい」
「じゃあメーテラ達はあっちの方、俺は向こうの方やるよ。数多いし」
「じゃあ任せるわ。もしアタシらより遅かったらペナルティね」
「俺の方が早かったら?」
「……きょ、今日1日なんでも聞いて━━」
「っしゃオラいくぞぉ!!」
「えっ早っ!?」
メーテラが言い切るよりも早く、グランは星晶獣の群れに使って突っ込んで行った。そして、アステールは思っていた。
ここまで星晶獣が溜まっている島は、なんなのだろうか…と。
「まずは2体ィ!!」
「あんたやる気出しすぎじゃない!?」
そして、わかりやすい餌をぶら下げられた為かとんでもなくやる気を出しているグランを見てから、自分の胸に手を当てていた。
「アステール?どうしたのですか?」
「スーテラ姉様、やはり男性は胸が大きい方が好みなのでしょうか」
「…団長殿の事ですか?」
「はいなのです……」
「大丈夫ですよ、アステール」
「ほぇ?」
「団長殿は、小さな子供にも興味のある大変心の広いお方ですから」
明らかに言い方に語弊があるような感じだが、しかしアステールは何故かその言葉で嬉しそうにしてしまっていた。
「ねぇ!今何か凄く誤解されてる気がするんだけど俺!!!」
「気の所為でしょ!!ほら早く倒す!!」
「あ、はい!!」
叫びながらも、グランは星晶獣をひたすらに片っ端から倒していく。暴れるのでしょうがないしょうがない、と思いながら淡々と倒していく。その間、頭の半分ほど使って全く別の事を考えているのだが、そうやって別のことを考える度に吹き飛ばされていた。
「ぐへぇ!!」
「あんたもう何回吹き飛ばされてんのよ!!」
「大丈夫だ!破局食らってたらこんなの屁でもねぇ!!」
「ほんとサルナーンとかに感謝しなさいよ!?」
2人して会話をしながら、サラッと倒され続けていく星晶獣達。気づけば、その数もかなり減っていて残り一体となっていた。
「さっさと終わらせるわよ!」
「しかし姉様!この星晶獣大きいです!」
「いいから!やらないといけないのよ!」
「だったら、4人で合体技なのです!!」
「は?合体技?」
「はいなのです!スィール君がロマンだと言っていたのです!!」
グランは思った。確かに合体技とロボットは男のロマンであると。ならば、年頃の子供であるアステールとスィールがそんな感じの話をしていてもおかしくはなさそうである。
「てか、合体技って何すんのよ」
「まず私のボーガンを巨大化させるのです!」
「そして、私がそのボーガンの先を支えます。姉様はボーガンの上に乗り、団長殿は抱きついて下さい」
「えぇ……」
ドン引くメーテラだが、スーテラに言われた通りに行動する。何故かグランはメーテラの腰に抱きついていたが、メーテラは敢えてスルーしていた。
「行くのです!」
「守り人ブラスター、シュート!!」
「技名ダサっ!!」
グランとメーテラは打ち出される。そして、敵に届く直前にメーテラはグランを弓にかけて、流星の如く一直線にグランを打ち出す。
過剰に増した速度はグランの体に突風を与え、貫通力を与え、破壊力をもたらした。
結果星晶獣は撃ち抜かれて、依頼は無事完了したのであった。
「夢、だと……」
ベッドで起きるグラン。今まで現実だと思っていたら、途中からおかしくなって夢だとあとから気づくパターンである。見てる時は、一切夢だと気づいていないのがよくある話だが。
「随分と楽しそうな夢見てたんだなぁ」
「ビィ…俺寝言でなんか言ってた?」
「いや別に……それよりもルリアが呼んでたぜ」
「ルリアが…?」
自分の場所はある程度分かると思うのだが、わざわざ呼び出すあたり二人きりで話がしたいとか、そんな所だろうか?グランはひとまず、ルリアの気配を辿りながらグランサイファーの中でも人気のない所を訪れることとなっていた。
「ルリア?どうしたんだ?」
「それが……私の中の星晶獣達が、ボロボロになってるんです」
「え、全員?」
「いいえ、1部だけです」
グランはふと、やけに鮮明に覚えている夢の光景を思い出していた。自分の中の夢とはいえ、何体か星晶獣を倒しているのだ。
少しだけ、グランは冷や汗をかいていた。
「グラン?どうしたんですか?」
「ん?いや……ちょっと気になることと言うか……」
「気になること…?」
グランは考えた。言うべきか言わないべきか。正直に言うべきだと、グランは思っている。しかし、ルリアが今まで力を吸収した星晶獣だったのならば、多少の見覚えはあってもおかしくないはずなのだ。
グランには、夢の中で見た星晶獣達にその見覚えを感じなかったのだ。もしかしたら、全くの別件かもしれないと思い始めていた。それでも、中々冷や汗は止まらないが。
「どうしたんですか?」
「ん?いや……今日夢で星晶獣と戦う夢を見たなぁって…ただ、見覚えはないから別なのかなって……」
「うーん……多分、私とグランが繋がっているせいで少しだけそちらに流れたんだと思います。それが、グランの夢の中で現れてしまった」
「夢、ゆめか……」
いくらなんでもできすぎている気がしなくもないが、グランは気にせずに夢関連のことに関してのエキスパートを呼ぶことにした。彼女達も星晶獣だが、まだどうにかしてくれるだろうと。
「流石に私もそんなアホな夢を見る団長だとは思ってなかったわ」
「そんなきついこと言わないでくれよ……」
グランは、メーテラにドン引きされていた。当たり前である。夢の内容をそのまま話した結果、何故か自分達が変な必殺技を使っていたと言われれば誰だってこうなってしまうのだ。
「いやぁ、守り人ブラスターはないわ」
「え、そっち?」
「どっちもに決まってんでしょ」
「うぃっす」
どっちもの意味が通じているからこそ、グランはさらに小さくなっていた。しょぼんと肩をすぼませている姿を見て、これを団長だと思うものは誰一人としていないだろう。
「こんなのスーテラとかアステールに話せないわ、幻滅されるわよ幻滅」
「あの二人に幻滅されたら待っているのは死では…?」
冷静に意味不明なことをグランは言っているが、メーテラは華麗に無視をした。
その頬は朱に染まっていたが、グランは気づくことは無い。
「……夢に出るって言うのは、それなりに脈アリって事じゃん…」
「メーテラさんメーテラさん」
「ん、何よ」
「今日の依頼一緒に行くことは変わらないでしょうか」
「守り人ブラスターとか言い出さなければなんでもいいわ」
「うぃっす」
そう、この2人…アステールとスーテラの2人を加えて依頼に行くのだ。まるで、グランが見た夢と同じように。
「メーテラ姉様ー!」
「お、きたきた……ってやけに上機嫌じゃん、アステール…どしたの?」
「聞いてください姉様!今日はスィール君に面白い技をおしえてもらったのです!!」
ふと、グランは嫌な予感がしていた。というか、頭の中ではリーチがかかっていた。あと一つ揃えばトリプルビンゴをしてしまうと言わんばかりに、頭の中で警鐘が鳴り響いていた。
「……へ、へー…」
メーテラも同じことを思ったのか、その額には汗が滲んでいた。彼女もまた、嫌な予感に縛られているのだ。
「私達も、スィール君達と同じように合体必殺技を使うべきだと思うのです!」
「アステール、1回落ち着こう?」
「もう技の名前も決めてるのです!」
「アステール、お願いちょっと━━━」
「技の名前は━━━」
「はっ!?」
一体何度目だろう。夢と思って起きればまた夢…悪夢の連鎖は続くのだ。一体どこから夢でどこからが夢ではないのか。
特にシリアスは求められていないので、この謎は永久に解決することは無いだろう。
そう、オチはないのだ。
主に使ってるスマホがイカれたので遅れて投稿です。
特に夢オチに理由はないですし、夢関係のあの二人もこの話では出しません。
偶には長編とか書いて欲しい
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はい(ギャグノリ)
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はい(シリアス)
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いいえ