「今回のゲストはソフィアさんです」
「どうも、ゼエン教に興味をお持ちの方がおられましたら、私の方にご相談してくださいね」
「さて、ソフィア」
「はい?どうかしましたか?」
真面目な顔で、グランはソフィアに向き直る。ソフィアは真面目な顔をしているグランに対して、何か真面目な話をするのかと思い背筋を正していた。
「その足はいかんでしょ」
「…へ?」
キョトンとするソフィア。本人は自覚がないのかもしれないが、ソフィアの格好はとんでもなく太ももが露出しているのだ。一時期、とんでもなく短いスカートを履いていると思っていたグランは、突っ込むべきか突っ込まないべきか悩んだほどに、太ももが露出しているのだ。
「いや、足」
「え、えっと……?」
「……自覚無し?」
「え?」
噛み合わない会話。どうやらソフィアは、あまり意識せずにあの短いホットパンツを履いていたらしい。ゼエン教は服装については、どうやらあまり意識していないらしい。
「えぇ、正直私も前々から気になっていました」
「でしょ、リーシャ」
「えっ!?り、リーシャさんいつの間に!?」
「いまさっきからだよ」
驚くソフィア、何も驚かないグラン。慣れきっているせいか、グランはリーシャがどこからともなく唐突に現れても、驚かなくなっていた。
これ以上驚くようなことがあるのか、という話だが。
「わ、私の服装については…直すように努力は致しますが…えっと、それなら私以上に露出している方はどうなっちゃうんですか…?」
「いや、露出の問題じゃないんだ」
「…?」
キョトンとした表情のソフィア。イマイチ理解できない彼女に対して、グランは一から説明するためにわざわざリーシャがどこからともなく取り出した紙に、サラサラと書き記していく。
「えっと、まず男性…とりわけ思春期の男の子は、女性のスカートの中が気になります。そこはOK?」
「は、はい……えっと、ちょっとエッチな事するんですよね…?スカート捲りとか……」
「はいそうです。でもうちの団の場合、スカートももちろん居る。けどメーテラやユエルみたいにもう格好が下着じゃん…って奴もいる。そういうのには、男の子はちょっと思春期心を擽られません」
「は、はい」
「スカートもいるけど、そのスカートを履いているメンバーにも短いやつはいるけど、それ以上に短い丈をしているのがソフィアなんです」
絵がかけないのか、名前を書いて『大丈夫』とか『大丈夫じゃない』とか色々書き記していく。ソフィアはそれで少し理解できたのか、頭の上に『?』マークを作りながらも頷いてはいた。
「えっと…つまり、私の格好は扇情的だと…?こ、今度から別のものを着用します……」
「あ、俺としては構わないので出来ればもっと短ぐんっ!!」
突如鋭い音が鳴る。気づけばリーシャの手にはハリセンが握られており、それで殴られたことは明白だった。
「カウント1」
「え、何そのカウントめっちゃ怖い……」
リーシャから無言で渡されるお便り箱。グランは困惑しながらも、そのお便り箱の中から1枚のお便りを取り出す。お便りコーナーに行くことを宣言してないので、いつも以上にシュールな光景になっている。
「…あ、忘れてた。今からお便り読み上げます……ソフィアにもいっぱい来てるよ」
「う、嬉しいです」
「1通目『今まで1人で旅をしてきたんですか?』」
「今まで…?」
「グランサイファーに乗る前じゃない?」
「あ、なるほど……そうですね。基本的に1人で行動していました」
得意の杖を自分に持たれさせながら、ソフィアは懐かしそうに語る。戦う力は無いものの、回復に関しては彼女はかなり上なので一時的なチームを組む際には『いてくれたらとても嬉しい』とグランも思うほどである。
「でもずっと1人じゃなかったんでしょ?」
「はい、偶にご一緒になった方と街まで歩いたり……そういったことは何度かありました」
「ごめん。正直ソフィアって純粋なのに、よく今まで……って思ってるよ」
「そうですね……偶に幸運のお守りとか、そういうのを渡されてお金が尽きてしまうこともありました」
「そういった時はどうしてたの?」
「お仕事のお手伝いなどをさせて頂いたり、私でも出来そうな依頼を成功させて、お金を稼いだり…色々してました」
「なるほどねぇ……まぁ、一人旅はやっぱり自分の腕っ節がないと色々ときついかもね」
ソフィアもまぁ戦えないこともないが、それでも強力な魔物などは存在している。誰かに頼めばいいのは明白だが、世の中には足元をみたり騙したりする輩も存在するので、どちらにせよ自分で魔物を狩れる腕がないとかなりきつい部分があるだろう。
「まぁ、ソフィアの場合人に騙されそうな場面が多そうだけど…人を疑うことをしないし…」
「ゼエン教の御加護ですね!」
「ゼエン教すげぇ……と、このまま2通目へといこう。『なんで私服もいつもの服装と変わらないんですか?』」
「あぅ…」
いつもの服装というのは、ゼエン教の所謂制服のようなものである。厳密には違うが、ゼエン教としての役割を果たすために動いているソフィアは、私服よりもそちらの服の方をよく着ているのだ。
そして、私服というのはとある町によった際に変装するために購入した服で、雰囲気がガラッと変わるため団内で見たことある人物達からはだいたい評価がよかったりする。しかしどちらの服も太ももが凄いし、私服に関してはミニスカである。
「さっきその服の太ももの露出云々の話したけどさ、そうだよね……ソフィアの私服も太もも結構見せてたよね」
「えっと……そんなにおかしかったでしょうか…」
「別にこれは純粋な疑問なんだけどさ、その服装みたいにホットパンツにしなかった理由ってあるの?」
「へ…?あ、これ可愛いなぁ……って思って」
「なんとも女性らしい意見ありがとうございます……まぁミニスカのおかげで色々と眼ぷぐん!!」
「2」
「しまった……つい……」
「あ、あの…?」
再びリーシャの持つハリセンが、グランの頭に叩きつけられる。セクハラは本能行為で行う団長と、それを許さない秩序の騎空団団員のある意味攻防である。
「あぁいやいや大丈夫……あぁ、露出といえば…」
「はい?」
「……いややっぱり何でもない」
何も考えずに『なんで上半身はそんなに着込んでるの?』とか言いかけたグランだったが、リーシャの持つハリセンが2つに増えたことと、ソフィアだと本気にしてしまいそうなことを考えたら…口に出せないでいた。
「とりあえず3通目な。『過去を見るというのは、疲れますか?』」
過去を見る、ゼエン教であるソフィアの力の事なのだが……これは正確には、過去を見るのでは無く星晶獣の記憶を辿り、その星晶獣の過去を見るというものだ。つまりは、過去ではなく記憶を読むと言った方が正しい。
「そうですね……かなり疲れます」
「星晶獣は、基本無茶苦茶力が強いからね。戦闘しないような星晶獣であっても、干渉が結構きつい時もあるってルリアも言ってたし」
「ルリアさんですら疲れるのですから、当然私も疲れます。けど、それを理由に困っているのをみすみす見過ごしたりは……私にはできません」
「ん、それがソフィアのいい所だってちゃんとみんな理解しているよ。それに、困ってる人を助けないなんて選択肢は俺達にはないし」
多種多様なグランサイファーだが、何の不思議か全員困っている人を放っておくことは出来ない性格である。類は友を呼ぶと言うべきか、それとも団長であるグランに感化されたためかは分からないが…少なくとも、皆ソフィアの気持ちは一様に理解出来るのだ。
「後ソフィア」
「は、はい?」
「ルリアと自分の力を比べるの禁止」
「あぅ…」
出会ってしばらくした頃、ソフィアはルリアの力を聞いて落ち込んだ時があったのだ。理由としては、自分は星晶獣の記憶だけを読むことに対して、ルリアは対話を可能としている為である。
ルリアには星晶獣の感情を読むことも可能だが、正確には記憶を読むことはあまり得意とはしていないのだ。つまり、比べるにしても力の方向性が違うのだから比べようがないという話である。
「うぅ…でも、ルリアさんは星晶獣とお話できるけど…私は出来ないから……」
「はーい、ネガティブ禁止。次ネガティブな事言ったらほっぺた伸ばします」
「微妙に痛いやつじゃないですかそれ……」
「そもそも、前にも言ったけどルリアに出来ないことをソフィアはできるんだから…誇れ誇れ、これが自分の力なんだ才能なんだと自慢しまくれ」
「は、はい……!分かりました!!」
グランの言うことが理解出来たのか、ソフィアはキリッとした顔で頷いていた。どうやら、自分の才能を褒められたのが少し嬉しかったようだ。
「さて……今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。また次回、この番組でお会いしましょう……では」
そう言ってカメラの電源が切られると同時に、リーシャがグランの前に立つ。その顔は、いつもと同じように真面目な顔つきだった。
「さて、団長さん……2カウント取られたので、その分の罰を執行します」
「あ、やっばい忘れてたなんて口が裂けても言えない」
「ダイレクトに今言いましたね……では、2時間私と一緒にラードゥガでご一緒してください」
「えっ」
リーシャの言葉に、ソフィアは絶句して固まってしまっていた。唐突に二人きりで酒を飲みたい、というのは最早『そういうこと』のようにしか思えないからだ。
「え、何奢れって?」
「そういうのじゃないんで……ただちょっと一緒に行きたいなぁって」
「……まぁそのくらいなら…」
グランが首を傾げながらもそれを了承した時、固まっていたソフィアが覚醒して、グランの肩を掴んだ。
「な、なら私も一緒に!!」
「ん?いいぞー、2時間も一緒にいる必要はないと思うけど…」
「……だ、団長さんがいいなら…私も、別に……」
少しだけ肩を落としているリーシャ。しかし、面と向かって無下に断ることは彼女としてもやりたくない事だったため、リーシャも了承せざるを得なかった。
「よーし、なら行こうかー」
「は、はい!」
「はい」
そして、そのままグランは2人を連れてファスティバの経営する『ラードゥガ』に向かって、歩き始めて行った。行った先で、ファスティバは特に驚く様子もなく普通に受け入れてくれて、料理と…3人とも酒はまずいと思ったのか、ミルクやジュースなどを提供していた。
「そう言えば、ジャミルさんもそのスーツ様になってきましたね」
「ありがとうございます、これからも精進致します故」
「もっと肩の力抜いていいからね〜」
こんな感じのゆるい会話をしながら、色々な世間話だったり他の事を話したりと……ゆったりとしながら、グラン達はラードゥガでのゆったりとした時間を楽しむのであった。
ちなみに、罰らしい罰はグランには執行されなかったのであった。
正直露出してない上半身もやばい
偶には長編とか書いて欲しい
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はい(ギャグノリ)
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はい(シリアス)
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いいえ