ぐらさい日記   作:長之助

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紅陽の舞主、私に色々教えて?

「今日のゲストはアンスリアさんです」

 

「よろしくね」

 

「という訳で手を繋ごうか」

 

「えっ!? そ、そんな急に……しかもみんな見ている前でなんて……グランったら……」

 

 突然のグランの台詞に顔を真っ赤にするアンスリア。彼女、グランをよく誘惑するのだがそれは無意識でのことであり、自分がグランを誘惑していると気がつくと、すぐに顔を真っ赤にしてしまうのだ。クラリスの天敵である。

 

「まぁこれは冗談として……」

 

「あら……私は別に今でも見せつける事になっても……」

 

「ならあんなことやこんな事まで見せつけても━━━」

 

 グランの頭のちょっと上あたりに、剣が突き刺さる。見覚えのある剣、リーシャのものである。恐らく番組が進まないからさっさとして欲しいという合図なのだとグランは無理やり自分を納得させていた。

 

「……ぐ、グラン大丈夫?」

 

「大丈夫大丈夫、今回に関しては俺もアンスリアも変なことすると刺されるというのがよくわかった」

 

「わ、私にも今のは飛んでくるのね……」

 

「とりあえずリーシャのは抜いてここに置いといて……アンスリアの自己紹介から……彼女は舞を踊れるんですけど、それがいい所でもあり悪い所を引き付けてしまうところでもある……だよね」

 

「そうなのよ……私が舞を踊ると、必ずと言っていいほど他の男達から言い寄られるの……」

 

 初めてであった時もそうだったのだ。魅了された男達から求婚されて、無理やり連れていかれそうになっていたのだ。それがきっかけでグランの団に入ったのだが、やはり屈強な男が近くにいると基本的に近寄ることは少なくなっているのだ。

 グランが近くにいても、グランを舐めてかかってくる輩もいるせいであまり減らないのだが。

 

「基本的に俺も護衛には入ってるけど、やっぱり見た目だけならドラフの男組がいるとあんまり近寄るやつ居なくなるよね……比較的」

 

「そうね……」

 

 例えるなら、100人から90人に減った程度である。つまり、一応減った程度でしか効果が発揮されないのだ。それだけアンスリアに魅了された男たちの執念が凄まじいと言えるのだが。

 

「さて、そんなモテモテアンスリアさんにもお便りがあります」

 

「あら」

 

「早速一通目『他の男性に手を握られたりしても、ドキドキするんですか?』」

 

「あまりそういうことはさせないから……しないだろうけど」

 

「まぁ俺に対しての誘惑が凄いだけで、基本的に他人に体触らせないもんなアンスリアは」

 

「はうぅ……」

 

 真顔でそう告げるグラン。自分の無意識が行うグランへの誘惑は、どうしても直りそうにないので恐らくしばらくはずっと誘惑を続けるのだろう。

 

「でも本当にされたことないの?」

 

「うーん……無いわけじゃないけど、その時は……あ、そう言えばグランと初めてあった時は手を握られたわ……でも、ドキドキよりも不快感の方が強くて……」

 

「というと……」

 

「無理矢理連れていこうとしてたから、嫌だったのよ」

 

 アンスリアのいうことも最もである。別にアンスリアは惚れっぽい性格なのではないので、手を握られただけでドキドキはしないのだ。それこそ、無理やり握るような輩には不快感すら覚えるのだが。

 

「まぁ俺も無理矢理されるようなことは、結構嫌かな」

 

「なら……私が手とり足とり」

 

「ストップ、それ以上言うとリーシャズ秩序ブレードの一撃が飛んでくるぞ」

 

「あぅ……」

 

 羞恥の赤と焦りの青が入り交じった表情を浮かべるアンスリア。いまのでとんでこなかったのは、ある意味セーフであった。

 

「まぁ、それなら優しく握ればいいのか?」

 

「ぐ、グランなら……その……無理矢理っていうのも燃えるっていうか……ひゃう!?」

 

 突如感じる殺気、アンスリアはゾワっとした恐怖を感じとって後ろを振り向く。ドアは空いてないし、人の気配もないが間違いなくリーシャが居ることだけは確信できていた。

 

「ブレードが飛んでこなかっただけマシだな」

 

「え、えぇ……」

 

 リーシャに恐怖感じながら、アンスリアはグランに視線を戻す。かなりの恐怖が今のグランとリーシャを襲っていた、次下手なことをいえば間違いなく死ぬという恐怖である。

 

「……とりあえず、アンスリアは別に他の男に触られてもドキドキしないということで、2通目に行きましょう『無意識の誘惑行為はどうにかならないんですか?』」

 

「なるのなら私だってどうにしたいわ……」

 

「でしょうね」

 

 アンスリアの愛情表現は、とても情熱的なものである。しかし、周りに第三者がいる場合それで諭されたりすると、すぐに素に戻って恥ずかしがってしまうのだ。

 

「基本的にルリアとビィが一緒だからすぐに素に戻るよね」

 

「後……逆に攻め込まれても素に戻るわ……」

 

「そうそう、自分から握ってきても俺が握り返したらすぐに真っ赤になるよな……にぎにぎしたらまた熱っぽくなるけど」

 

「だ、だって情熱的に誘われたら……反応しちゃうんだもの……」

 

 顔を真っ赤にして俯くアンスリア。あまり激しく責め立てると、どうも余計に恥ずかしがってしまうようだ。グランは無表情で頷きまくっていた。

 

「にしても、ビィも言ってたけど面倒な性格してるよね」

 

「わ、私だってどうにかしたいわ……」

 

「情熱的な方でも今みたいな方でも、俺としては好きだからいいんだけどな」

 

「はぅ!?」

 

 さらに顔を真っ赤にするアンスリア。グランのそんな深い意味の無い言葉でも、彼女にとっては嬉しい言葉であることには変わりないのだ。

 

「んぇ、なんで今ので反応したの」

 

「な、なんでもないわ……わ、私にとって嬉し恥ずかしの言葉が混ざってたってだけだから……」

 

「そ、そうなのか……」

 

 顔を真っ赤にしつつも、ニヤケが止まらないアンスリア。その面白表情にグランは困惑しかしていなかった。

 

「……でまぁ、結局のところアンスリアの『集中すると周りが見えなくなる』というのを改善しない限りどうにもならない感じだけど」

 

「……そうね、でも集中したらみんなそうなるんじゃない?」

 

「まぁ普通はそうなんだよなぁ……アンスリアの場合、舞を踊る分にはそれでいいけど、情熱的になる時に周りが見えなくなっちゃう所まであるからさ」

 

「やっぱりそこなのね……」

 

 要するに、情熱的になり過ぎないという解決策しかない。だが、はっきり言ってそういうことが可能なのかと言われれば、アンスリアは首を縦に振れないのだ。

 

「もう、これは私自身の解決できない問題ね……」

 

「性格変えるなんて難しいからなぁ……認識を変えることは難しくないけどさ」

 

「うぅ……」

 

「もうどうしようもないから諦めな」

 

「う、うぅ……」

 

「というわけで3通目『情熱的になりすぎたことはありますか?』」

 

「なりすぎた……?」

 

「所謂、ストッパーがいなかった場合どうなるのかって話じゃない?」

 

「あ、なるほど……でも……基本誰かが止めてくれるから……」

 

 アンスリアも困った顔をしていた。だいたい情熱的になると何かしらの形でストップが入る。そのストップが入らなかった場合のことなんて、アンスリアには少し分からないことだった。

 

「うーん……これに関しては答えようのない話題な感じ?」

 

「そうね……だって、止まらなかった時なんて私には分からないもの」

 

「どうしようかね……まぁ、なら予想で行こう」

 

「予想……予想……」

 

 アンスリアは難しい顔をして考え込む。自分の情熱的なところは彼女は理解しているが、それがヒートアップし続けた際に何が起こるのか、彼女自身も分からない。

 故に、どうなるかは予想でしかないが━━━

 

「……あ、あぅあぅあう……!」

 

「すごく真っ赤になって湯気がでてきた。一体何を考えてるのか小一時間話したいところである」

 

「だ、だめよ……こんなところでなんて……あ、ん……!」

 

「そしてすごく熱っぽくなってきてる。よし、このまま黙ってどうなるか確認を」

 

 今度はどこからともなく斧が降ってきた。リーシャに斧を振り回せる力はないのだが、グランはそれをリーシャが行ったことだと認識していた。

 

「うーん、この手の速さは恐らくとめないとまずいな」

 

「で、でも貴方なら……!」

 

「アンスリアァァァァァァァァ!!」

 

「ひゃい!!」

 

「よし止まったな」

 

 とんでもない荒業で止めるグラン。いきなり叫ばれて思考停止したアンスリアは、我に返って冷静さを取り戻していた。

 

「い、いきなりでびっくりしたわ……」

 

「びっくりさせるためにやったからな」

 

「で、でもあれとめなかったら本当にまずかったから……助かったかもしれないわ……」

 

「団員を守るのが俺の役目だからな……」

 

「ぁ……」

 

 また顔を真っ赤にするアンスリア。グランも狙っているのでは? と思われてしまうかもしれないが、こちらもまた無意識である。

 ぶっちゃけ、こちらはほとんどの女性団員をこういう状態にしているので、尚更タチが悪いのだが。

 

「……まぁ止めなかったら俺がリーシャに殺されるということだけは理解出来た」

 

「え……何その斧……」

 

「本気で気づいてなかったのかスゲーな……という訳で今回はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました、また次回この時間にお会いしましょう。さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺しにかかるのは辞めて欲しいでガンス」

 

「目の前で子どもには見せられないようなことをしておいて?」

 

「ド正論が飛んできましたよ」

 

「まぁあの斧当たっても団長さんなら死なないとわかっているので大丈夫です」

 

「大丈夫……大丈夫とは……?」

 

 リーシャを呼び出して説教しようと思ったグラン。しかし、自分がアンスリアにセクハラを働いていた……ないし正直本格的に子供には見せられないようなシーンをしているので逆論破されてしまっていた。

 

「……」

 

「……? アンスリアさん、どうかなさいましたか?」

 

「前から思っていたのだけど……」

 

「はい」

 

「リーシャって、グランに情熱的すぎる愛を振りまいているわよね」

 

「………………」

 

 帽子を深く被り直すリーシャ。黙って立ち上がって、そのまま部屋を出ていこうとする。

 

「あれ、お話終わり?」

 

「ハイッ!」

 

「待って待って待って待って、今めっちゃ高い声出てたよ」

 

「大丈夫です、気の所為です、じゃあおやすみなさい」

 

「まだ昼だけど」

 

「…………おやすみ!」

 

 猛スピードで部屋を出て行くリーシャ、グランは呆然とする他なかったが……ぶっちゃけ説教され返されると考えていたので、グラン的には拍子抜けだった。

 

「……何だったんだ?」

 

「グランは愛されてるってことよ」

 

「そうか、俺は哀されてるのか」

 

「今私無理やりな変換を見た気がする」

 

「気の所為だ」

 

 そんなやり取りをしながら、グランとアンスリアも続いて部屋を出る。因みに、その日はもう二度とリーシャに会うことはなかった。翌日は普通に接してきたので、グランはなんだったのか少し疑問に思うだけで留まっていたのであった。




浴衣アンスリア!浴衣アンスリア!!浴衣アンスリア!!!浴衣アンスリアァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
水着カリオストロッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

偶には長編とか書いて欲しい

  • はい(ギャグノリ)
  • はい(シリアス)
  • いいえ

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