ハイスクールD×D 幻想の守り手 作:てんこ盛り大好きあかき
―――ガヤガヤ……ガヤガヤ―――
一つのグループが先程帰還した無銘と教会の戦士について会話していた。
「聞いたか、例の教会から来た神父が死神の旦那と一緒に討伐依頼に同行したらしいが、何の役にも立たずに勝手に突っ込んで返り討ちにされたらしいぜ!」
「死神の旦那が受ける依頼は、どれも規格外な物ばかりで、無茶だと分かるだろうに……」
「案外、教会の戦士とやらもたいしたことないんじゃないか?」
「いや、隣にいた二人の少女達はなかなかの腕らしいぞ……二人がかりとはいえ、
「そうだな……全員が全員、あの神父みたいな奴ばかり程の実力じゃないってことだな!」
グループの中の一人が立ち上がりグラスを掲げる。
「まあ!今回は死神の旦那の活躍に乾杯しようや!」
「そうだな。それじゃあもう一度、乾杯!!」
「「「「乾杯」」」」
グラス同士が打ち合う中、店内の奥のテーブルでは話の内容の中心である三人と、いまだ床で気絶しているトネリ神父がいた。
《無銘side》
『やれやれ……相変わらず騒がしいな。御二方もそう思わ……』
無銘の背後で騒いでいるギルドメンバーを一瞥して、前に座っているゼノヴィアとイリナに同意を求めよう、振り向くと……
―――ガツガツ……モグモグ―――
―――ガツガツ……モグモグ―――
当人である二人は目の前にある料理に集中していた……
討伐報告のためにギルドに戻ってきたが、時間が遅い為夕食に誘ったのだが……
自分で誘っておいてなんだかんだ……それでいいのか……教会の戦士は……
「ちょっと、ゼノヴィア!それ私の皿にあったお肉でしょ!勝手に食べないでよ!!」
「何を言っているイリナ!ここは食事という名の戦場だ。なればこそ一瞬の油断が命取りだ。隙を見せたのが君の敗因だ!」パクッ
「あ~~また食べた~~!!」
『一体何をやっているんだ……マスター追加注文だ』
「あいよ……」
二人の食事のやり取りを見ながら、無銘はマスターに追加の注文をするのであった。
しばらくして、二人は満足したのか、食事の手を止め、無銘に感謝の十字を切り、真剣な顔で質問しだした。
「それで“無銘”よ。もう一度質問するが、我らと一緒に教会の戦士にならないか?貴殿が一緒になって戦ってくれれば、これほど心強いものはないのだが……」
食事している時とは打って変わってゼノヴィアの質問に、無銘は内心感心するが、自身の答えは変わらなかった。
『最初に言ったように、お断りさせて貰う……』
「……理由を聞いても?」
『教会側でも確かに討伐の依頼が入くるだろうが、それを実行するに対して色々と手続きが多いだろう。編成人数、その場所までの時間などを考えると、教会にいるより現地での依頼を受けた方がより速く手が付けられるからな』
「なるほど……そういう考えもあるか……」
『さらに言えば、トネリ神父の下で働くのはどうも性に合わない……こいつには協調性がなく、相手を見下し、慢心する傾向がある。そんな奴がいると逆に足手まといだ……』
「まぁ、気持ちはわからんでもないが……そういう理由なら、仕方ないな」
『さらに言えば、俺は悪魔からも依頼を受けているからな、下手をすると処罰の対象になりかねない』
「わかった……其処まで言うのであればこちらも引き下がろう。ただ、こちらと敵対するという意志はないのだな?」
『そちらが手を出さなければ、こちらも手を出さない……それだけだ』
「では、一つ頼みがあるのだが……」
『何だ……?』
「私と手合わせ願いたい!」
『何……?』
「貴殿の戦い方を拝見したが、スピード、パワー、剣筋、どれをとっても私よりはるかに上だ!。だから、手合わせすることで、私はさらに上の段階まで戦士として成長するかもしれないからだ!」
ゼノヴィアはテーブルを叩き、体を前に出し、真剣な顔つきで手合わせを願った。
『一つ言っておくが……そんな簡単に技術というものは上がるものではない。地道な鍛錬と、それを継続することによって身につくものだ……』
「そんなことはない!強いものと戦えばそれに応じて経験が増し、強くなるではないか!」
久しぶりに見たな……
これ程パワー思考にあるやつは……
確か……脳筋と言うのだったな……
「さあ、善は急げだ!早速外へ出て私と「何をすると言うのですか……ゼノヴィア?」……っ!?」
背後から冷たい女性の声がゼノヴィアに向けてはっせられると、ゼノヴィアは、ギギギッとまるで機械仕掛けの人形のように首を後ろに向けた。其処にいたのはシスター姿の北欧的な顔立ちの青い目をした美女がにこやかな笑顔を、ある意味、冷淡な笑顔を向けていた。
「シ、シ、シスターグリゼルダ!?」
背後にいるシスターにゼノヴィアは大声を上げ驚いた。
「まったく貴女達は……戻ってくるのが遅いと思って迎えに来てみれば……夕食をとるならまだしも、争い事を起こさせるなんて一体どういうつもりなんですか?」
シスターは笑顔のままゼノヴィアに問いかけるが、当のゼノヴィアは震えて顔中から汗が滝のように流れて、シスターの質問にしどろもどろの様子だった。
あのシスター……
相当の実力者だな……
トネリ神父とは比べ物にならん……
『もお、その当たり良いのではないか?』
俺の問にシスターは、此方に振り向くと。
「これは御見苦しい所を御見せしました。申し遅れました。私は教会の戦士のグリゼルダ・クァルタと言います。こちらのゼノヴィアとイリナの上司になります」
『これはご丁寧に。俺は、はぐれ狩りの無銘と言う者だ』
「存じております。とても優秀なはぐれ狩りであって、別名が死神と噂を聞き及んでおります」
『あまりその名は、好いていないのだがな……』
「それは、失礼しました。ですが何の連絡もなく今の今まで忘れていたり、ネロ神父の看病もしなかったのを私は責めているのです。何より、貴方に対してのゼノヴィアの暴力的な態度に対して怒っているのです」
「し、しかしシスター、私としてはこれを機にもっと戦士としての技量が得られればと思っているからこそ、手合わせを願っただけで……」
「黙りなさい、ゼノヴィア。そんなのだから貴女は成長しないのです。何でもかんでも力や戦いで物事を解決しようとするからいけないのです。そもそも貴女達三人の目的はこちらの方の勧誘でしょう?なぜ与えられた使命を果たせないのですか?」
「「す、すいませんでした!!」」
「ではこの件は協会の支部に戻ってから改めて説明させていただきます。早くトネリ神父を連れて支部に戻りましょう」
「「ハイ!!」」
そこからの行動は速かった。いまだに気絶しているトネリ神父に駆け寄り、腕を肩にかけ、起こしてギルドの外へと出て行った。
「この度は大変お騒がせしました」
こちらに近づくと、シスターは深々と頭を下げて謝罪した。
『別に構わんさ……多少騒がしかったが楽しい時間を過ごさせてもらった』
「そう言っていただけると幸いです。それで改めてどうでしょう?私たちと共に教会の戦士として戦ってもらえませんか?」
『あの二人にも言ったが、辞退させてもらう。理由はあの二人に聞いてくれれば分かる』
「わかりました。ではこの辺で失礼させていただきます。貴方のこれからに幸あらん事を祈っております」
目の前で十字を切ると、シスターグリゼルダも店を出て行った。
《無銘side out》
「今回は、忙しい一日だったな無銘……」
『全くだ……それよりマスターそろそろ部屋に戻らせてもらうが後で部屋に紅茶をポットごと持ってきてくれ……』
「了解した。後で持っていく……」
俺は、ゆっくりと自身の部屋へと向かって行った……