良かった良かった……
書いてて楽しくて、やばいですな(語彙力)
「海が我を刺激するっ!」
海岸に着いた瞬間、黒い水着を身にまとった眼帯少女、もとい可憐は両手を広げた。包帯だけは外している。
「見よ! この海! この青空! そしてこの水着!」
その胸を精一杯張る。
「ちょっとは落ち着け」
「そうは言うが我は今、生足魅惑のマーメイドだぞっ! なあ、神崎先輩!」
「……ええと」
水着の上からラッシュガードを着ている少女は困ったように視線を逸らした。露出を避けているのか、日焼け対策なのかは分からないが、彼女らしい選択だと思う。
「否定した方がいいのか、肯定した方がいいのか分かりません……」
「楽しそうでなによりだね」
勇者様も楽しそうにしているようで何よりだ。
「よし、みんな揃っているな。本来、海開きは明日から故、今日は自由行動だ。好きに遊ぶといい」
「会長、その格好で海に来たんですか?」
「何か問題でもあるか?」
白いTシャツに短パン。
海に遊びに来たというより、近所の見回りに来た人のようだった。
「いえ、問題は無いですが……会長はどうするんです?」
「私は野暮用があってな。少し単独行動をさせてもらう」
どうやら、生徒会長には俺たちとは別の目的があるらしい。陰陽師の仕事だろうか。
「よし、我が砂の城をつくるのだ!」
「せっかく海に来たのにやるのがそれか? 」
「何を言う、砂の城はロマンだぞ!? 先輩達も手伝うがいいっ!!」
「なんだか楽しそうだね、やってみよう」
「よーし、頑張りますよー!」
何故かやる気な勇者と中二姫。その後小一時間程かけて、大きな砂の城を作り上げていた。
「次はビーチバレーだ!!」
何故か浜辺に備わっているビーチバレーコート。可憐はこれを見つけ、目を輝かせていた。
なんであるんだよ……
「バレーですか……その、球技にはあまり自信がありません……」
肩を落とす神崎。
「大丈夫です、姫。僕が全力でサポートさせていただきます」
おいおい、くじ引きするでもなく既にチームが決まってしまったじゃないか。
というわけで、始まりましたビーチバレーボール対決。俺、可憐ペア対雨、神崎ペア。
「ふっふっふ……我を敵としたこと後悔するがいい……! 堕天使の本気を見せてやろう!」
意味ありげな意味の無いことを呟く可憐。
「くっ……堕天使の本気か? これはまずい……」
妙に真剣になっている雨。
お前はいつまで信じているんだ……
「食らうがいい! 必殺!暗黒デスサーブ!!」
大きく助走をつけ、大きく飛び上がった。そこまでは完璧であったのだが、その腕は大きく空を切るのだった。
空振ったボールは、そのまま可憐の頭に着地した。
「あうぅ……当たらないよぉ……」
「バカかお前、下からでいいんだよ下からで」
というわけで、試合再開。神崎は球技が苦手と言う割に、普通に上手かった。雨に関しては言うまでもなかろう。それなりに善戦することはできたが、この試合は負けてしまった。
「負けた負けた! でも、楽しかったぁ!」
可憐は満足気である。
「悪いな、もうちょい動けたら良かった」
「何を言う! 勝ち負けなんてどうでも良かろう!」
本気で海を楽しんでいる少女が俺の前にいた。
「そうだな。楽しんだもん勝ちだな」
それから何戦かチームを変えながら試合を行った。それが終わる頃には日が沈みかけていた。
「あ……」
可憐が呆然と海を見つめる。
「我が……我らの築き上げた城が……」
可憐の視線の先には波に攫われた元砂の城があった。
「砂だからな。いつかは崩れるだろ」
「貴様には夢というものがないのか!?」
少し涙目になっている可憐。
「……少し寂しいですね」
「また作ればいいよ。僕らにはそれができるからね」
「そうだな、今度はうんとデカいのを作るのだ!」
少女は夕日を背景にとびきりの笑顔を浮かべていた。
翌日──。
「悪いねぇ、手伝ってもらって」
海の家の店主は申し訳なさそうに頭を下げた。
「気にしないでください。会長が勝手に決めたことですから」
俺たちは海の家のエプロンを身につけ、海の家の手伝いをしていた。俺は店主と一緒に厨房担当だ。
「かき氷と焼きそばだな、任せるといい」
可憐が普通に仕事ができている。意外だ。逆に──。
「お兄さん、連絡先教えてよ」
「姉ちゃん、この後暇?」
戦力のはずの雨と神崎が客に囲まれて仕事ができていない。集客にはなっているようだが、これでは完全に客寄せパンダだ。
ウェイターの仕事を可憐がほぼひとりで補っている。
「あの二人、人気だねぇ。いつもの5倍は人が来てるよ。有望な人材を派遣してくれた凛ちゃんには頭が上がらないねぇ」
「そういえば、生徒会長はどこに?」
昨日別れてから生徒会長とは会っていない。
「私はここだが?」
振り返ると海の家のエプロンをした生徒会長が腕を組んで立っていた。いつも唐突に現れるな、この人。
「野暮用は終わったんですか?」
「ああ、すまなかったな。今日は君たちと海の家を手伝う所存だ」
「それは助かるね。頼んだよ、凛ちゃん!」
日が頂点に差し掛かり、傾き始めた頃。
「しかし暑いですね……」
「ああ、今日は今年一の炎天下らしいからな」
俺の問いに、水分補給に戻った生徒会長が答える。
「それは暑いわけですね」
雨や神崎も水分補給に戻ってくる。
ふと気付く。そういえば、可憐は朝から水分補給に戻ってきただろうか。
さっきまで騒がしかった声が聞こえない。
可憐が妙に静かだった。
見ると、顔は赤く、瞳は虚ろで、ぼんやりと海を眺めている。
「……おい、可憐」
嫌な予感がした。
俺は急いで駆け寄る。
「先……輩……?」
その声を最後に、可憐の体から力が抜けた。
倒れる前に、なんとか抱き止めることができたが、その体は異常なほど熱かった。
短すぎる!
イベントは盛りだくさんなのですが、地の文が下手すぎる
そこは慣れてください()