本当は、今日はお休みする予定だったのですが、早い段階で書けたので投稿します。
明日はお休みの可能性が……
私事ですが、先日、オリジナル日間ランキング3位をとる事ができました! ほんと、ありがとです!
評価もお気に入りも結構頂いちゃって、ウハウハですね(笑) モットクレェ!
さて、今回は体育祭編です。体育祭はこの1話だけですが、ササッと終わらせたかったので……許してください(・▽・)
それでは、本編どうぞ!
「選手宣誓!! 私たち、選手一同は――」
選手宣誓高らかに、体育祭が開催した。
「よっしゃあ!! 紅組勝つぞぉお!」
「おおおおっ!!!」
皆さん、凄いノリノリである。俺はこのテンションについていけないでいた。
さて、この体育祭。何故こんなにも盛り上がるのかという話である。学校にもよるだろうが、体育祭なんて1行事、1通過儀礼と考え、あまり盛り上がるということは少ないだろう。別に、サボってもいいんじゃね? と思うこともあるだろう。しかし、この学校ではそれがない。
と、いうのも、MVPのクラスには学食1ヶ月無料券が配られるのだ。
もので釣っている、といえば聞こえは悪いが、実際盛り上がってしまっているのだから、効果は上々だろう。ちなみに、学食無料券はデザートにも使えるため、うちのクラスの女子は血眼になって狙っているようである。
「おい、風鳴。どうしたんだ? アゲアゲで行こうぜ?」
「心配するな。テンションMAXだ」
しかし嘘である。テンションなんて、上がる気がしない。
そう、今日は体育祭当日。結局、魔物が帰省した宿主を見つけることは出来ず終いでここまで来てしまったのだ。となれば、やらないといけないことはひとつ。その事を考えると、頭が痛くなる。
例の計画を実行するために、雨は別行動。現在、おそらく準備倉庫で支度を始めていることだろう。準備係を任されて良かった。
「んじゃ、俺は役員の仕事があるから行くぞ」
「あいよ。お仕事頑張れよー」
やる気のない応援を受け、俺は準備倉庫に向かう。
「仕込みの方はどうだ?」
「うん、順調だよ」
準備倉庫の奥、換気口の真下に準備されていたのは枯れ草の山だった。この量、どこで仕入れたのだろうか。
「こんなので、炙り出せるのかよ?」
これを焼いたところで、煙たく感じるのが関の山だろう。こんなので、魔物を燻り出せるとは到底思えない。
「この中には、いくつか魔物が嫌う薬草を混ぜてる。入手は大変だったけど、間に合ってよかったよ」
なんか、すごい気になる単語が聞こえた。
「入手が大変だったって、やばい薬草でも入ってるのか……?」
「基本的には人体には無害だよ。ただ、普通に売っていることがないものだから、自分で取りに行くハメになってね」
雨は苦笑する。
「なるほどな……」
通りで、所々に擦り傷が出来ているのか。そんなに大変だったのなら、一言いってくれれば良かったものを。
「それで、いつ実行するんだい?」
「本当なら今すぐにでもやった方がいいんだろうが、体育祭が中止されかねん」
一応、この体育祭を楽しみにしている生徒は沢山いる。観客だってそうだ。それを、俺たちの都合で中止にしてしまうというのは、傲慢だろう。
「ということは、閉会式かな?」
「それがいいだろ」
それに、体育祭はほぼ全員参加だ。一斉に生徒を見ることが出来る。もしかすると、最終手段を見つける前に、宿主を見つけることが出来るかもしれない。
「ま、とりあえず、今は体育祭の仕事に専念だな」
「それもそうだね」
紛いなりにも、俺達は役員である。指示された仕事はこなさなければならないだろう。
午前の部は何事もなく終わり、休憩タイム。神崎が種目に出ていたが、特にこれといった成果はなかったため、割愛しておく。割と、凹んでいた、とだけ述べておく。
「兄さん、こっちこっち」
出迎えてくれたのは、桜と雨の両親だった。
「お久しぶりです、おじさん、おばさん」
「まあまあ、大きくなったわねぇ」
「あんなにちっさかったのになぁ!」
それ、去年も言ってなかったか……?
毎年事あるごとに会っているのに、毎回こんな感じである。
「うわぁ……綺麗な人……」
桜はというと、目を見開いて口を開けていた。
「そういや、お前は初めてか。神崎だ。んで、こっちは妹の桜」
「神崎玲奈です。よろしくお願いしますね、桜さん」
「は、はいです! よろしくお願いします、玲奈先輩!」
なんか、桜のやつ凄いキョドってるな。なかなか珍しいものが見れた。
そして、食事。俺が昨日作っておいたものと、雨の両親が作ってきたものを合わせて食べる。
「それにしても、私までよかったのでしょうか……」
申し訳なさそうにする、神崎。
「気にすんな。飯は大勢で食べた方がうまいだろ?」
「そうですね……ありがとうございます」
神崎は微笑む。親の都合なら仕方がない。さすがに、知ってて1人で昼食を取らせる訳にもいかんだろう。
「そういえば、私の1年上の先輩もこの学校なんだよね」
「そうなのか? この学校、人が多いから多分知らんだろうな。一応聞いてみるけど」
そもそも、下級生なんて、1人しか知らない。それなのにドンピシャで知っているとは到底思えない。
「藍白っていうカッコイイ女の先輩なんだけど、知ってる?」
はい、ドンピシャ。世の中は狭いですね。
「む、我の名が呼ばれた気がするが?」
そして、何故お前がここにいる!?
まあ、呼びに行こうと思っていたからちょうどいいか。
「可憐先輩! お久しぶりです!」
桜は嬉しそうに可憐に抱きつく。
「なんだ、サクラか。しかし、何故……」
「こいつ、俺の妹だぞ? ていうか、苗字から分からなかったのかよ……」
はてなマークを浮かべている可憐に答えをぶつける。
「先輩ではないか。こんな所でどうしたのだ?」
「見てのとおり休憩中だ。お前はどうしたんだよ」
「なに、我も1人になりたい時もあるのだ」
可憐は、ふん、とそっぽを向く。あらかた、俺たちを探していたのだろう。
「ふうん。ほらよ」
クーラーボックスから、ゼリーをひとつ取り出し、可憐に手渡す。
「――っ!? これは?」
「デザートだ。余ってるからやるよ」
というのは本当。俺たちの部活の人数分、そしてその保護者分も作ってきていたため、割と余ってしまっている。余った分は食べればいいから問題ない。
「……ではいただこう」
クールぶってるけど、口元がニヤついていますよ、可憐さん。
「兄さん、可憐先輩とどういう関係なの?」
桜がジト目で聞いてくる。
「どういう関係ってどういうことだよ?」
先輩と後輩の関係以外に何があるのだろうか。
「だって、下の名前で呼んでたじゃん」
そういうことか。我が妹も女子ということだろう。本当に、こういう話好きだよな。
「気まぐれだよ。にしてもどうしたんだよ、元気ないな」
元気がない、と言うよりも無理をしているという表現の方が正しいか。
「あれ、そう見える?」
「バレバレだ。どうかしたのか?」
「うんん……雨さんの視線がちょっとね……」
可憐は雨と神崎を交互に見る。現在、神崎と雨は雨の両親と話しをしている。ちなみに、可憐はデザートに夢中である。
「やっぱり、わかるか」
「分かるよ。雨さん、玲奈先輩をとっても愛おしそうに見るんだもん……妬けちゃうな……」
哀しそうな、寂しそうな顔をする桜。
「心配すんな。お前の思っていることにはならんだろうよ」
「え? どういうこと?」
桜はキョトンとする。
「禁則事項だ。さてと――」
俺は席を立つ。
「あれ、どうしたの?」
「トイレだトイレ」
そう言い残して、校舎の方に向かう。目的地はトイレではなく、校舎の陰。そこに、スーツ姿の女性が隠れていた。
「あの……もしかして、玲奈さんのお母さんですか?」
その容姿は、神崎をそのまま大人にした感じだった。まさに、絶世の美女というのはこのことなのだろう。
「……どうしてバレたのか聞いても?」
「そりゃ、あんなに娘さんを見てればバレますよ。それに似てますし。行かなくてもいいんですか?」
あれで隠れていたつもりだったのだろう。それよりも、こんな所にいても仕方が無いのではないか。しかし、何故こんな所に隠れていたのだろう?
「ええ。本当は出ていこうかと思ったのですが、少し予定が変わりまして……」
目下の人間にも敬語を使う神崎母。なんていうか、こういう人が人の上に立つべき人なんだろうと考えてしまう。
「もしかして、玲奈さんが俺たちと居たからですか? すみません……」
もしそうならば、悪い事をした。
「違います違います。そういう訳では無いのです」
しかし、違ったらしく、神崎母は慌てて訂正する。なんか、本当に神崎によく似ている。いや、神崎がこの人に似ているのか。
「ところで、玲奈と一緒にいる方のことを聞いても?」
「雨ですか? 同じクラスの同級生ですよ。どうしたんですか?」
何故、雨なのだろう。イケメンだからか? いや、流石にないだろう。と思った矢先、その目線は雨が神崎に向けるようか目線を雨に向けていた。
なにごとっ!?
「……いえ、なんでもありません」
ふと、我に返ったのか慌てて訂正する。
「では、失礼しました。娘をよろしくお願いしますね」
ぺこりと頭を下げて、彼女は去っていったのだった。
『障害物競走に参加する選手はゲートに集まってください』
午後の部。とうとう、最凶の時間が始まろうとしていた。
「フッフッフ、ついに我の出番のようだ」
その全貌を知らない可憐は意気揚々としていたのであった。
選手が登場したところで、ルール説明がある。障害物の内容は、ネットや平均台など、途中までは普通の障害物競走とかわらない。しかし、後半に待ち受けるのが、ローションまみれの坂。こいつのせいで、色々ぶち壊しなのだ。
説明を聞いた女子参加者は全員顔を青くしている。ちなみに、男子は多様である。
そして、無慈悲にレースは始まり、とうとう――
「お、可憐の番だな。しかし、大丈夫か、あいつ?」
あいつの運動神経はよく知らないが、心配になる。一応あいつも女の子なわけだし、ローションまみれというのも頂けないだろう。
「気に召さず、トラックを破壊してしまわないといいけど……」
俺と雨では心配のベクトルが違いすぎた。
「あ、コケたな」
可憐は滑ってダイナミックに転ぶ。
「あれは誰でもコケるよ……」
ていうか、みんなコケてる。
「誰だよ、あれを認めたの」
なんで、こんな狂気を取り入れたのだろうか。正気の沙汰とは思えない。絶対、これ考えた奴はローションまみれの女子高生を見たかっただけだろ……
眼福ではあるのだが。
「私だが?」
会長かよ…… どこから現れたんですかね……
「あの、参考までに、なんで認めちゃったんですかね……」
「なに、駄洒落だよ。学校生活が円滑に行けば良いと思ってな」
うわぁ……くっだんねぇ……
俺と神崎は失笑する。
「さすが会長です」
そんな俺の隣で目を輝かせている雨。こいつ、頭のネジをどこに忘れてきたのだろう。前世か?
「今度は巻き込んでコケましたね……」
なにこれ、人間関係ドロドロになりかねないよ。本当に見ていられないよ?
しかし、これがまた観客をヒートアップさせている。障害物競走は男女問わず、最初から最後までヤジがすごかったです、まる。
「せんぱぁあああい!!」
種目を終えた可憐が涙目で走ってくる。
「あんま近づくな。汚れるだろうが」
俺までローション塗れになるのは御免蒙りたい。軽いチョップで牽制する。
「あぅぅ、痛い……じゃなくて!! どうして、障害物があんなのだって教えてくれなかったんですか!!」
グイグイ、と可憐が近づいてくる。
「だってお前、教えてたらバックれただろ?」
「ぐぬぬ……確かにそうですけど……」
悔しそうに拳を握る可憐。
「それよりもお前、さっさとシャワーを浴びてこい。目のやりどころかに困る」
こいつの体操着、ローションのせいで体に張り付いて、ボディラインがしっかりと出てしまっている。下着も軽く透けているし、本当にけしからん。
「え……? ――っ!? どこ見てるんですか!?」
今更気づいたのか、可憐は顔を赤くし、その場にしゃがみこむ。
「だから、言ってるだろうが。わかったら行ってこい」
「お、覚えておいてくださいね!!」
捨て台詞を吐いて、てくてくと走っていく。
おっと、忘れていた。
「あ、そうそう。可憐」
「……なんですか?」
ピタ、と止まり振り返る。
「カッコよかったぞ」
「……当たり前です!!」
ふふん、と笑う彼女の笑顔はとても満足気であった。
さて、体育祭の機材運びは割と大変である。その仕事もひと段落つき、俺と雨は中庭でお茶を飲んでいる。
「手伝いはいるとはいえ、なかなか大変だな」
「そうだね。去年僕は手伝いだったからそうでもなかったけど、上になるとこうも大変とは思わなかったよ」
とはいえ、雨のリーダーシップはなかなかのものであった。これも、雨の人望がなせる技なのであろう。
残る種目もあと僅か。このまま何事もなく、体育祭が終わってくれれば良いのだが……いや、そもそも、何事もなくというのはおかしいか。事件起こす予定ですし。
「なあ、雨。あいつ、こんな所で何してんだろう?」
目に映ったのは、1人の男子生徒。目の焦点があっていなく、どこか虚ろである。前のめりになりながら、どこかに歩いていっている。まるで、ゾンビのようだ。
「一応聞いてみるが、アレ、違うか?」
「……宿主で間違いないと思う。まだ、ぎりぎり救えそうだけど、症状が思ってたよりも進んでるね……」
偶然ではあったが、見つかってよかった。
「末期ってやつか……やるしかないか」
「そうだね」
対処法は以前聞いた。腹を思いっきり殴る事。つまるところ、腹パンである。
「追うぞ」
「了解」
俺達は宿主を追う。そして、学校裏。定番の不良は居ないようである。
「おいおい、なんで可憐がこんな所にいるんだよ」
そこではあろう事か、宿主と可憐が対面していた。
「いくぞ、雨」
「あ、あれ……? 魔物の説明はいいのかい?」
そんな場合ではない。既に、宿主は、右腕を振りかぶっている。
「そんなもん後だ」
今は後輩を助けることが優先なのだから。
「恨みはないけど、失礼するぞ」
宿主の背後から思いっきり回し蹴りを決める。蹴り飛ばされた、宿主は少しだけ跳んでいき、地面を舐めた。間髪入ずに、仰向けにして思いっきり腹を殴る。
すると、口から何か黒いウネウネした、固形物の物体が出てきた。見ていて、嫌悪感を抱くというのはこの事だろう。
「しまっ――」
身震いしていると、そいつは準備倉庫の方に逃げた。雨は既に追いかけているが、なかなか素早いようである。
俺もすぐに後を追いたいが、そういう訳にも行かないだろう。一旦あいつに任せるとする。
「せ、先輩……?」
可憐は青白い顔でこちらを見上げている。
危機一髪と言ったところだろう。怪我がないようで何よりだ。
「おう、無事か?」
「は、はい……」
まだ、恐怖が残っているのか、震えている。あの宿主の顔、俺から見ても中々ホラーだった。目の当たりにして、暴力を振るわれそうになれば、こうなるのも当然だろう。
「立てるか?」
「いえ、あの……すみません……」
珍しく、申し訳なさそうにする。どうやら、腰が抜けて立てないらしい。
「ほら。乗れ」
可憐に背を向け、しゃがむ。
「え……でも……」
「これ以外に方法が思いつかん。なんなら、お姫様抱っこしてやろうか?」
お姫様抱っこされるより、おんぶされる方がマシだろう。ていうか、お姫様抱っこなんて、したくない。している所なんて見られたら、死にたくなる。
「……分かりました。妥協します」
可憐を背負い、神崎の元に運ぶ。
「んじゃ神崎、あとは頼む」
可憐を神崎に預け、軽く、なんとなく、可憐に悟られないように説明をする。
「そういうことでしたら、任されました」
そういうわけで、準備倉庫へと向かう。もしかすると、雨がもう終わらせているかもしれない。と思っていたのだが、その男は建物の陰に隠れていた。
「雨、どうなった?」
「ほら、あそこ。ここまで来る途中に人がいなくて良かったよ。また寄生されると厄介だからね」
準備倉庫の横に、黒い物体がいる。寄生魔である。
「なんで出ていかないんだ?」
「あの状態の寄生魔は素早いからね……獄炎魔法でもあれば、直ぐに燃やせたんだろうけど……範囲魔法は使えないからね……」
何その魔王が使いそうな魔法。怖いんですけど……
つまるところ、範囲でごり押すか、正確に決めるかなのだろう。勇者なのに前者を選ぶのかよ……
「つまり、動きを緩めりゃいいんだろ?」
そうすれば、こいつはアレを燃やせるわけだ。
「どうするつもりだい? まさか……」
「無論、誘い込む」
簡単だ。あいつは宿主を探しているんだから、その方法が手っ取り早い。
「止めてもやるんだよね?」
「おう、止めるだけ無駄だ。お前は燃やす準備をしとけ」
「分かった。任せるからね」
話は決まった。俺は寄生魔の前に出る。すると、突然俺向かって前進してきた。しかも、相当速い。そして、キモイ。
「させるかよっ!!」
俺の口にダイブし、迫ってくる寄生魔を思いっきり殴り飛ばす。
「雨、燃やせ!」
「任されたよ!」
そして、雨の魔法により引火。そのまま、寄生魔は灰となるはずだったのだが――
「「あ……」」
火達磨になったまま、宙を飛んでいた寄生魔は、準備倉庫の換気口の中へと入っていったのだった。
そして、その中にあるのは、大量の枯れ草。もう、言う必要も無いだろ?
この日、体育祭は中止になりました。
しっかりサブタイの回収は致しました。
今回、わっかりやすい伏線を貼っておきました。回収はだいぶ先になるでしょうけどね……
結構貼ってきてるけど、回収しきれるか不安ですね……
そして、未だに終わりのパターンを思いついていない作者。書くの辞めたらいいのにね(笑)
ダレないように頑張ります(´TωT`)
ではでは、感想や評価を待ち望みにしています!!