今回の話は少し短いですが、許してください(・▽・)
今回は語ることは無いので、早速本編どうぞ!
体育祭から数週間。あのボヤ騒ぎは不慮の事故として扱われ、俺たちに責任が追求されることは無かった。なんでも、生徒会長が手回しをしてくれたらしい。
まことしやかに、俺たちの犯行だと言っている生徒もいるようだが、俺たちがボヤ騒ぎを起こす必要性については、表向きには皆無なため、表には浮上してきていない様子である。
そして、放課後の倉庫。
「まずいよ、涼也……どうしよう……あははは……」
雨は顔を青くし、頭を抱えていた。本当にどうしようもないのか、変な笑いまでこぼれ出している。これは怖い。
「ど、どうしたんですか? 雨さん?」
雨の動揺は誰が見ても明らかである。神崎は心配そうに俺に聞いてくる。
「あー……そういえば、そういう時期だったな」
もはや、毎回恒例である。初めの頃は本当に心配したが、もう慣れた。
「そういう時期……? まさか、転生の代償が……?」
なんだ、その設定は……初めて聞いたぞ。そもそも、そういうことがあるならば、初めから神崎に伝えていたことだろう。
「そんなのないない。雨があんな状態なのは、そういうのじゃなくて、雨個人の問題だ」
「雨さん個人の……?」
まるで分からない。そのような表情だ。簡単に答え合わせと行こう。
「そうだな。次の学校行事といえば何がある?」
「学校行事ですか? 体育祭は終わりましたし、夏休みですか? 定期試験の後は、これと言ったものはないと思いますが……」
これは惜しい。答えは言っているのに、答えが間違っている。
「それだよ、それ。期末テスト」
「え?」
予想外だったのか、ありえないという表情の神崎。あいつが成績優秀とでも思っていたのだろうか。
「あいつ、相当馬鹿だぞ? 雨は基本的に英語と数学以外出来ないからな」
そう。あいつは、勉強ができない馬鹿なのである。英語と数学以外は基本的に赤点。英語と数学ができる理由は、魔法を使うにの必須スキルだからだとかなんとか。
「ほう、それは意外だな。我はてっきり、先輩のことは文武両道だと思っていたぞ」
それはおそらく、うちの学校のほとんどが思っていることだろう。うちは成績の開示がないから、その事実を知っているのはほんのひと握りだけだ。
「可憐、そういうお前はどうなんだよ?」
「我が策略にいっぺんの曇もない」
腕を組み、自信満々なご様子。
「」どんな策略か聞いておこうか?」
「カンニ――ふぎゃっ!?」
軽くデコピンを御見舞しておく。こいつは、何をしでかそうとしているのだろうか……
「それはアウトだ。馬鹿野郎」
「冗談だったのに……」
それが冗談なのかどうか、というのは本人にしかわからないこと。可憐はデコを抑え、涙目になっていた。
「どうしよう……本当にまずい……みんなより少し出来ないくらいなのに……」
さて、話を戻そう。勇者様は、赤点の危機である。
「いやお前、少しどころの騒ぎじゃないだろ。こっちの世界で何をやってたんだよ」
「勉強はしているつもりなんだけどね……」
「やってるのは知ってるけどな」
そう、勉強をしているのに結果が伴わない。なんとも不憫なのだ。
「涼也、また勉強を教えてくれないかい?」
「それくらいは構わんぞ。いつもの事だし」
これはいつもの流れだ。
「あ、それなら勉強会とかどうです!?」
閃いた、とばかりに可憐が提案をする。なんとなく、目が輝いているように見える。
「勉強会? どこでやるつもりだよ?」
「先輩の家、とか?」
場所については何も考えていなかったらしい。
「なんで俺の家なんだよ……」
別に両親は海外に出張中だし、問題ないことにはないが、別に俺の家に集まる必要性はないだろう。
「桜にも会いたいですし?」
「何故疑問形……? ここはどうなんだよ?」
集まるのならここでいい。余計なもの(神崎のコレクション)はあるが、勉強するにはいい環境であることは間違いないだろう。
「ここだと、泊まれないじゃないですか!!」
「泊まる気満々なのか!?」
どうやらそれが本音らしい。おそらく、ここに泊まることも出来なくはないのだろうが、それだと神崎に負担をかけることになるだろう。
「勉強会といえば、醍醐味でしょ!!」
そんな醍醐味聞いたことない。こいつ、お泊まり会をやってみたかっただけなんじゃないか……?
「勉強会……なんだか、楽しそうですね」
神崎もノリノリである。もうこれは、俺の意見が通りそうもない。
「おい神崎?」
「涼也さん。お世話になりますね」
もう勝手にしろ……
勉強会当日。俺は台所に立ち、昼の支度をしていた。
「兄さん、部屋の準備出来たよー」
「サンキューな」
使われていない空き部屋にある程度の家具を運び込んでいたので、桜にはその掃除をしてもらっていた。雨は俺の部屋で寝ればいいが、神崎と可憐はさすがに無理である。桜の部屋という手段もあったが、3人で寝るには狭すぎた。
「それにしても、雨さんがうちに来るのっていつ以来かな?」
「さあな。去年の期末テスト前が最後じゃなかったか?」
もはや、俺が雨に勉強を教えるというのは、毎回恒例である。
「あー、そうかも。可憐先輩も来るんだよね?」
「言ったろ? 部活のヤツらが全員来るって」
「じゃあ、玲奈先輩も……?」
桜は瞳に不安をあらわにする。
「なんだ、心配なのか?」
「だってだって、これを機会に二人の仲が深まっていくんじゃないかって……もっと、アタックした方がいいのかな……」
それは無いと伝えたはずなのだが、やはり心配なのであろう。
「お前が納得する行動を取ればいい。にしても、あいつのどこに惚れたんだよ」
それは気になる所である。桜は気付いた時から雨に気があるようであった。何かきっかけになるような事があったのだろうか。
「それは……誰に対しても優しいところ、かな?」
「ベタだな」
なんともテンプレである。あいつは、誰に対しても優しい。それはおそらく、あいつのことを知っている人物なら誰でも知っているだろう。だからこそ、人気がある。八方美人といえば、聞こえは悪いが、そんな人間はそうはいないだろう。
「わ、わるい!?」
「別に悪いなんて言ってないだろ」
人が人に惚れるなんていうのは、優しいの一つだけでも十分なのだろう。ベタだが。
「兄さんはさ、雨さんのことどうおもう?」
「どうって? 別にお前と雨が付き合うのに文句は言うつもりはねえよ」
雨が俺の義理の弟になるというのは、それはそれで面白い。
「どうしてそうなるの!? 違う違う、友人としてだよ」
桜は慌てて訂正する。
「なんだ、そういうことか。そうさな……あいつは、誰に対しても優しいが、それと同じくらい危なっかしい」
自己犠牲の精神。あいつは、もともと勇者であったためか、他人に対して全力を尽くす。他人にとっての最良を尽くす。だが、その勘定に自分というものは入っていないのだ。これが、あいつの優しさの本質である。
「兄さんもそう思う?」
これは驚いた。桜がそのことに気がついているとは思っていなかった。
「なんだ、気づいてたのか」
「うん。雨さん、他人には優しいのに自分のことに関してはすっごく疎いんだよね……だから、心配っていうか……一緒にいて支えてあげたいって言うか……」
桜は頬を朱に染める。その表情はまさに恋する乙女である。
雨のその一面を知っているということは、なにか決定的な出来事があったということだろう。もしかすると、それがきっかけなのかもしれない。
「何があったのかは知らんが、お前がしたいようにすればいい。誰も文句は言わんさ」
その事を知っていてなお、好きであると言えるのであれば、もはや何も言うことは出来ないだろう。
「そういえば、すごい気になってたんだけど、兄さんはなんで雨さんと仲良くなったの?」
なんとなく、というのは簡単である。しかし、別に濁す必要も無いだろう。桜も打ち明けてくれたのだ、それに見合うくらいの返事はしなくてはならないだろう。
「そうだな……あいつは、俺の知っている誰よりもまっすぐで、誰よりも強くて、誰よりも馬鹿だ。惚れたんだよ、そんな男に」
初めて見た時のあいつの瞳。その目は生涯、忘れることは出来ないだろう。
「え……兄さんまさか……そっち系?」
「よーし、喧嘩を売ってるなら買うぞ?」
何故そうなる。俺はノーマルだ。
「冗談だよ、冗談。あ、みんな来たみたいだよ!」
タイミングを見計らったかのように、チャイムが鳴ったのであった。
次回、勉強会!
どんどん、雨の弱点が露わになっていきますね(笑)
桜が雨に惚れた話はまた後日出来ればいいかな、と。
高校の勉強って、どんなことしてたっけ……
ちなみに、現在のヒロイン候補ですが、涼也(主人公)には可憐(後輩)、雨には桜(主人公の妹)ですね。玲奈(中二姫)に関しては、どうなる事やら……
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