ナイツ&スレイヤーズ!~銀鳳の騎士と金凰の魔導師~   作:タカヒロオー

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リリすれの筆が進まないので気分転換に書いてみました。


プロローグ①~リナ、新たなる世界へ~

プロローグ

 

SIDE:リナ

 

…あたしが眼を醒ますとそこは何も無い空間だった。

 

(ここは何処…それにあたしは…?)

 

(リナ…リナなのか?)

 

声のした方を振り向くとそこにいたのはあたしの旅の相方、ガウリイ・ガブリエフ。でも…

 

(あれ…あんた、何か透けてない?)

 

そう、ガウリイの身体はまるで幽霊のように透き通っていた。

 

(何言ってんだリナ、それを言ったらお前もだろ?)

 

えっ?

 

そう言われて自分の身体を確認すると確かにあたしも実体を喪っていた。

 

(な、なんで?一体何があったの?)

(…覚えてないんですかリナさん?)

 

そこに現れたのはシルフィール・ネルス・ラーダ。ガウリイの昔の知り合いでサイラーグ・シティの神官を…ん、サイラーグ?…あ。

 

(思い出した…あたしとシルフィール、それにゼルとアメリアは魔王シャブラニグドゥの側近、冥王フィブリゾに捕らえられたガウリイを助けるためにサイラーグへと乗り込んだ。

 

そしてフィブリゾにガウリイを殺されそうになって、咄嗟に〈重破斬/ギガ・スレイヴ〉の完全版を使って…)

 

(はい。結果として術の制御に失敗したリナさんの身体を乗っ取った〈金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア〉は誤って攻撃したフィブリゾを殲滅しました。でも…)

…皆まで言わなくていいわ。抑えきれなくなった膨大な魔力が暴走して世界は滅んだ…でしょ?

 

 

(あぁ…残念ながらそうみたいだな。)

 

(うぅ…もう正義の拳を奮えないなんて…どうしてくれんのよリナ?!)

 

…ゼル、アメリア!そっかあんたらも巻き込まれて…ごめん。

 

(ふふ、冗談よリナ。もし同じ状況でゼルガディスさんが捕まってたら…何としてでも助けようとしてたと思うから。)

 

(な…アメリア、それは一体…?)

 

はいはい、イチャイチャは後にしてくれる?

 

(…っていうかここは何処なのよ?あの世って訳でも無いみたいだし…)

 

『…ここは〈混沌の海〉。このあたし〈金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア〉の胎内にして、この世界の始まりの場所…』

…?!

 

突如響いた声にあたしたちは辺りを見回す。

 

『こっちだよこっち。…こうやって話をするのは初めてだね、リナ・インバース。』

 

あたしたちの前に姿を顕したのは年の頃10歳ぐらいの美少女。少し癖のある茶色い髪に控え目な胸…って?

 

(なんだ、リナ…妹がいるならいると…?)

 

…違うっ!あたしには姉ちゃんはいるけど妹なんていない!

 

だけど目の前にいる少女の姿は幼い頃のあたしそのものだった。

 

(…というか、自分で自分の事を美少女って普通は言わんぞリナ…)

 

うっさいゼル!…あたしも自分で言ってて恥ずかしいんだから。

それより…あんた本当にあの〈金色の魔王〉なの?それに…混沌の海って…?

 

『うん。…とは言ってもこれはあんたらと話をするためにとった仮の姿。あたしの正体は…異界黙示録〈クレアバイブル〉に触ったリナは解るよね。』

 

彼女(?)の言葉にあたしは頷く。

 

その言葉が本物なら…あたしたちが今いるのは全ての始まりの場所。そして〈金色の魔王〉の中心でもある。

 

(そんな…リナ、本当なのそれ?)

 

(にわかには信じられんが…信じるしかないんだろうな。)

 

 

(ん~よく解らんが…敵じゃ無いんだろ?それならいいんじゃないか?)

 

3人が3人とも違う感想を洩らすアメリア、ゼル、そしてガウリイ。

(…それで結局…あたしたちやこの世界はどうなんのよ?なんとなく予想はつくけどさ。)

 

『う~ん、残念だけど世界を元に戻すことも、あんたたちを甦らせることもできないんだ。あのバカ冥王が余計な事したせいで全てリセットしちゃったから。』

 

ぬわんですって~っ?!…あれ?でもそれじゃなんであたしたちの意識は残ってるの?

 

『それはね…あんたたちは〈選ばれた〉んだよ、〈新しい世界〉にさ。』

 

(…新しい世界だと?どういう事だ、金色の…)

 

『あ、その呼び方は止めてくれる?そーね…これからあたしの事はL様って呼ぶこと。いい?』

 

…確認するけど、あんたこの世界の産みの親みたいなもんよね?威厳ってものは無いの、威厳ってものは?!

『別に偉そうにしても何も得しないし、これが素だからね~。話を戻すけど、あたしは今から新しい世界を創り直してその世界にあんたたちを転生させようと思ってるんだよ。』

 

(えっ、それって…最初からやり直しって事?)

 

あたしは疑問を言葉にする。転生という事は記憶は無くなるんじゃ…

 

『本来はそうなんだけど、今回は特別だから5歳になったら記憶をすり合わせてあげる。それならいいでしょ?とりあえず魔法は使える世界にはするつもりだから。』

 

ま、仕方ないわね…みんなもそれでいい?

 

(わたしは正義の拳を奮えるならどこでも行きますよっ!)

 

(相変わらずだなアメリアは…俺もいくぞ。人間の姿には戻してくれるんだろう?)

 

(わたしも行きます。だってガウリイさまも…)

 

(あぁ…俺はリナの保護者だからな。この世界は護りきれなかったが、今度こそは!)

 

な、何言ってんのよガウリイ?!

 

『ハイハイ、お暑いのはそれぐらいにして…それじゃ、新しい世界にご案内~っ!』

 

L様の手から光が放たれ、シルフィール、アメリア、ゼルの順に姿を消していく。そして…

(リナ…それじゃ次は新しい世界で。…じゃあな!)

 

ガウリイも光に消え、残されたのはあたし1人に。

 

それじゃ、って…まだ知り合えるって決まった訳でも無いのに…ガウリイらしいって言えばそれまでだけどね。

 

『信じてんでしょ、あんたとの絆をさ。…ま、あたしの力でみんな出逢えるようにはしてあげるけどね。』

 

ほんとに?!

 

『ただ皆が皆そのままの姿や名前で転生できないんだけど…出逢ったら判るようにはしとくわ。それじゃそろそろいいかな?』

 

L様の放った光があたしを包み込むと同時に、姿が薄れていく。

 

『あたしがいうのも何だけど…新しい世界で、頑張ってねリナ!』

(ありがと、L様。どーせこっちの世界にも干渉するんでしょ?また逢えたらその時はよろしくね♪)

 

『…そうだね、またね。』

 

次の瞬間、あたしの意識は闇に落ちて…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE:??

 

チュンチュン…

 

バッ!

 

「何…今の夢…?」

 

どんな夢だったか思い出せないんだけど、何か大事な話をしたよーな…

 

あたしはベッドから身体を起こすと鏡の前へ向かう。

 

そこに映っているのは金色の髪と瞳を持った小柄な美少女…ってかあたし。

跳ねてる髪を直して…うん、今日もばっちり!

 

(そう…それじゃそろそろ起きてくれるかな?)

 

えっ、何今…

 

ブゥン…

 

「くっ…?!………そっか、今のが『記憶の擦り合わせ』ってやつか。」

 

次第にあたしの頭の中に昔の…前世の記憶が蘇って、今のあたしと融合していく。

 

「…ってか、名前も同じ、外見も髪と瞳の色が違うだけ…手抜きじゃないわよね、まったく。」

 

今のあたしの名前は〈リナルディア・エチェバルリア〉…通称〈リナ〉。

 

新たなる世界の国の1つ、フレメヴィーラ王国。あたしの(この世界の)父様のマティアス・エチェバルリアは騎操士ってのを育成する学園の教官をしているみたい。(ふ~ん…なるほどね、面白そうな世界じゃない。)

あと、あたしの家族は母様のセレスティナ、それに…

 

「リナ姉様~、朝御飯のお時間だそうですよ~!」

 

そう言って部屋の扉を開けたのは双子の弟〈エルネスティ・エチェバルリア〉、通称〈エル〉。

 

あたしよりも更に小柄で髪の色は銀色。見た目は女の子にしか見えないけどれっきとした男の子だ。

 

「こらエル!部屋に入るときはノックしなさいってあれほど言ったでしょーが!」

 

「ご、ごめんなひゃ~いっ?!」

 

エルの口を指で引っ張るとエルは必死に謝る。…何時もながらよく延びるわね、エルの頬っぺた。

「仕方ないわねまったく。…早くごはん食べて特訓するんでしょ、行くわよ!」

「あ、待ってよリナ姉様!」

 

着替えを済ませたあたしは食堂に向かうとその後ろをついてくるエル。

 

実はこの後、あたしとエルは重大な秘密を共有し、お互いの夢と野望に協力しながら立ち向かうんだけど…それは次回でね♪

 

 

つづく

 




いかがだったでしょうか?

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