艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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宴は楽しいですよね……

酒が進むと本音も少し出ちゃいますよね




宴 三

「ふぅ」

 

佐渡は、楽しんでいる皆の姿を見ながら少し離れた距離で椅子に腰掛け一息付いていた

初の大型作戦の参加と今回、初めて確認された監視者達の行動に少し考え事をしていた

 

 

『我が名は監視者

全ての深海棲艦の管理人だ』

 

 

「……全ての深海棲艦の管理人か」

 

 

「佐渡君、隣良いかな?」

 

 

「ん、良いですよ」

 

 

そう呟くと空を見ながら飲み物を口にする

そんなことをしていると石澤が隣に来て座る

 

 

「……平和だね」

 

 

「ですね、本当に…」

 

 

二人は宴会を各々楽しんでいる皆を見ながら、飲み物を飲んでいるとお互い気持ちを吐露する

 

 

「僕はね、戦いが、戦争が嫌いだ

そして、艦娘が嫌いだ」

 

 

その言葉に、佐渡は驚き石澤を見ると石澤は力強くコップを握り締めており悔しそうにしている

 

 

「……何故、僕達大人の男が部屋に籠ってなくて行けないんだ…

何故、隣で共に戦えないんだ……

何故、僕達にはその力が無いんだ…

俺も、艦娘になれば…」

 

 

佐渡は飲み物を飲みきると空になったコップを石澤の頭に軽く当てる

 

 

「駄目ですよ石澤さん

俺達は提督、彼女達は艦娘なんですから

そして、お互い軍人でしょ

代わりは居るんですから自分の仕事をやらないと」

 

 

「……君は怖くないのか?

彼女達がいつ死ぬか戦場に送り出すのが」

 

 

「怖いですよ?

そりゃーもちろん」

 

 

 

石澤の質問に佐渡はすぐに返すと意外な言葉に驚く

 

 

「正直、俺も戦いたいです

あいつらに任せないで俺が最前線に立って奴等を殺したいですよ

……でも俺達にはそれができない

だからこそ、俺達があいつらに出来ることは信じてやることですよ

…指揮をして、あいつらが勝って無事に帰ってくることをね

俺の全てをあいつらに託してね」

 

 

そして、佐渡は空を見上げながら呟く

 

 

「前に無茶をしたのですがある艦娘に言われてしまいましてね」

 

 

「一体何て?」

 

 

その言葉を思い出す佐渡は悔しそうにしながらでも笑い

 

 

「『あんたはそこで私達の帰りを信じて待ってなさい

必ず、どんなことになっても帰ってくるから

ボロボロでも、死にかけでも、絶対に

だから、信じて私達を』って言われてしまいましてねぇ

あるうちの大食いからですけどね」

 

 

そう言うと佐渡は笑いだすと石澤は俯いてしまう

 

 

「……僕は彼女達に何が出来るのだろうか」

 

 

「さぁ?俺には分かりません

それは石澤さんが決める事ですから」

 

 

「なぁにこんなところで二人でいるのよ?

私達は放置なのかしら?」

 

 

不意に二人で話していると叢雲がいつの間にか来ており両手には飲み物を持っている

 

 

「おう、叢雲

宴会は楽しいか?」

 

 

「えぇ、それなりにはね

はいこれ飲み物

あんたさっき飲みきってたわよね?

石澤提督にも渡して上げて」

 

 

「サンキューな」

 

 

佐渡は叢雲から飲み物を受け取ると空のコップを叢雲に渡すと戻ろうとする

 

 

「なぁ、叢雲」

 

 

「なぁに、司令官?」

 

 

「俺が司令官で良かったか?

お前達に無茶ばかりさせてるけど」

 

 

そう言われると叢雲は微笑みながら佐渡を指差す

 

 

「『俺が』じゃないわ『あんたが』良いのよ

二人で居るのも良いけどそろそろこっちに来ないと皆が心配するわよ?」

 

 

叢雲が言うと石澤は顔を上げ、皆を見るとこちらを見て心配しており佐渡も石澤に手を差し出す

 

 

「行きましょ、石澤さん

艦娘が貴方(提督)を待ってますよ?」

 

 

「……そうだな!くよくよしてても仕方無いか!!」

 

 

石澤は佐渡の手を取り元気良く走りだし阿武隈達の肩に手を回しはしゃぎ始める

 

 

「……何を話してたの?」

 

 

「男同士の秘密だ」

 

 

「そいつは残念ね」

 

 

佐渡と叢雲は二人でその光景を見ていると佐渡が叢雲の頭を撫でる

 

 

「お疲れ様、叢雲

信じてたぞ」

 

 

「ありがと、佐渡

本当かしらね」

 

 

「ちょっとー!!叢雲!提督!!

なに二人で居るのよ!!

提督!!叢雲に手を出していないわよね!?」

 

 

「叢雲ー!提督ー!

皆で沖縄料理食べましょー?」

 

 

大井と古鷹に呼ばれると佐渡と叢雲は顔を見合せ笑うと二人で歩いていく

 

 

「出してねぇよ!

お、古鷹どんなのがあるんだー?」

 

 

「肉は残しといてよねー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、騒がしい夜の宴会は過ぎていく 

束の間の平和を楽しむように

各々の疲れを癒すように

 

 




次回

夜のお話

もう少しだけ続けさせてくださいおねがいします(土下座)
宴会が終わり各々が寝静まる夜
叢雲と瑞鶴、そして古鷹と阿武隈が自分達の話をします
少し真面目な話になりますかね?


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