艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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これ書いたら新章行けるかな…(遠目)




宴 四

月夜が照らす夜

宴も終わり辺りは静けさを取り戻し

その中で、叢雲は月が映る海を一人で見ていた

艤装を展開しながらゆっくりと目を閉じ四日前の戦闘の事を思い出す

 

 

(……あの時、私がケルベロスを倒していれば…

あそこで判断ミスをしなければ……)

 

 

そう後悔しながら、身体をケルベロスの動きを思い出しながら避ける動作をする

すると、後ろから突然パァンと渇いた音がし振り返る

 

 

「何してんのよイメトレ?」

 

 

「…そんなもんよ」

 

 

瑞鶴がこちらを向いており手にはホットミルクが入ったコップがあり二人は近くの流木に腰掛ける

 

 

「……もしかして、ケルベロスとの戦いの時?」

 

 

「…そうよ、あの時もう少しこうしてたら避けられたなぁとかの反省よ」

 

 

「ふーん……」

 

 

二人はさっきと違い静かになってしまう

仲が悪いわけではないだが、何となく話す内容が思い付かないのだ

その空気に耐えかねた瑞鶴が叢雲に訪ねる

 

 

「ねぇ、叢雲」

 

 

「なぁに」

 

 

「叢雲はさ、大事な仲間を失ったことってある」

 

 

その言葉に、叢雲のコップの握る手は強くなるがすぐに力を弱めはぁと溜め息をつく 

 

 

「……あるわよ」

 

 

「…目の前で?」

 

 

「えぇ、四人ほどね

目の前で死んだわ」

 

 

「そっか……

邪魔してごめん」

 

 

瑞鶴はそこまで言うと謝り飲み物を飲みきり立ち去ろうとするが叢雲が服を掴み再び座らせる

 

 

「……それだけじゃないでしょ?

続けなさいよ」

 

 

「……うん」

 

 

先程、元気良くしていた瑞鶴とは違い少し弱々しく見え叢雲に服を引っ張られ再び座り込む

 

 

「……ねぇ、叢雲はさ

そんなに強いのに何で失ったの?」

 

 

叢雲はそう言われると返答に困ったわけではないが月夜を見上げ星空を見る

 

 

「私は、最初からこんなに強かったわけではないわ

努力して、打ちのめされて、負けて、負けて、死にかけて、やっとここまで成長出来た……

まだ弱いけどね」

 

 

その言葉に驚きながらも瑞鶴は拳を握り締める

 

 

「それに、私は強くないわ」

 

 

「嘘よ、叢雲は強いよ」

 

 

「強くないわよ……

でも、強くいたいのよ」

 

 

瑞鶴にまだホットミルクが入ったコップを渡すと立ち上がり空に手を伸ばす

 

 

「私は誓ったの

死んだ仲間に

今以上に強くなって、守れなかった貴方達の代わりに他の人を守るって

だから私は強くなりたい、もっともっと、血反吐を吐いても骨が折れても死にかけても……

二度と失わないってね」

 

 

そう言うと、空を掴むように拳を握り瑞鶴に向き直る

 

 

「それにね、アイツは私に言ってくれたのよ

『今を後悔したって遅いんだよ

事実は変わらない変えられない

だが、未来は変えられる

だから変えるために動け』ってね

だから、私はその為に強くなるの

二度と失わないために」

 

 

「アイツって佐渡提督?」

 

 

「そうよ、それにアイツは私に自分の全てをくれるって言ってくれたのよ

技術も知識も全て

だから私達は約束した

 

『海では私達艦娘が守るわ

だから、貴方は陸での私達を守って』てね

 

瑞鶴はまだあの提督に守られてるだけで良いの?」

 

 

叢雲は瑞鶴へ手を差し伸べると、瑞鶴は笑いながらその手を取る

 

 

「冗談じゃないわ!もう、守られてるだけなのは嫌なのよ!」

 

 

「その意気じゃない?正規空母瑞鶴様?」

 

 

「辞めてよね!確かに誇りはあるわ、でもあんたにはそう言う呼ばれはされたくないわよ駆逐艦叢雲」

 

 

お互い、少し冷めたホットミルクを飲み干すとコップを流木に置くとにぃと笑いながら握手を交わす

 

 

「貴女に会えて良かったわ

そして、ありがとう阿武隈をこの沖縄を守ってくれて

本当に感謝してる」

 

 

「しつこいわよ?でも素直に受け取っておいてあげる」

 

 

その近くの木の影で古鷹と阿武隈は二人の会話を盗み聞きをしておりお互いの顔を見合せる

 

 

「良い仲間をお持ちなんですね

阿武隈さん」

 

 

「古鷹さんこそ、最高な仲間を持っていますね」

 

 

二人はクスクスと笑い合うとはぁと言いながら阿武隈は立ち上がり瑞鶴と叢雲に向かっていく

古鷹もその後ろを付いていく

 

 

「ちょっと~?二人だけで何してるんですかぁ?」

 

 

「叢雲~?私を置いていくのは酷いと思うんだけど?」

 

 

「あちゃー、バレちゃったか……」

 

 

「どうせだから、もう少し話さない?

連合組とケルベロス組が揃ってるんだし?」

 

 

「お、叢雲ナイス~

阿武隈ほらほらここ座りなよ?」

 

 

「夜更かしはお肌の天敵だよ?」

 

 

「たまには良いんじゃない?」

 

 

阿武隈は、仕方ないなぁと言うと座り他の三人も各々座りだし色々と話を続ける

 

 

今までの話やこれから、恋ばなや女の子らしい話をしながら夜は明けていく

まだ終わらぬ戦いの最中に少しばかりの休息を

 

 

 

 

 

 

 

 




次回   

別れ

何か二回連続で真面目な話になってる?気にしたら敗けです(



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