佐渡は廊下を歩きとある場所に向かっていた
先程二人には食堂にと言っていたのに別の方向に向かっている
それは、工厰
工厰(こうしょう)基本的に艦娘の艤装の手入れや武器の製造を行う場所
その他にも 艤装の製造 解体等を行う言わば小さな工房である。
一昔前までは実はここで艦娘の製造が行われていたらしいが、今はもう出来なくなっている
理由と言うのも艦娘の製造には莫大な資材が必要なのと、『同じ種類の艦娘』を製造する提督が多く日本各地の妖精が嫌がったのである
佐渡はしばらく歩いていると一階にある左端の廊下の扉を開き外に出ると屋根だけがある渡り廊下を歩く
外はすっかり暗くなっており街灯が付いているのが見える
この鎮守府の工厰は外に別の建物として置いてある
ドッグからは少し遠いがそこは仕方ないと感じている
渡り廊下を歩き終えると目の前に工厰の扉が見え右へ引き扉を開く
「おっじゃましまーす!!
親方さーんいっまーすーかー!?」
佐渡は元気よくこの工厰の責任者親方妖精を呼ぶ
「おう、提督さんじゃねえか、どした?
何か用かい?」
佐渡が入った扉のすぐ横にドラム缶が置いてありそこには、まるで職人見たいな感じの風貌の小さな手のひらサイズの妖精が佐渡を見上げていた
親方妖精、この工厰の全責任者
佐渡がここに着任したときには、既にいた『前任者』の世話もしていた妖精
最初は提督を嫌っており 製造 整備を嫌がっていたが佐渡の懸命な説得とその行動に心を開いてくれた
工厰はそこそこに広い鎮守府の半分位の大きさがありそこには艦娘の武器を作るための特殊な機材が立ち並び、その奥には個別化した部屋三つがある
その上にはプレートが挟んであり、そこには
分解室
製造室
改装室
と書いてあり、妖精以外立ち入り禁止!と扉に書いてある
だが丁度製造室だけ使用中の看板が下がっており、その奥から鉄と鉄が当たる音が聞こえる
そして佐渡の目の前には先程の戦闘で損傷した艤装が置いてありそれを他の妖精さん達が必死に直してくれている
「ごめんなさいね、今回の出撃で艤装結構損傷させて仕事増やしてしまって……」
「良いってことよぉ!!これが俺達の仕事なんだからよぉ!!」
佐渡が申し訳なさそうに言うが、親方妖精は「ガハハ」と笑いながら答えてくれる
相変わらず頼もしいなと思う佐渡だったが、それだけを言いに来たわけではない
「艤装の修復かい?」
不意に親方妖精に心を読まれたのか?と佐渡は一瞬焦るがその通りであり話を続け修理をしている他の妖精達を見る
「えぇ、どれくらいかかりそうですか?」
親方妖精は、うーんと唸るが、ばつが悪そうに話し出す
「叢雲ちゃんの主砲は、特に問題ない
砲塔が、流石にやられているが発射菅事態に損傷は無かったからな
多分、今晩中には終わるだろう……
問題は……あの流されてきた新人の艤装だね
ありゃ、かなり時間かかるぞ?」
佐渡はやっぱりかぁと頭を掻きながら親方妖精に向き直る