艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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私の止まり木

「あー…つっかれたぁ……」

 

 

佐渡は、大井の説教と仕事でかなり疲れていた

湯船に浸かりながら外を見ると綺麗な満月と夜空が見える

 

 

「くっそー大井の野郎~

金剛……やっぱり駄目かぁ…」

 

 

金剛が一向に心を開いてくれないのを気に病みながらも顔を湯船で流すと天井を見上げる

 

 

「拒絶されんのは……やっぱりキツいな……」

 

 

すると、脱衣場の扉が開く音が聞こえる

(ん?叢雲か?)

と思いながらのんびりと湯船に使っていると風呂場の扉が開きぐったりとしながらも頭を向けると

 

 

「し、失礼……します…」

 

 

「!!!!

金剛!?」

 

 

金剛が一糸纏わぬ姿で男の風呂に入ってきており直ぐ様反対方向を向く

 

 

「バッカ!お前ここは男湯てか俺の風呂だぞ!?」

 

 

「……お話…したくて…

よろしいですか?」

 

 

「いや、あのな?ここじゃなくて、上がってでも……」

 

 

「今!したいんです…駄目ですか?」

 

 

 

「~!!

あー!もう!分かったよ!!」

 

 

 

佐渡は、金剛から初めてのお願いに頭をかきむしりながらも渋々了承する

ゆっくりと歩いていき佐渡の背中に自分の背中を押し当てると二人で湯船に浸かる

初めて、金剛から寄り添って貰え佐渡は少し喜びに口元が緩む

 

 

「んで、どうしたんだ

ここに入ってきてまでの話なんて」

 

 

「私の不幸は直接触るほど、伝染しやすいんです

だから、今まで提督や他の方に触られるのを避けていました

ごめんなさい」

 

 

「ほう、そうだったのか……

でも、それなら何で背中を合わせてくれるんだ?

不幸を伝染させたいのか?」

 

 

「叢雲に言われました……

貴方は拒絶されるのが何よりも嫌いだと

だから、今日は今までの償いです」

 

 

「あいつ……余計な事を…」

 

 

すると、佐渡の背中に二つの柔らかい物と身体の暖かさが伝わり全身をビクッと震わせる

金剛は、少し強めに佐渡の身体を抱き締めておりそれに少し反応してしまう

(おっふ女の子の身体柔らかいでござる……

嫌落ち着け…)

 

 

「提督、私の気持ち聞いて頂けますか?」

 

 

「ん!お、おう」

 

 

金剛の抱き締める力が少し強くなり、深呼吸をすると話始める

 

 

「私、ここにきて良かったです

皆優しくて、不幸なんて気にしないって言ってくれて

ご飯が美味しくて、毎日が楽しかったんです

だから、ここに居させてください……」

 

 

そこまで言うと静かになり小刻みに震えている

佐渡は微笑みながら金剛の手に自分の手を絡ませる

 

 

「あぁ、お前が居たいなら居てくれ

俺達は歓迎する金剛を

だから、これからは自分を抑えなくても良いんだぞ?」

 

 

「……ぇ?」

 

 

「お前が抱き付きたいなら抱き付け

握手したかったらするがいい

怒りたかったら怒れ

お前のしたいことがあるなら好きにやれ

何か起こしても何があっても俺が何とかしてやる

お前は俺の鎮守府の艦娘だ

だから、ここでは好きにやれぜーんぶ俺が責任を持つ」

 

 

そう言われると金剛の中にあった今までのこびりついていた言葉や思いが消えていく

 

『死ね!!この不幸な高速戦艦が!!』

 

 

「良いんですか?私は不幸ですよ?」

 

 

「は?不幸?俺には関係ないね!

ちょっと刺激が増えただけさ!」

 

 

『あんたなんか!どっか消えなさいよ!』

 

 

「ここにいても良いんですか?」

 

 

「お前に居て欲しいんだよ!お前じゃなきゃ駄目だ」

 

 

『触るな!近寄るな!!』

 

 

「……いっぱい触りますよ?」

 

 

「女の子から触られるとかむしろウェルカム

どーんと来い!むしろ来てくれ!」

 

 

『またお前の不幸か!!本当に邪魔だな!』

 

 

「不幸をばら蒔いて迷惑かけますよ?」

 

 

「はっ!任せときな!俺が何とかしてやるさ!!」

 

 

 

 

今までの言葉を掻き消すかの様な佐渡の言葉に涙を溢しながら強く抱き締める

嬉しさに震えながら

 

 

「提督」

 

 

「ん?」

 

 

「……私の止まり木になってくれますか?」

 

 

「…あぁ!良いぜ!ここがお前の止まり木だ!!

好きなだけ休んでな!!」

 

 

佐渡に言われると、心から喜び口元が緩み微笑む

そして、耳元に口を近付け

 

 

「ありがとう、私の提督

大好き」

 

 

「え?」

 

 

頬にキスをすると、湯船から上がり早足で脱衣徐に向かい扉を開けると

 

 

「提督!!明日から覚悟してくださいね!!

金剛型一番艦の凄さを身をもって教えてあげます!!

明日からは遠慮なんてしませんからね!!」

 

 

そう言い残し扉を閉め、早足でその場を立ち去っていく

 

 

 

 

「大好きって敬愛……だよな?」

 

 

一人残された佐渡は金剛にキスされた頬を擦りながら顔を紅くしていた

 

 

 

 

 






次回

全力全開の愛で

次回から金剛さんはどうなるのでしょうか?
佐渡羨ましいので素直に藻屑になってほしいと思う作者ですはい


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