「あと、例のアレ、また作って頂けませんかね……?」
佐渡が、腰を低くしながら、親方妖精に先程の戦闘で叢雲が消費した魚雷の話を持ちかける
「お?また使ったんかいあれを?
提督も物好きだねぇ、あんな『失敗作』を
まぁ、別にあれに関しては予備があるし、何時でも用意できるぜ?」
「お、それは助かります!
あと、誘導性魚雷は……」
「大丈夫だぜ、あれも作りおきがあるからな
ここ最近暇だったからなぁ」
「流石親方!!」
失敗作、先程親方妖精が言った言葉に嘘は無い
通常、魚雷と言うものは、射出されれば真っ直ぐに飛んでいく物なのだから
だが、作る過程でどうやら親方達の設計ミスで作られたのが、あの特殊魚雷だ
どうやら、途中で構造を間違えたらしく、射出しても、真っ直ぐに飛ばず、そのままある程度の深さの水中に浮くようになってしまったらしい
しかも、誘爆がしやすく、火力も通常の酸素魚雷より高いらしく、普通は絶対に使用されない
一歩間違えれば、自爆の危険性が高い
危険な武器である
正式名 誘導性酸素四連性魚雷(ゆうどうせいよんれんせいぎょらい)
実はこれは、佐渡が親方妖精に特別に依頼している酸素魚雷
通常の魚雷とは違い、先頭に磁力を感知する特殊な機材が入っており、ある一つの物に向かっていく特殊魚雷
その分火力と速度は、通常の四連性魚雷より落ちており、運用するのは難しい
「にしても、良くこんな使い方を思い付くねぇ、提督さんは?
叢雲ちゃんが、可愛くないのかねぇ?」
親方妖精は、頭を掻きながら佐渡に向かい皮肉じみた口調で言う
言われた佐渡の方が頬を掻きながら、親方妖精に言う
「あはは……
そんなこと無いですよ…
叢雲だから、信じて持たせてるんですよ」
親方妖精は、ふーんと言うと、ドラム缶から飛び降り、妖精達に渇を入れる
「お前達!!艤装の修理と開発!!明日中には、仕上げるぞ!!」
工厰に親方妖精の声が響き渡り、それを聞いた妖精達は、各々持っていた工具を上に掲げながら、おぉー!と気合いを入れ直す
「と、気合いを入れてくれたのは良いのですが、そろそろ晩御飯にしませんか?」
佐渡の声に、働いていた妖精達の手が一瞬で止まる
だが、親方妖精は申し訳なさそうに頭を掻きながら佐渡に言う
「いやぁ、提督よそれは嬉しいんだが仕事が」
「飯だぁぁ!!!」
「提督飯だぁぁぁ!!ヤッホォ!!」
だが、それを他所に仕事をしていた妖精達は持っていた工具をそこらへんに投げ捨て、工厰の入り口にあった小さい車に走っていく
製造室の下にある、小さな扉からも妖精が出てきて、みんな一斉に妖精専用の車に向かっていく
「お、おい!お前ら!!」
「まぁまぁ、ほら親方も行きましょ?」
佐渡は、親方妖精に手を差し伸べると、親方妖精は溜め息を付きながら、佐渡の手に乗ると、手を肩の方に動かす
すると、親方妖精はジャンプして、肩に移る
「晩飯は、何なんだい?」
「んー、今日は中華系にしようかと思いましてね…」
工厰の扉を開けると妖精達が乗ってる車のエンジンがなり動き始める
「出発ー!!目的地、食堂!!」
妖精達が乗った車が、エンジン音と共に廊下を走り始める
それを見た、佐渡は微笑みながら、後を付いていく