しょうがないじゃないですか、やらないと始まらないんですもん
許してください
「んー……あっちー…」
「ですねぇ、提督。
あ、麦茶ありますよ?」
「お、流石古鷹気が利いてる~
良い嫁さんになれるな」
「もう!そう言うこと言わないでください!
はい、麦茶ですよ」
「誉めてるんだけどなぁ…
ありがと」
現在、佐渡と古鷹は防波堤で釣りを楽しんでいた
楽しんでいると言っても晩御飯の魚を取りに来るためにここで釣りをしているのだ
だが、季節は8月完全に夏真っ盛りでありパラソルと麦わら帽子を二人とも被りながらのんびりとしていた
「にしても、良く釣れるよな
ここの魚は、前金剛とやったとき何も釣れんかったのに」
「それは金剛さんの不幸が原因ですかね?」
「かもなぁ……
んま、気にしないけどさ」
佐渡のバケツには多くの魚が泳ぎ更にアイスボックスにも入りきらないほど釣れていた
「次釣れたら何か食べるか?
古鷹?」
「良いですね!おにぎりもありますので、焼き魚にしますか?」
「用意良いな……そうするかぁ」
のんびりとこの生活を楽しみながら平和ボケしているほどに佐渡はあくびをしながら釣竿が引くのを待っているとぐんと強い引きが来る
「あ、来た」
「では、提督準備しますね!」
「おー」
佐渡は、釣糸を手繰り寄せながら見事に一本釣りをするとその釣れた魚に唖然とする
「………あ?」
「提督何が釣れて……え?」
佐渡が釣り上げたのは、前に金剛と釣り上げた筈のイ級だった
餌(伊勢海老)に食い付き見事に釣れており古鷹は慌てている
「え?え?深海棲艦!?
ど、ど、どどどうしよう!!
とりあえず!提督そのままで!!」
「待て、古鷹俺はこいつに言うことがある
とりあえず、飯の準備を」
「は、はい?」
佐渡はゆっくりと馴れた手付きでイ級の口に引っ掛かった針を取ろうとするとイ級も口を開け取りやすいようにしてくれ奥に引っ掛かっていた針を抜き取り
イ級をコンクリートに置くと佐渡は立ち上がる
「お前なぁ!!!このやろう!この前言ったよなぁ!?
魚の餌を食べるなって!!
捌かれたいのかお前はぁぁ!?あぁ!!」
佐渡はイ級を指差しながら怒っていると心なしかイ級は頭を下げており大人しく怒られている
その状況に付いていけては居ないが、とりあえず古鷹は火をお越し準備を進める
「全く!!お前達は何だ!魚の餌が好物なのか??あぁん!?きちんと飯を食え!!」
「あ、あの提督?そこではないと思うのですが……
それよりもそれ…イ級ですよね?」
「古鷹さん、とりあえず待つんだ
俺がこいつの飯の素晴らしさを伝えるからな?」
「い、いえ、提督それ以前にその子敵ですよね?
良いんですか?倒さなくて良いんですか?」
古鷹が混乱しているのを余所に佐渡はイ級に説教していると大人しくイ級が怒られているのを見ると大丈夫…なのか?と思い佐渡の釣った魚を七輪で焼いていく
「……だからな!飯は…ってお前!聞いてるのか!?」
イ級を怒っているといつの間にかイ級は古鷹の方をじーと見ている
古鷹はうちわをパタパタやりながら丁寧に魚を焼いておりイ級はその姿を見ている
「提督、そろそろ焼けますよ?」
「お、マジ?んじゃ食べるか、ほらお前は海に帰れ
次は撃沈させるからな?」
佐渡はイ級を見逃すと、古鷹から紙皿を受け取り焼かれた魚を食べようとする
「んじゃ、頂きます」
するとイ級が芋虫の様にコンクリートを這いながら佐渡に近付く
「ん?なんだお前何か用か?」
イ級は、佐渡の持つ紙皿をじーと眺めておりそれに気付いた古鷹は手を叩く
「もしかして、その子お腹空いてるんじゃないですか?」
「はぁ?深海棲艦って腹減るの?
……食べたいのか?」
佐渡が聞くがイ級はじーと眺めて居ながら一切答えない
ちょっと意地悪をしたくなった佐渡は紙皿を左右動かすとそれを見るようにイ級も頭を動かす
「……見たいだな
食うか?」
イ級は、頭を立てに振り佐渡は出来立ての魚の身をほぐし息で冷まし口に運ぶと口を開け食べる
その瞬間美味しかったらしく頭を上下に振りながら喜ぶ
「ほう?分かるか、旨味がよし!なら食え!!」
佐渡は紙皿に乗った魚を全てイ級に渡すと勢い良くバクバクと食べ始める
「お腹空いてたんですね……」
「成る程、だから魚の餌食ってたのかこいつ」
焼けた魚を食べ終わると再び古鷹を見上げじーと眺める
「まだ欲しいの?分かった!任せておいて!」
古鷹は美味しそうに食べるイ級を見るとやる気をだし
再び焼いていきと紙皿に乗せていきそれをバクバクとイ級は食べており、佐渡も別に焼いてもらい食べながら釣りを続ける
「平和だな……ここは……」
そう呟きながら、空を見上げると海の向こう側に入道雲が見えるがそれ以外は晴れ模様
絶好の釣り日和である
次回
イ級と仲良くなった?
今回はのんびりとほんわかとした話でした!
次回もそんな感じです!