艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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奴隷艦は月夜に願う

「ぬぅ、夜もまだまだ暑いな…」

 

 

佐渡は夜の防波堤に座りながらのんびりと酒を飲みながら月を肴にやっていた

 

 

「古鷹…と仲良くやってるかな…」

 

 

月夜に呟きながら酒を飲んでいると波の音に紛れ誰かの足音が聞こえる

 

 

「司令官、今良いかしら?」

 

 

「ん?おぉイムヤどうした?こんな所に来て」

 

 

イムヤが部屋着を着た状態で、佐渡の隣に座ると佐渡はイムヤに壺に入った飲み物を出す

 

 

「お前に酒を出すわけにはいかないからな

こいつで我慢してくれ」

 

 

「……司令官これは?」

 

 

「んー、梅ジュース

ここで取れた奴酸っぱいぞ~?」

 

 

イムヤは壺から桶を取り出し、佐渡から渡されたコップに入れると飲み出す

 

 

「すっぱ!でも、飲みやすいのね……」  

 

 

「おう、そういう風に作ったからな

身体に良いぞぉ?」

 

 

佐渡は笑いながら言うとイムヤも少しずつ飲んでいく

 

 

「んで、何の用だ?

こんな時間にさ」

 

 

「ねぇ、司令官は私をどう思う?」

 

 

「どうって……可愛い女の子」

 

 

「え?」

 

 

「だから、少食でひたむきで一生懸命で真っ直ぐな女の子」

 

 

佐渡は、イムヤを真っ直ぐ見ながら言うとイムヤは顔を少し赤くすると顔を左右に振るう

 

 

「違う!!潜水艦としてよ!!」

 

 

「あ、そっちか。うーん分からん」

 

 

「……そうよねごめんなさい」

 

 

「あー、でもな?」

 

 

イムヤは佐渡を見ると顎に肘を付きながら月夜を見ていながら呟く

 

 

「お前ならどんな潜水艦にも負けないと思うよ」

 

 

「…え?」

 

 

「だってそうだろ?何よりも真っ直ぐでしっかりと仕事をこなし、今までどんなこともやってきたんだ

そんな奴が戦いだけしか知らない奴なんかに負けるとは俺は思わない

俺がここでお前を見てきたんだ、間違いないさ」

 

 

そう言われると、古鷹の言葉を思い出しながら佐渡の手を握る

 

 

「ん?どったイムヤ?」

 

 

「ねぇ、司令官私のお願い聞いてくれない?」

 

 

「んー、内容にもよるかな?」

 

 

イムヤは顔を伏せており決意すると良しと言うと真っ直ぐに佐渡を見る

 

 

「私をここにずっと置いてくれない?

何でもするから

私を……守ってほしいの

私は装甲もないし弱いし、他の皆見たいに何か出来るわけでもないけど出来るようになるから!

お願い!!」

 

 

イムヤは眼をぎゅっとさせながらお願いをしていると佐渡は響き渡るような程の大声で笑う

 

 

「ハハハ!!そんなことかよ!!」

 

 

佐渡はそう言うとイムヤの頭を撫でてあげると、満面の笑みを浮かべている

 

 

「任せろ!お前は俺が守るさ!

お前はここの艦娘だ!!

お前をどこの鎮守府にも他の提督にもやるもんか!!

ここで、古鷹や叢雲達と好きに生きろ!!」

 

 

佐渡に言われるとイムヤは微笑むと鎮守府へと向けて駆け足で走っていき後ろを振り返り

 

 

「その言葉!!信じるからね!!司令官!!」

 

 

「おう!!!任せとけ!!」

 

 

返事を返すとイムヤは駆け足でその場を後にする

しばらく走った後空にある月を見ながら呟く

 

 

「これからよろしくね、私の新しい司令官!!

あの人の為に、皆の為に頑張るわよ!」

 

 

気合いを入れ直し、これからの鎮守府生活を満喫すると決意するイムヤであった

 

 

     奴隷の潜水艦 イムヤ編 end




次回

知りたくなかった真実

今回でイムヤ編が終わりです
次の話はある伏線の回収です



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