「そう言えば、叢雲?頭の上にいつも浮かせてる艤装はどうした?
今日、出撃時に付けてなかったよな?」
叢雲の艤装は、身体に付ける物と持っていく物、そして、最後に頭より少し上の両端にウサギ耳の様な艤装が付いているのだが、今日の出撃で付けて居ないのを不思議がり佐渡は叢雲に尋ねる
「あぁ、あれ?この前の戦闘で壊れてね
今、明石さんに直して貰ってるのよ
別に戦闘には影響無いし、大丈夫よ?」
「そっか」
明石さん
正式名 工作艦娘 明石(あかし)
艦娘唯一の、工作艦として知られている
所属は、大本営の工厰におり、艦娘の精密艤装や艦娘の製造に手をかけている人物だ
彼女も女性であり艦娘なのだが、戦闘能力が低く、戦闘には不向きで有るが、その変わり工具や機材を扱うのに長けており、自らサポート役へと回っている
彼女も艦娘ではあるため、昔は全鎮守府に一人は配置されていたのだが、これもまた妖精さん達が製造を嫌がり、今は貴重な人材として、大本営のみに雇われている
そして、この小笠原鎮守府を味方してくれる数少ない人であり、錆び付いた工廠を直してくれた恩人でもある
また、今度大本営に呼び出されたら、何か作って持っていこうかな?
「そう言えば、提督!聞いてくださいよ!!
叢雲ってば凄かったんですよ!?
一人で五体も撃破しちゃうんだから!」
佐渡が、そんなことを考えていると古鷹が今日の戦闘結果を報告する
それを聞いた叢雲は、少し照れながらそっぽを向く
「そ、そんなこと無いわよ……
あれぐらい、ふ、普通よ!」
「そんなことないよ!!
流石、叢雲!鎮守府最強!」
古鷹が叢雲を持ち上げる様に話していると叢雲が顔を真っ赤にしながら照れている
「あぁ、流石だな叢雲
我が鎮守府最強の駆逐艦だな」
更に追加で佐渡が言うと、叢雲の顔が更に赤くなり、ゆでダコみたいな感じになると気を反らす様に佐渡へとご飯茶碗を差し出す
「お、おかわり!!!」
「ふふ、分かったよ」
佐渡は、微笑むと叢雲のご飯茶碗を取り、席を立つ
古鷹の方を見ると、古鷹のご飯茶碗も空になっており、静かにそれも取る
「あ……提督…」
「いらないか?」
「……お願い…します」
「提督ー!僕たちもー!」
古鷹は、一瞬迷うが直ぐに照れ臭いのか頬を掻きながら、箸を置くと妖精さん達もおかわりを要請する
「はいはい、待っててね」
ご飯茶碗をトレーの上に乗せ、炊飯器の釜を開け、それぞれの茶碗にご飯をよそう
テーブルでは、古鷹達が今日あった出来事や、妖精さん達が和気あいあいと話をしているのを見ると、佐渡の頬も自然と緩む
「平和、だな……」
そう呟くと、よそいおわったご飯茶碗をトレーに乗せ、再びテーブルに戻り、皆にそれぞれ渡していくと、すぐに皆がご飯茶碗を持ち、食事を再開する
だが、佐渡だけは、再び台所に戻り、冷蔵庫から先程使った鶏肉を取り出す
「提督?食べないのですか?」
古鷹が不思議がって、台所に入って来ており、佐渡の隣に立つ
「ん?あぁ、そろそろかなぁと思ってね?」
佐渡の話に、古鷹は頭にはてなマークを浮かべたような顔をするとテーブルから怒号に似た叢雲の声が聞こえる
「あーー!!酢豚の唐揚げが無い!!
あんた達!!どんだけ食べてるのよ!!
私、まだ食べてないのに!!」