艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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秘書艦任務

「グラーフ、そこの資料とって」

 

 

「分かった!」

 

 

「グラーフ、ここの文字間違ってるぞ

訂正頼む」

 

 

「む、すまない」

 

 

「グラーフ、大本営から何か伝達は?」

 

 

「今の所は……いや一つあるこれだ」

 

 

「ありがと」

 

 

次の日、グラーフの秘書艦任務が始まった

基本的には書類整理と大本営からの伝達を受けとる等ばかりだがこれでもかなり数がある

(ぬ、中々キツいな…)

流石のグラーフも疲れが見え佐渡がペンを置く

 

 

「0800、少し休憩するか」

 

 

「あ、す、すまないアトミラール……」

 

 

「なぁに、初めてにしては筋良いぞ?

珈琲で良いか?」

 

 

「頼む…」

 

 

パソコンと資料を交互に見てたりで目が疲れてしまい目頭を押さえ痛みに耐えていた

 

 

「どうだ?仕事はキツイだろ」

 

 

「……これしき、どうってことないさ!」

 

 

グラーフは強気で言うが、やはり目は疲れているためか眼をしばしばさせている

 

 

「グラーフ、メモを取れ

今日の日程を言う」

 

 

「わ、分かった」

 

 

グラーフは、大井から預かっている日付のメモ帳を取り出すとペンを取り書こうとする

 

 

「今日だけは少し真面目に仕事するからな

0900に資材庫で備蓄資材の確認

1000に工厰にて親方さんと艤装チェック

1100に古鷹とイムヤの手伝い

1200に昼食

1400に金剛と叢雲の演習立会人

1500に資料整理

1700に各部屋機材等の点検

1800に晩飯

2000で仕事終わりだ、メモできたか?」

 

 

「う、うむ!大丈夫だ!」

 

 

「良し!んじゃ!!

一息つくかぁ~」

 

 

佐渡は思い切りのんびりとソファに仰向けになりながら転がるとグラーフも正面に座る

 

 

「アトミラール、制服にシワが付くぞ?」

 

 

「ついたらアイロンで伸ばせばいいのさ」

 

 

グラーフは溜め息混じりに言うと、佐渡はその姿を横目で見る

 

 

「なぁ、グラーフ」

 

 

「何だ、アトミラール」

 

 

「お前は何で、あんなことを言ったんだ?」

 

 

「あんなこととは?」

 

 

「だから、我々を犠牲にすればってさ」

 

 

そう言われると、グラーフは固まる

佐渡に怒られたのが少し効いており恐る恐る言い始める

 

 

「……お前達をアトミラールは私達を兵器だと思ってるのだろう?

なら、我々も割りきらなくてならない……

いや割りきった方が良いのだ…

それの方が兵器としては楽だからな…」

 

 

「ふーん?」

 

 

「だ、だから!!アトミラールも私の事は兵器だと思ってくれ!!

私は貴方の指示に従う!危険な海でも行かせても構わない!!使いやすい兵器として扱ってくれ頼む!!でないと……」

 

 

グラーフはそこまで言うと目に涙を溜めており何度もそれを袖で拭い俯いている

 

 

「………戦えなくなるんだ…

恐いんだ……

あれを見てから……」 

 

 

「…見たのか?霧の海域で何かを」

 

 

「……あぁ、倉庫の中で頭を打ち付けたが入ってきた海水を浴びてな…

目の前で人が殺されていく様を見ているしか無かった…

霧のお陰が幸いしてか奴は私に気付いていなくてな……」

  

 

「相手は分かるか?」

 

 

グラーフは頭を左右に振るうと「そうか」と佐渡はグラーフの頭を撫でる

 

 

「だが、断る

お前を兵器のように扱わない俺は」

 

 

「何故だ……」

 

 

「え?だって、グラーフ人間だし?女の子だし?」

 

 

「……え?」

 

 

佐渡はグラーフの顔を持ち上げるとにかっと笑いながら答える

 

 

「考えてもみろ、兵器は泣かない、笑わない、恐怖しない、こうやって悩まない、話さない

お前達は立派な人間だ、それよりか人間より人間らしい

そして、俺はそんなお前達を陸上で守ってやる

どんな奴等からもな

二日間だけかもしれないが信じろ俺を

決して俺はお前を見捨てない、裏切らない」

 

 

真っ直ぐにグラーフを見ると涙で眼を赤くしており、佐渡はポケットからハンカチを取り出しながら涙を吹いていく

 

 

「さーてと、そんじゃうちの一日を体験してもらうぞ?

グラーフ ツェッペリン

普通の鎮守府とは違うところを見せてやる」

 

 

佐渡は立ち上がり、グラーフの頭を撫でながら歩いていく

その後ろを涙を拭きながら着いていく

 

 

「さてと、そんじゃ始めますか!」

 

 

 





次回

空母の艤装とは?

ちょっとしんみりさせましたが、実はグラーフは霧の海域でそのレレレを見てはおらずその影を見ていたに過ぎません


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