艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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秘書艦任務 三

「アトミラール、次は家事の手伝い……か?」

 

 

「おう、古鷹達に応援を頼まれていてな」

 

 

佐渡とグラーフは、のんびりと廊下を歩いていると前からイムヤが歩いてくる

 

 

「お?イムヤ、どうした?」

 

 

「あれ?司令官とグラーフさん

ちょっと洗剤が足りなくて取りに行くの

古鷹さんが今やってるから手伝ってあげて」

 

 

「ほいほい」

 

 

そう言うと佐渡達の隣を抜けて歩いていく

 

 

「なぁ、アトミラール

古鷹達は何を掃除してるんだ?」

 

 

「んー?時期に分かるさ

そう言えば、今日は大掃除か」

 

 

佐渡は呟くと食堂にたどり着くと廊下に椅子やら机やらが置いてあり扉を開けるとそこでは古鷹が机を使いながら壁の掃除をしていた

 

 

「あ、提督!グラーフさん!来てくれたんですね!」

 

 

「おう、古鷹精が出るな

手伝いに来たぞ」

 

 

「応援に来たぞ、古鷹」

 

 

古鷹は、椅子から降りると佐渡達に近付いていくと今日の掃除内容を伝えていく

 

 

「では、提督とグラーフさんは厨房を

私達はこちらをやりますね」

 

 

「おう、任せときな」

 

 

「分かった任せろ」

 

 

佐渡とグラーフは、お互い別々の場所を掃除しているとイムヤが戻ってきて洗剤を手渡せる

 

 

「なぁ、アトミラール」

 

 

「んー?」

 

 

「いつもやってるのか?こんなことを?」

 

 

「んー、いつもじゃないけど時々な

出撃だけが仕事ではないからなここでは

嫌か?」

 

 

「いや……悪くはない」

 

 

しばらく、四人で掃除をしており終わらせると外に出していた家具などをしまいそれぞれテーブルに座っており佐渡は厨房で何か作っているようだ

 

 

「ふぃー疲れた~」

 

 

「お疲れ様です、イムヤさんグラーフさん

珈琲と紅茶どっちにしますか?」

 

 

「あ、私紅茶で!」

 

 

「私は珈琲で」

 

 

「はい、分かりました」

 

 

古鷹は立ち上がり馴れた手つきで珈琲と紅茶を入れると二人に差し出し三人で一息つく

するとグラーフが二人に話しかける

 

 

「二人は」

 

 

「ん?」

 

 

「はい?」

 

 

「ここでの生活をどう思う?

艦娘として兵器として」

 

 

二人は顔を見合わせるとイムヤから答える

 

 

「そうね、ここでの生活は少しどうかとは思うわよ?

出撃無いし戦争してるのこれ?って程に平和だし

仕事なんて家事位だしね」

 

 

「だったら!」

 

 

「でもね、悪くないのここの生活は

ここにいるとね、私達は兵器としではなく人間と勘違いするかもしれないけどそれでも良いの

私の元居た所は確かに私を『使っていた』

でもここではね『共に生活する』と言うことを教えられたの……

だから、私はここに居たいかな

他では経験できないと思う」

 

 

イムヤに言われるとグラーフは俯き古鷹が次を言い始める

 

 

「確かにここでは出撃はありません

仕事もこれぐらいです

でも、提督は共に生活し暮らしていける鎮守府を作ってくれているんです

その気になればいくらでもこの鎮守府を変えられるのに

提督は、佐渡さんは『私達の為の平和な鎮守府』を実現してくれているんですよ」

 

 

「そう言えば、私気になって居たんだけど、古鷹さんはーー」

 

 

「お前ら~何話してんだー?俺も混ぜろー!」

 

 

イムヤが、話す途中で佐渡が厨房から出てくると大皿を一枚持って出てきている

 

 

「司令官!それなに!?」

 

 

「んー?これか、実は今朝取れたカボチャが料理で余ってな

何となくケーキにしてみたんだけど」

 

 

「美味しそうですね!」

 

 

佐渡は、カボチャのケーキをテーブルに置くとナイフで綺麗に切り分けていくと古鷹が戸棚から取り皿を取り出していく

 

 

「ほい、グラーフ

カボチャは嫌いか」

 

 

「あ、いや、頂く」

 

 

「ほいよ」

 

 

佐渡からカボチャのケーキを渡されるとそれぞれ行き渡り皆で食べていく

 

 

「と言うかイムヤ、お前大丈夫なのか?

そんなに食べて?このあと昼飯だぞ?」

 

 

「ケーキは別腹よ?それに前よりは食べれるようになったしね!!

これも古鷹さんと司令官のおかげね!」

 

 

その言葉に違和感を覚えグラーフは佐渡に質問する

 

 

「ん?どう言うことだアトミラール?」

 

 

「ん?あー、えっと?」

 

 

イムヤを見るとケーキを加えており急いで飲み込むと話し始める

 

 

「実はね、私拒食症ってあんまり物が食べれなかったの

元居た鎮守府では全く食事を与えられなかったのよ

その癖毎日出撃と遠征と暴力の日々正直キツかったわ」

 

 

「な!何だそれは!!」

 

 

グラーフは怒りのあまり、机を叩くがイムヤは続けて言う

 

 

「その提督は殺されちゃって私はここに来たのよ

まぁ、正直に言うと問題を抱えた艦娘だったの」

 

 

「酷いな……そのアトミラールは…」

 

 

グラーフが同情するようにイムヤを見るがイムヤは気にせず

 

 

「でもね、佐渡司令官がそれを変えてくれたの

だから、私はここが好きこの鎮守府為に何かしたいのよ!

ありがとうね!佐渡司令官!」

 

 

「よせよ、俺は当然の事をしたまでだ

それに変わったのはお前で俺は大したことはしてねぇよ」

 

 

「もう!照れちゃって~!」

 

 

イムヤに言われたことが驚いているがそれよりも驚いてるのはそんなことがあったのに明るいイムヤである

普通ならそんな艦娘は解体するべきなのに彼女はそんな雰囲気も出さずに明るくなっていることに正直驚きを隠せない

 

 

「分かりますよ、時期に貴方も提督の事が」

 

 

不意にそう古鷹に言われ振り返ると、古鷹が微笑みながらケーキを頬張っている

佐渡を見るとイムヤと談笑しているのを見るとこの人がどんな人なのか少し興味が湧いたグラーフだった

 

 

 





次回

金剛VS叢雲

次のお話は少し戦闘シーンが含まれます
お許しを!!

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