艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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お前は人間だ

船長は直ぐ様拳銃をグラーフに突き付けるが瞬間佐渡が、それを撃ち抜き船長の拳銃が海へと落ちる

 

 

「さぁ、グラーフを返せ

その娘はうちが預かってるんだ」

 

 

「はは!誰が返すかよ!!こんな、上物!!

それにこいつは俺の積み荷だ!!てめぇのもんじゃねぇ!!」

 

 

すると、船長はポケットナイフを取り出しグラーフに突き付ける

 

 

「そうか、あんたがあの船の船長か

良くもまぁ霧の海から出てこれたもんだ」

 

 

「そ、そうだ!!あんた俺と取引しようぜ!!」

 

 

 

佐渡は冷静になりながらも、船長に近付いていくと突然取引を持ちかけてくる

 

 

「取引?」

 

 

「あぁ!!こいつを俺にくれたらお前にいくらでも金をやるよ!!

欲しいだろ?それと俺の腕があればこいつを10億いやそれ以上で高く売れる!!どうだ!?取り分はお前が8、俺が2でも構わねぇ!!

しかもこいつもヤれるぜ!!」

 

 

 

「……興味ないな

金何かには」

 

 

「じゃあ、なんだ!!何が欲しいんだ!?

俺が用意してやるよ!!これでも何回も同じような事をしてるからな!!海軍上層部には顔が効く!!

どうだ!?」

 

 

「……ほう」

 

 

佐渡はそう言うと、拳銃を降ろすがいつもと違うのが完全にこの船長に対して怒りを露にしていると言うことである

 

 

「お前は、艦娘をどう思う?」

 

 

「はぁ?」

 

 

その発言にはグラーフは心当たりがあった、前に佐渡に対し同じような質問をしたからだ

 

 

「艦娘何てのは商品さ!!見た目は少女!!しかも簡単に騙せる!!

泣き落としだけで軽くコロッと落とせる最高だぜ!

ドイツの奴等も言ってたよ!使い勝手が良くて従順でいくらでも言うことを聞いてくれるってな!!

しかも自分達に二度目の命をくれた礼に守ってくれるんだぜ正に海軍が作り出した最高傑作だよ!!

いくらでも、代用が効くしな!!

感情豊かで身体も性格も選び放題のただの『お人形さん』だな!!アッハッハ!!!」

 

 

そう言われるとグラーフは無性に悔しく悲しくなる

自分達が守らなくてはいけない人間達にこうも思われているとだが仕方ないそれが事実だ

それが存在理由だと

 

 

「……ふざけるな」

 

 

「あっ?何か言って……」

 

 

「ふざけるなって、言ってるんだよ屑が」

 

 

静かにだが、確実にキレていたその姿に船長もグラーフも怯えるその怒りは殺意が込められておりそれが船長に向けられて居るのだが隣のグラーフにもそれが伝わってくる

 

 

「何が最高傑作だ、何が人形だ?何が使い勝手が良いだ?

ふざけるなよ、お前達みたいな奴等が居るからこいつらは苦しんでるんだろうがよ?」

 

 

「はっ、なに言ってんだお前

艦娘は所詮使い捨てのお人形さん

どうせ沈んでも苦しんでいても変わりは居るんだよ」

 

 

「居ねぇよ、そいつの俺の知ってる『グラーフツェッペリン』はな」

 

 

そう言われると、身体がドクンと跳ねる感覚がした

佐渡を見るとどんどんこちらに近付いてきており船長を持ち上げ怒りを露にする

 

 

「知ってるか!?てめぇらがそうやって艦娘を軽視しているからなこいつらは苦しんでいるんだよ!!

知ってるか!?てめぇらが酷使するからこいつらは自らを兵器だ、ゴミだ使えないやつだと思い込んでるんだよ!!

知ってるか!?てめぇらが勝手に決めつけた体質で苦しんでいるやつも居るんだよ!! 

知ってるか!?てめぇらの勝手に産み出されて、使い捨てられて苦しんでる奴等が居るんだよ!!

こいつらはお前ら人間の道具でも何でもねぇ!!

 

こいつらは感情豊かで!!女の子らしくて!!誰よりも提督の為世界の平和を願っていつも戦ってくれているんだよ!!

俺達が戦えないのに!!こいつらはこんな華奢で小さな身体で化け物共と戦い続けてくれているんだよ!!

なのに何だ!?てめぇらは自分勝手に艦娘を使い!!物の様に扱うのが基本なのか!!

くそ食らえだ!!!こんな海軍!!こんな世界なんてぶっ壊れちまえば良いんだよ!!

こいつらに変わりは居ねぇ!!

人間と同じで一人一人違うんだよ!!同じ物は作れねぇ!!

そんな単純な事すら分からねぇのか!!てめぇら人間は!!!

艦娘は!!!人間だ!!物じゃねぇ!!」

 

 

そこまで言うと、佐渡は船長を持ち上げコンクリートに叩き付けるとその衝撃で気を失ってしまう

グラーフはその言葉に感動し泣いていた

間違いなく佐渡の心の叫びにグラーフは彼を信用した

 

 

「グラーフ!!!」

 

 

「は、はい!」

 

 

「お前は!!グラーフツェッペリン!!!

真面目で真っ直ぐで誰よりも可愛いげのある女だ!!

それ以外俺は認めねぇからな!!

お前は!!ここにいる限りはただの人間の小娘だ!!

覚えとけ!!

そして!大人しく俺に陸では守られてろ!!

俺を信じろ!!良いな!!」

 

 

「はい……はい……分かりました…アトミラール…」

 

 

月夜に照らされながら、佐渡はグラーフに指を指しながら言い放つとグラーフは涙を流していながらここに流れ着いた事を天に感謝した

 

 

 

 

 

 




次回

艦娘と提督

船長が噛ませ犬感しゅんごい()
次回で終わりになります、もう少しだけお付き合いください
ご都合主義?許して……


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