佐渡は、呟くと、風呂を出て、自室へと戻っていく
『歴戦種』
深海棲艦の中で、どの原理で生まれてくるのかは分からないが極稀に存在する
強力な個体
初めてそれが、確認されたのは六年前
とある、大事件がきっかけだ
横須賀(よこすか)大空襲事件
横須賀鎮守府を含めた、神奈川県南部を襲った、深海棲艦による大空襲である
空母15体による、日本が受けた最大の被害であり、歴史にその名を残す最悪の事件
当時、最強の鎮守府として知られていた、鎮守府であり、負けるなんてあり得ない程だったのだが、その鎮守府はとある一体の『化け物』に軽々と潰されてしまった
『南方棲戦姫(なんぽうせいせんき) ー歴戦種ー 』
後にそう、語られるその者は、残っている記述には一体で戦艦三人を含む軽巡、重巡艦隊を軽々と轟沈させ、そのまま単機で鎮守府に急襲し、提督含め全ての艦娘を殺害
正に、完全敗北である
そして、その後深海から呼び出した、軽空母含め空母ヲ級達に指示を出し横須賀全土を火の海に変えた
これを重くみた、大本営はすぐに横須賀に応援を近くの鎮守府から向かわせたが、その艦隊を南方棲戦姫は撃破
そして、横須賀を後にし、二度とその姿を見せなくなった
後に分かったことは行動が異様なほど戦闘馴れしており、ほとんど通常の艦娘と戦ってるのと変わらないほどの戦闘力を誇る
実際、大本営が確認している個体は、南方棲戦姫を含めた三体のみである
しかも、この個体は通常の深海棲艦と違う点がもうひとつある
だが、その一つが最も厄介なのだ
それは、火力と耐久性だ
今まで報告に上がっている事は、戦艦の砲撃に耐える駆逐艦や戦艦を一撃で重症へと追い込む火力を出す軽巡等
司令艦(フラグシップ)より、可笑しいと言われるほどの性能である
これが、通常の深海棲艦だとするならば、二艦隊、総勢12人で挑まないと勝てないと言われており、大本営も何故なのかを究明を急いでいる
それが、原因だけでは無いのだが、今この戦争はこちら側がかなり芳しくない
実は、人類は、この戦争に一度勝利しているのである
いや、勝利したと““確信させられた””が正しい
艦娘の減少、そして、それよりも前に起きた大事件が影響している
それが、大本営襲撃事件
この事件は、最悪に等しいだろう
消えかけた火に油を注ぎ、それが再び燃え始めたのだから
この事件がきっかけで、人類は深海棲艦に負けたと言っても過言ではない
何せ、これは艦娘と提督達への深海棲艦達からの最悪のプレゼントなのだったのだから