「大井、ここ抜けてるぞ?」
「あ、ごめんなさい提督」
「……へい?大井さんや?漢字のミス多いぞ?」
「…え?あ、本当だごめんなさい!今すぐに直しますね!!」
「………あの、大井疲れてる?」
「そんなことありません!!大丈夫です!!」
明らかに、大井の様子が可笑しいと佐渡は気付いていた
漢字はミスだらけでパソコンに張り付きっぱなし、書類も初歩的なミスばかりである
「あの、大井休憩しようか?」
「良いです、私はこれを仕上げてから……」
と大井が反論しようとするので近くに落ちていた魚雷のクッションを顔目掛けて投げ付けると当たり大井はようやく手を止める
「落ち着け、お前らしくないぞ」
「………すみません」
「ほれ、こっち来い休憩すんぞ」
「……はい」
佐渡は無理矢理にでも大井をソファに座らせ休憩させると大井は顔を俯いており良く見ると顔が白くなっていることに気付く
「大井?お前、何か白くないか?
ちょっと顔見せろ!!」
大井の顔を見ると、目の下にクマが出来ておりぐったりとしている
「おい!大井!!大丈夫か!?」
「大丈夫です……ちょっと調べものをしてて……
提督…私のパソコンにある極秘ファイルを見てください…」
佐渡は大井に言われるとパソコンを開き極秘ファイルのフォルダを開くと提督殺しに関しての今までの犯行履歴が次々と出てくる
一番最初に殺した提督から今までの事に関して全てのデータだった
「お前……まさかこれずっと調べてたのか?」
「えぇ…少しだけですが…
提督、それで分かったことがあります」
「…お前なぁ、無茶するなよ…
ほら、少し休みな」
「それよりも聞いてください!
奴は一度だけ明確に艦娘を助けているんですよ!!」
大井は、眠そうにしながらもフラフラと立ち上がりパソコンのファイルを開いていくと一つの事件を開く
「……こいつは?」
「四年前の事件です
あるブラック鎮守府に所属していた艦娘が冤罪をかけられ解体されそうになったのですが、解体される二日前に突然その主犯が自首してきたそうなんです
何でも、その理由が『轟沈したはずの艦娘に自首しないとお前を殺す』と脅迫されたそうなんです」
「これって、もしかしなくても」
「はい、提督殺しです
奴はこの一度だけ明確に艦娘を助けているんですよ
しかもその後その主犯を殺していないんです
その主犯は毎日怯えて刑務所で暮らしていたらしいのですが自殺したそうです
提督殺しは艦娘達には一度として手を上げずに提督とその関係者だけを狙っているんです
それに加えこれまで調べましたが奴は貴方みたいな善人を狙ったことが無かったんです
もしかしたらですが……私達の事をどこかで見ていたのでは無いですか?」
艦娘には手を出さずに人間のみを狙ってくる提督殺し佐渡はそこに違和感を感じた
確かに奴は佐渡、提督達を嫌悪しているだがそれは最早執着と言うよりは復讐に近い
奴は、過去に提督と何かがあった艦娘の可能性が極めて高いと佐渡は予想つけた
「となると、提督殺しは艦娘……?」
「えぇ、もしかしたらですが
奴が現れたのは四年前
その時に『何かが奴に影響を与えこの殺人を続けていると言う事』です
それと、奴が化けることが出来るのは男女問わず『人間や艦娘』等の人形なら誰にでも化けられる見たいです
監視カメラに幾つか奴らしき人物は写し出されて居ますが駆逐艦から戦艦まで様々な艦娘に化けていまいした……うぅ…
すみません…これぐらいしか分かりませんでした…」
「大井!」
大井はそこまで言うとふらつき佐渡はそれを支え抱えあげるとソファの横に寝かせて毛布を持ってこようとすると大井に袖を掴まれる
「ごめんなさい……折角貴方に秘書艦に選んで貰ったのにこんなことしか出来なくて…」
「何言ってるんだ!お前には本当にいつも助けられてるんだぞ?こんなことじゃねぇよ!ありがとうなそんなになるまで調べてくれて」
「貴方は……私を助けてくれました…私だけじゃない北上さんもです……
だから、この程度…何ともないです…
絶対に貴方を殺させませんからね……
だから見付けてください提督殺しを……
私達を全員疑って必ず…」
そこまで言うと佐渡は大井の頭を撫でながら自分の上着を被せる
「任せておけって俺はお前達の提督なんだぜ?
それよりも休んどけ後は俺がやっておくからな命令だ」
そう言うと、毛布を取りに佐渡は提督室を出ていくと大井は佐渡の上着を顔を被せながら微笑む
「本当に……貴方が提督で良かった…
それに…安心する匂い…好き……」
そこで大井の意識は途切れてしまいゆっくりと夢の中へと落ちていった
こうして、大井との一日は過ぎていった
次回
全力で
提督殺しの過去に何があったのでしょうか?
それは再び起きる対峙の時のお楽しみで