艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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殺人鬼の理由

「俺は知ってる、お前の事を調べてな

お前が提督狩りを初めてから、この海軍は変わった

昔は酷かったらしい、艦娘は兵器、所詮物だ

感情移入の禁止、恋愛の禁止

奴等を兵器として扱え、さもなくば提督の資格無しと言われてたらしいぜ

だが、お前の殺しのお陰で提督達がどれほど艦娘達を私欲の為に使っていたかが明るみになった

それを取り上げたメディアから国家に行き、ある元帥と艦娘達が立ち上がり艦娘保護法が作られた

それから海軍は変わった、艦娘は兵器じゃない人間だと思うようになり提督と艦娘の関係も変わっていった

まぁ、まだその名残で艦娘を兵器扱いする提督は減らないけどな」

 

 

「私は……ただ提督が憎いだけだ…」

 

 

「ただ憎いだけならもっと殺してるはずだ、だがお前は殺さなかった

むしろ艦娘の為に提督を殺してる感じだ

お前がこの鎮守府に来たとき正直嬉しかったよ

こんな鎮守府に所属する艦娘の事を見てくれているとな」

 

 

佐渡はそこまで言うと提督殺しの頭を優しく撫でる

 

 

「だが、悪いな俺はまだアイツ等を守りきってないんだ

この鎮守府は任せてくれないか?絶体に他の鎮守府見たいにはしないと約束するから

もし破ったなら、俺を煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

 

 

「………お前にとって艦娘は何だ?」

 

 

「んー、家族かな?それと欠けがえのない物、俺の全てを使っても守るべき物だ」

 

 

佐渡の言葉に嘘がないと今なら分かる

提督殺しは怒りではなく自らが相手をしていた人間が自分と少し似ている所に気付く

 

 

「じゃ、俺は寝るから

あ、後お前に勝ったんだから何か褒美が欲しいな?

良いか?」

 

 

その言葉に提督殺しは体をビクッと反応するがすぐににやけながら佐渡を見下ろす

 

 

「良いとも、言ってみなさい何でもーー」

 

 

「楽しかったか?小笠原は?」

 

 

「ーーーーは?」

 

 

予想外の発言に提督殺しは固まり佐渡はその固まっていた提督殺しを見上げながらノンビリと布団に入る

 

 

「だから、楽しかったか?お前ここのところかなり殺してたろ?少しは休めたかって言ってるんだよ」

 

 

「……そんなこと?」

 

 

「おう、ほら早く答えろー

俺も眠いんだから」

 

 

「……楽しかったわ、正直今まで潜入してきた中ではね」

 

 

「そっか、それじゃお休み!!」

 

 

佐渡はそう言うと布団を被り静かになると立ち尽くす提督殺しを放置しながら自分は意識を手放し深い眠りへとついていく

(さてと、明日から真面目に仕事しないと……

提督殺しの正体…ちょっと気になったけどな…

まぁ、良いか…?)

少しすると今までの疲れか佐渡は直ぐに寝てしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……嘘でしょ、この男本当に寝てる」

 

 

一人部屋に残された提督殺しは佐渡の口元と喉に手を当てると佐渡が熟睡していることを確認する

するとナイフを取り出し佐渡の首もとに当てるがゆっくりと放していき通信機を取り出す

 

 

「私よ、駆逐艦叢雲を砂浜まで持ってきて頂戴

私が負けたわ」

 

 

『なっ!本当ですか!?まさか貴女が……

分かりました』

 

 

通信機を切ると佐渡に言われた事を思い出す

 

 

 

『悪いな俺はまだアイツ等を守りきってないんだ

この鎮守府は任せてくれないか?絶体に他の鎮守府見たいにはしないと約束するから

もし破ったなら、俺を煮るなり焼くなり好きにしてくれ』

 

 

「…………何なのこいつ

今までの奴等と違いすぎるわ

それに私に何言ってるのよ

私はあんたたちを殺してるのよ?」

 

 

提督殺しは混乱しながら頭の中では理解していた

この佐渡と言う男は他の提督とは違い艦娘を心の底から大事にしていると

 

 

「信頼……ヴっ!!」

 

 

その言葉を頭に過ると同時に鋭い痛みが走る

まるで何かを忘れているようなそんな感じがするが提督殺しは頭を左右に振りその考えを突き放す

 

 

「……良いわ、貴方を見定めさせてもらうわよ

その言葉が真実なのか偽りなのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方の側で『私の姿を見ても変わらないならね』」

 

 

そう呟くと提督殺しは衣類を全て脱ぎ捨て、擬態を解除すると佐渡の布団に潜り込み共に夜を過ごす

 

 

 

 

 




次回

提督殺しの正体

次回、ようやく奴の正体が判明します
察しの良い読者にはバレてそう…


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