艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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歴戦の姫 五

「何かしら?雷撃姫?」

 

 

「次その名前で呼んだら沈めるわよ?」

 

 

「あら、怖い

それで、何かしら?叢雲」

 

 

「あんた、本当に深海棲艦で歴戦種の姫なの?

嫌に友好的じゃない?

普通深海棲艦はどんな相手にも向かってくるし敵意しか無いものだと思うのだけど?」

 

 

「そうです!!私はそれを聞きたかったんです!!」

 

 

大井が机を叩きながらエアに対し指を指すとエアはのんびりとサンドイッチと珈琲を飲みながらゆっくりと答えていく

 

 

「そうね、正直私以外の深海棲艦はほとんどが貴女達、艦娘と提督、人間に敵意を向けているはその理由のほとんどは自らの縄張りを侵されたからやただ敵としてしか認識していないからかしらね?」

 

 

「と言うと、叢雲達が海に出なければあいつらは攻撃してこないのか?」

 

 

「まぁ、大半はそうなるわね?でもそれは通常の『意識の無い深海棲艦』に言えることね」

 

 

「『意識の無い深海棲艦』?何だそれは」

 

 

「そうね、簡単に言うと深海棲艦にも歳の概念があるの子供見たいな物ね

だからこそ、生まれてすぐは意識が無いのよ赤ん坊見たいな物ね

それから、外部の影響、つまり戦闘や会話を続けていくことで私達は意識を持つことが出来る

ま、例外もあるけどね」

 

 

エアから話される深海棲艦の話に全員が釘付けになりながらも聞いていく

 

 

「例外って?」

 

 

「ほとんどは、私達の様な姫級ね

彼女達は生まれた時から人間と同じ言葉を話せるわ

でも、基本的にはあなた達を敵としてしか認識してないけどね」

 

 

「なら!姫級なら話が通じるって事デースか!?」

 

 

「まぁ、一応ね?

だから、色々な所で様々な例があるわ

提督を助けた深海棲艦や和解が出来たって話もね

でも今はかなりキツいと思うわよ?

そもそも姫が生まれないし?」

 

 

「どうして?昔は姫がゴロゴロ居たじゃない?」

 

 

「さぁ?それは知らない

でも今の姫級は無理だと思いなさい

ほとんどの姫級は自我を持っていて明確に人間に敵意を持ってるわ」

 

 

「成る程な、だが待て何で今の姫級は自我を持っているんだ?」

 

 

エアはここで一息と言うように珈琲を一口飲むと再び続ける

 

 

「そうね、ほとんどの姫級は長い間この海に潜み生き続けてきた者達だからね

全員、艦娘と戦い何とか逃げ切れた者が多く存在しているのだからこそかな?」

 

 

「あー、それじゃ今更だな……

でも待て、何でお前は艦娘に敵意がないんだ?」

 

 

「そうね、私、いや貴方達が呼ぶ歴戦種と言うのはちょっと姫級からずれてるのよ」

 

 

「ずれてる?どういう事だ?」

 

 

「私達は、『ある特殊な状況で産み出された』深海棲艦なのよ

と言ってもそれは三人だけなんだけどね?

その状況ってのは流石に私も知らないわ

知ってるのはクイーンだけ」

 

 

「そうか、その三人ってのは

空母棲姫……エア

飛行場姫

南方棲戦姫 クイーンだな?

大本営大空襲の中心の三人だもんな」

 

 

 

その特殊な状況が気になるが佐渡はそれよりもエアの続きを聞く

 

 

「飛行場姫?

あぁ、『カナ』の事かしら?」

 

 

「カナ?」

 

 

「そうよ、貴方達が呼ぶ飛行場姫歴戦種の名前かな

でもあいつ以外居ないからね?とりあえず続けるわ

 

私は『艦娘より提督を憎み殺す事を目的に生まれ』

 

カナは『自らの縄張り、つまり生きる場所を守るために生まれ』

 

クイーンは『全ての艦娘と人間を皆殺しにするために生まれた』

 

これが、私達が他の姫級とは違うってこと

他の深海棲艦や姫達は私達三人を姫級のflagshipと呼ぶわ」

 

 

「成る程……それなら納得が行きます」

 

 

「どういう事だ?大井?」

 

 

大井はノート型パソコンで調べていたのか佐渡に記事を見せる

 

 

「実はですね、エアとその飛行場姫 カナ?の事を調べていたんです

ですが、二人は極端に目撃回数が少なくてですね、それよりもクイーンの目撃回数は比較的多いんですよ

しかも、カナに関しては大本営の事件以降どこかに隠れたのか見付からないんですよ」

 

 

「そりゃ、そうよカナはクイーンに頼んで島を貰ってそこでのんびりと暮らしてるわ

基本的にそこから出ないし周りは自らの艦隊で埋めてるから早々に見つかりっこないわ

まぁ、見付かった所で貴方達が倒せるわけないけど」

 

 

エアはそう言うと、サンドイッチを食べながら珈琲を飲み再び一息つく

 

 

 

 




次回

小笠原島の秘密

エアさん、バリバリ話してますね……
バレても問題ないと言うことでしょうか?

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