艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

24 / 594
新人 男嫌い軽巡 二

佐渡は欠伸をしながらのんびりと提督室の扉を締め自分の机へと向かおうとしていると古鷹が既に椅子の隣に立っており恐らくこの娘の資料を手にしている

 

 

「古鷹パスパス」

 

 

「はい、この子の書類になります」

 

 

古鷹から書類を渡され中身を確認する

事前に叢雲に言われたとおり彼女は軽巡だった

(艤装も確かにそこまで重装甲では無かったしな

そして、名前が)

 

 

「えっと…なんて読むんだ?…だいい?」

 

 

「申し遅れました!

球磨型軽巡洋艦(くまがたけいじゅんようかん) 四番艦 大井(おおい)です!!

本日より、小笠原鎮守府にお世話になります!!

よろしくお願い致します」

 

 

 

「こちらこそよろしく

俺は小笠原鎮守府提督

少尉の佐渡 満だ」

 

 

大井は背筋を伸ばした状態でお辞儀をすると佐渡もそれに返すようにお辞儀をしながらお互いの自己紹介を済ませる

 

 

「んでこっちが」

 

 

「私は古鷹型重巡洋艦 一番艦 古鷹です

これからよろしくね?」

 

 

古鷹は満面の笑みで自己紹介をすると大井は再びお辞儀をする

 

 

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 

 

やけに腰が低い奴だなと佐渡は思いながら資料を見直す

ステータスとしては、主砲の火力は叢雲とあんまり差がない

他もほとんど

だが雷撃火力と言うよりは魚雷の搭載数がやけに多い

出撃回数はあるだが戦果はほとんどなし

だが戦闘経験はあり一度だけ深海棲艦の駆逐艦を撃沈

以外はほとんど大破

 

 

 

「そう言えば身体は大丈夫なのか?

昨日えらく傷を追っていたが?」

 

 

佐渡は聞くと大井はビクッと身体を震わせ再び敬礼をする

 

 

「大丈夫です!!痛みには馴れてます!

いつでも戦えます!!」

 

 

その発言に違和感を感じる佐渡だったが一応大丈夫そうなのか分からないがとりあえず流すことにした

 

 

「んー……」

 

 

大井の資料を見ながら佐渡は頭をかきながら変なところをいくつか見付ける

 

 

 

「提督?どうされましたか?」

 

 

「あ、いやな?ここの所

大井って何だ?強化装甲(バルジ)なんか積んでるのか?」

 

 

大井の変なところは出撃回数はあるのだが異様な程の大破率

出撃回数とほぼ同じ位の大破率

しかも何回は轟沈しかけてる

 

 

「なぁ大井…」

 

 

と言いかけた瞬間誰かの腹の音が聞こえる

可愛らしいなぁと佐渡は思いながら古鷹を見る

 

 

「私じゃないですよ?

だって、さっき…」

 

 

「となると?」

 

 

古鷹と佐渡は顔を見合せながら大井に向き直ると大井が顔を伏せながら耳まで真っ赤にしている

 

 

佐渡と古鷹はお互い笑うと佐渡は席を立ち上がり提督室の外へと向かう

 

 

「飯食うかー!」

 

 

「いえ!私は!!」

 

 

大井が佐渡を止めようとするが古鷹に肩を捕まれそのまま背中を押されていく

 

 

「ほらほら?大井さんも行きましょ?

朝御飯はきちんと食べないと提督煩いんですよ?」

 

 

「……分かりました」

 

 

古鷹に言われた大井はしぶしぶ古鷹に背中を押されながら、食堂へと向かう

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。