艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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憂鬱な季節 四

二人は空を見上げながらソラのお土産を頬張っていると古鷹が少し震えているのに気付き佐渡は上着を被せてあげる

 

 

「提督、私は大丈夫ですよ?」

 

 

「嘘付け、お前震えてるじゃねぇか

大人しく着てろ」

 

 

「…ありがとうございます」

 

 

古鷹は貰った上着を羽織ると佐渡のすぐ側まで行くと身体を寄せる

 

 

「……寒いですね」

 

 

「まぁ、そろそろ11月だもんなぁ

寒くもなるさ」

 

 

「この季節は少し寂しくなると同時に憂鬱です」

 

 

佐渡はポケットからココアシガレットを取り出すと煙草を吸うようにくわえ古鷹にも手渡す

 

 

「食べるか?」

 

 

「……頂きます」

 

 

二人は梨を食べ終えココアシガレットを食べていると古鷹が佐渡の手を握る

 

 

「提督」

 

 

「何だ?」

 

 

「提督は……『裏切りませんよね?』」

 

 

「あぁ、俺はお前の味方だ絶対に命をかけてそんなのはありえん」

 

 

「例え、私が深海に落ちても、貴方の敵になっても、殺そうとしても?」

 

 

「ねぇよ、絶対に約束したろ?

そんなのはありえない」

 

 

古鷹はそれを聞くと微笑みながら佐渡は肩を預けると眼を瞑る

 

 

「……私が、『大罪人』でもですか?」

 

 

 

「…あぁ、お前を裏切らない

俺と叢雲が絶対に守るよ

ずっと側に居てやるよ」

 

 

「……ありがとう」

 

 

そう言うと佐渡は古鷹の頭を優しく撫でると後ろのドアが開きそうになり二人はビックリして立ち上がる

 

 

「司令官、古鷹、何してるのよ?

中で梨食べましょ?」

 

 

「…そうだね!」

 

 

 

出てきたのは叢雲だったが、食堂の内部がかなり騒がしく古鷹は微笑みながら向かっていくと叢雲は佐渡の袖を引っ張る

 

 

「何かあった?」

 

 

「んー?別に、今の季節はほらな?」

 

 

「あー……そっか、そろそろ一周年ね」

 

 

「そゆこと」

 

 

佐渡と叢雲は、食堂に騒いでいる親方や古鷹、大井、金剛、イムヤ、グラーフ、エア、ソラを見ていると染々思う

 

 

「……騒がしくなったな

たった一年で」

 

 

「……そうね、最初は私達三人だったもんね」

 

 

「…一年前、こんなこと想像できなかったぜ流石に」

 

 

「…えぇ、正直三人だけだと思ってたしね」

 

 

「……叢雲、俺はちゃんと提督出来てるかな?」

 

 

「……出来てるわよ、あんたは立派な司令官よ」

 

 

「…こんなのが続けば良いのにな」

 

 

「そうね……」

 

 

二人がその素晴らしい景色に見ていると食堂から金剛が佐渡達に手を振ると大井とイムヤとグラーフが食堂に入ってくる

 

 

「提督ー!!梨食べましょーよー!」

 

 

「叢雲ー!食べ終わっちゃうよー?」

 

 

「ほら!叢雲行くわよ!」

 

 

「ほら!早く司令官!!」

 

 

「アトミラール!この梨はとても美味しいぞ!」

 

 

三人に引っ張られると叢雲と佐渡は顔を見合せ微笑みながら全員が待つ食堂へと向かっていく

(こんな幸せが続けば良いのにな)

佐渡はそう考えていると、携帯が不意に鳴り出し直ぐ様ポケットから取り出すと発信元が大本営になっており嫌な予感がする

 

 

「悪い、ちょっと電話に出てくる」

 

 

佐渡は二人を引き剥がし厨房の外に出るとその電話に出る

 

 

「…もしもし」

 

 

『佐渡大尉の携帯で間違いないな』

 

 

「はい、間違いありません」

 

 

電話先の相手は羽田でも大淀でもない別の誰かだが何となく分かっている相手は海軍の人間だと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『東雲大元帥がお呼びだ

グラーフツェッペリンと叢雲、そして貴様の三人で今すぐ大本営に来いとの事だ

大事な用事だそうだあまり待たせるなよ』

 

 

 

「……分かりました、今から向かいます」

 

 

電話を切ると佐渡は携帯を強く握りしめながら歯軋りをする

 

 

「………嫌な予感がするぜ…」

 

 

 

 

 




次回

大本営を統括する者

次回から本格的に海軍の本質を書いていきます
そして、現れる海軍最高権力者です!



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