艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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新人 男嫌いの軽巡 四

 

 

「ですが」

 

 

「良いからこっち」

 

 

叢雲に言われるがまま、大井は叢雲の隣に移動すると、料理が運ばれてくる

 

 

「へぇ?今日はスクランブルエッグに鯵のヒラキね?

美味しそうじゃない?」

 

 

古鷹が、ご飯を全員分渡し終えると叢雲の正面に座る

少しすると、佐渡が漬け物を片手にテーブルに向かってくる

いつの間にか、妖精達も集まり、賑やかな朝食の始まりである

 

 

「だぁ!!叢雲!!またお前そんな格好しやがって!!

ちゃんとした制服を着ろ!!

襲うぞ!?」

 

 

 

「良いじゃない?別に

減るもんじゃないし?襲ったら憲兵さんに言うわ」

 

 

「いやまぁ、間違っても……うん

襲わない…よ?」

 

 

「酸素魚雷と憲兵どっちにする?」

 

 

「第3の選択肢!!!静観で!!」

 

 

毎朝恒例の二人のイチャつきに、古鷹は若干機嫌が悪くなるが、仕方無いかと言わんばかりに、ため息をつく

その頃、大井は目の前の食事に目が放せないでいた

 

 

「んじゃ、手を合わせて

頂きます!」

 

 

「「頂きます!!」」

 

 

「頂きます……」

 

 

挨拶と同時に、叢雲は、スクランブルエッグを頬張り直ぐ様ご飯も一緒に入れる

 

 

「んー!!このスクランブルエッグ少し甘い!でも旨い!!

漬け物もさっぱりしてて美味しいわぁ…」

 

 

「鯵も油が乗ってて美味しい!!」

 

 

二人が美味しそうに食べる中、大井だけは箸を持ったまま凍り付いていた

そんな、様子を見た佐渡は心配そうに聞く

 

 

「どうしたの?大井さん?

食べれないものでもあった?」

 

 

「い、いえ!!い、頂きます……」

 

 

大井は、恐る恐るスクランブルを一口サイズに切ると、口へと運ぶ

その瞬間、口の中に広がる砂糖の甘さと玉子の美味しさが広がり、思わず口を押さえ自然と呟いてしまう

 

 

「お、美味しい…」

 

 

「お?口に合ったか?

なら良かった良かった」

 

 

「は、はい!!」

 

 

佐渡は大井のさっきまで、恐る恐る食べていたのに一口食べたあとになるとバクバクと勢い良く食べてる姿をみて安心しながら、味噌汁を啜っていると、大井が泣いてることに気付いた

 

 

「美味しい…本当に……グスッ」

 

 

「え?ちょっとどうしたのよ!?あんた!!大井さんのご飯に、なにいれたのよ!!」

 

 

「大井さん!どうかしましたか!?」

 

 

「大井さん!?あ、あれ?変なもの何か入れてないはず何だけど……」

 

 

 

「新人さん、泣いてるのー?

どうしたのー?」

 

 

 

三人と妖精達が、困惑していると大井が我に返ったのか、服の袖で涙を拭くと笑みを浮かべながら三人に言う

 

 

「い、いえ……こんな、美味しいご飯は久しぶりでしたので…

つい」

 

 

その言葉に三人は固まる。

久しぶりに美味しいご飯を食べた……そこに引っ掛かった

 

 

「……古鷹さんや

彼女は何だ?俺をそんなに持ち上げたいのか?

んんん??」

 

 

 


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