「と、言いますか……
多分、原因は『艦娘専用食』じゃないですか?」
「「何それ?」」
佐渡と叢雲は、同時に首を傾げるが、古鷹は「そうですよねぇ……」と呟くと続ける
「艦娘専用食と言うのは、人間で言う携帯食料見たいな物なんですよ?
良く、大規模作戦や遠征してる方々用にと開発したものらしいのですが。
これの凄いところが、艦娘が必要とする栄養素が全部詰まってるらしいんです」
「へー?なら美味しいの?
食べてみたいわね?」
叢雲は、古鷹の話を聞きながらスクランブルエッグを美味しそうに頬張る
「いえ、味が無いんです」
「「は?」」
その発言に、叢雲と佐渡は顔を見合せながら首をかしげる
「味が無い?専用食なのにか?」
「はい」
「何の味も?ないの?」
「ありません」
「もしかして、蒟蒻見たいな感じ?」
「正直、蒟蒻の方がまだ味があって良いですかね……」
「「うっそだろ(でしょ)……」」
二人は唖然としながら、大井を見る
大井はそんなこと気にせず、一心不乱に食べ、美味しいと良いながら朝御飯を噛み締めている
「えっとですね?提督
艦娘専用食と言うのは、栄養価だけを入れた携帯食なんです
実際は、作戦行動中に迅速に栄養補給を目的にされているのですが、他の鎮守府では、それだけを食べさせてるところもあるそうですよ?
実際、お安いですし、私達は…その……
『兵器』ですから…」
古鷹が言った最後の一言に、佐渡の眉がピクンっと反応するがため息を付きながら、味噌汁を飲む
「……まぁ、分かった
大井さん、いや、大井!
今から命令を下す!!」
「は、はい!!
提督様!」
佐渡の一言に、大井は食事の手を辞め、敬礼を佐渡に向ける
その頬には、先程まで食べていたスクランブルエッグがついている
「今日から一日三食!
きっちりと食べること、後いちいち敬礼はよせ、何か堅苦しい
あと、俺の事様付け禁止!
以上!!」
大井は、佐渡の出す可笑しな命令に「は?」と言わんばかりに唖然とする
当本人の佐渡は、若干イラつきながらもウィンナーをかじる
「あ、あの提督……」
「何だ?」
「何故、その様な待遇を私にするのですか?」
大井の発言に、こいつがどんな境遇を鎮守府で受けていたのか、何となく理解するが、佐渡は椅子から立ち上がり、箸で大井を指差す
「良いか、大井!
お前が、前の鎮守府でどんな扱い受けたとか、どんな奴だとかは知らん!!
ここは俺の鎮守府だ!!
俺はここで、お前達とのんびりしてたいんだよ!!
戦争とかぶっちゃけ知らん!!
分かったかぁ、あぁ!?」
佐渡は、ふんっと言うと再び座り、朝御飯を食べ始める
佐渡の堂々とした、自己中発言に唖然としていた大井だったがそれを聞いていた古鷹はふふふと笑みをこぼす