艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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大演習会 前日 六

「……あんた何のつもり?」

 

 

「そのままの意味だ

私と共に来い叢雲

お前があんな鎮守府にいるのは勿体ない」

 

 

叢雲は差し出された手を凝視していると長門はその手をしまい再び腕組みをする

 

 

「まぁ、ただでとは言わない

お前が私の鎮守府に来るのであれば五人の安全を保証しよう」

 

 

「へぇ?どういうつもり?」

 

 

「別に、私は実力主義でありお前の鎮守府はかなり強いことを承知の上だ

大井も金剛もかなり強いことは知っている

イムヤはゴーヤが居るし、グラーフツェッペリンは赤城がいる

これから強くなれば良い

既に提督には話を通し許可は得ている」

 

 

その話を聞いている叢雲は二人だけそこには入ってない人物を思い出していると再び長門は手を差し出す

 

 

「どうだ、悪い話ではないだろ?

だから共に暁の水平線にーーーー」

 

 

「古鷹と佐渡はどうするのよ?」

 

 

叢雲に二人の名前を出された瞬間長門の顔が曇るが話を続ける

 

 

「佐渡提督に関しては提督と話を付けてもらう

だが、古鷹は駄目だ

彼女は罪人であり我が鎮守府に入れるわけにはいかない」

 

 

「そう、なら嫌よ」

 

 

叢雲は長門の手を払うとホテルへと向かって歩いていく

 

 

「待て!私達の鎮守府に付けば五人は助かるんだぞ!!

何故だ!何故お前はあの鎮守府に!古鷹達にこだわる!!

我々は兵器だ!代用品はいくらでもあるなのに何故!?」

 

 

「ねぇ、貴女は何かを失ったことがある?」

 

 

叢雲は振り返ると長門に問いかけると長門は苦しみながら胸に拳を作る

 

 

「あるさ……私は昔仲間を全てを失った……」

 

 

「そう、奇遇ね

私も姉と友人達を失ったわ目の前で

それならもう一つ質問

貴女は復讐した?その奪った奴に」

 

 

「出来るわけないだろ!

あんな…あんな化け物にどう勝てと言うんだ!!」

 

 

「そう、貴女は怖じ気ついたのね

私は違うそれを撃破したわ

そこが貴女と私の違い

貴女は逃げた、私は戦ったそれだけよ」

 

 

「貴様に……貴様に何がわかる!!」

 

 

長門は叢雲に詰め寄ると怒りの余り叢雲の襟を掴み持ち上げる

 

 

「分からないわ

でもね、あんたは逃げてるだけ今も

海軍の運営方針従ってその中でしか動かない

だから貴女は安全で作られたレールの上でしか動かない

でもね私達は違う」

 

 

その言葉と共に叢雲は長門を睨み付けると怒りを露にする

 

 

「私はアイツの思いを信じてる

何よりも誰よりも海軍の作られたレールの上で動くなんて真っ平ごめんよ!!

私はアイツの作るレールの上で皆で歩いていくの!

私は逃げない!アイツが私達を信じてくれるから!

だからこそ、私が仲間を守るのよ!

もう守られるのは……失うのは嫌なのよ!!」

 

 

叢雲は長門の手を振り払うと背を向けながら歩いていくと手をヒラヒラとさせながら背中越しに答える

 

 

「あんたの申し出は素直に嬉しいわ

でも、私は佐渡以外には従わない

倒させてもらうわよあんた達を

覚悟しておきなさい」

 

 

叢雲が去っていったテラスで長門は拳を握りしめながら怒りを抑えていた

 

 

「私が……逃げてる…?

そんなこと…私は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テラスから離れた叢雲はお風呂場に向かっていると再度三人の艦娘に阻まれる

 

 

「まーためんどくさいのが居るわね」

 

 

「叢雲さん、話があるの良いかしら?」

 

 

その艦娘達は佐世保鎮守府所属の加古(かこ)衣笠(きゆがさ)そして、後ろに隠れるように青葉(あおは)が立ち塞がっているが叢雲はそんなことお構い無しに横を通りすぎようとすると加古に肩を捕まれる

 

 

「ちょっと待てよ

話があるんだ」

 

 

「うっるさいわねなんか用?早くしてくれない?」

 

 

「貴女!お願いしてるのに何その態度!?」

 

 

「ね、ねぇ二人とも辞めようよ……」

 

 

衣笠と加古はかなり強気だが青葉だけはかなり怯えている様子を見ながら叢雲はめんどくさそうにしている

 

 

「早くして、お風呂入りたいんだけど?」

 

 

「なら、ここでも良い

『古鷹を返せ』」

 

 

「嫌よバーカ

誰があんた達何かに返すわけ無いでしょうが」

 

 

加古の話に叢雲は呆れるように返すと立ち去ろうとするが加古が叢雲の肩を力強く掴み逃がさない

 

 

「古鷹は『私達の仲間だお前達何かと一緒に居て良いはずがない』

どうせ古鷹の弱味を握ってるだろ!

白状しろ!!」

 

 

「別に?古鷹の弱味なんて握ってないわよ

でもそうね、私達何かと居るよりは別の鎮守府に移した方が良いとは思うわよ?」

 

 

「なら古鷹をーーー」

 

 

「でもね、『お前達見たいな屑に渡す訳には行かないわ

あの人は私が守る』

佐渡と私はどんなことがあっても古鷹を守るって決めてるのよ

じゃあね」

 

 

叢雲はその言葉を残すと加古の手を振り払いその場を後にしようとすると後ろから加古が

 

 

「お前達何かの所に居たら古鷹がどんな目にーーーーー」

 

 

「ねぇ?いい加減にしなさい?」

 

 

叢雲はゆっくりと振り返ると加古と衣笠を殺意を向けながら睨み付けると二人はビクッと震えながら脅える

 

 

「お前らの偽善であの人がどれほど苦しんでるか分からないのに知った口を聞くな

次古鷹をどうこう言ってみなさい

 

沈めるわよ海の底へ」

 

 

叢雲の態度に怯え二人は言葉を失っているとゆっくりと叢雲は歩き始めるとその後ろから一人の声が聞こえる

 

 

「じゃ、じゃあ私のお願いを聞いてくれませんか!?」

 

 

その声の主は今までずっと黙っていた青葉であり叢雲も興味を示し振り返る

 

 

「何かしら?変な内容だったら殴るわよ?」

 

 

「私達が……佐世保が優勝したら古鷹さんに会わせてください!

会うだけで良いんです!

一目自分の目で見たいんです!お願いします!!」

 

 

青葉がその場に土下座までしていると叢雲は呆れながらも再び歩き始める

 

 

「佐渡に聞いといてあげる

決定権はあの人にあるから」

 

 

その言葉を聞いた青葉は喜びながら涙を流していると叢雲は廊下の曲がり角を曲がると一人の艦娘が壁を背に立っていた 

 

 

「待ってたよ、叢雲」

 

 

「古鷹…聞いてたの?」

 

 

 

「まぁね、じゃ行こっか?」

 

 

古鷹は何事も無かったかの様に歩き始めると叢雲もその後ろに付いていき古鷹の顔を見上げると微笑んでいた

 

 

 

 




次回

唐澤襲来

古鷹の微笑みの理由とは…?
それは近いうちに書いていきます


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