艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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大演習会 前日 八

「あ…れ?」

 

 

佐渡はその光景に目をパチクリさせてると唐澤が佐渡へ振り返るとそそくさと銃をしまうと猿橋が人差し指を口元に当てておりエアが化けているとこに気付く

(あ、そっかエアには擬態があったか)

 

 

「それよりもすまないが猿橋

今から佐渡と大事な話をするんだ

少し廊下で待っててくれないか?」

 

 

「えー、今良いところ何ですけどー?」

 

 

「悪いな」

 

 

「ちぇ、仕方ないっすね……」

 

 

エアは立ち上がり佐渡達の隣を通り過ぎる時に佐渡へスマホを手渡すと耳元で囁く

 

 

「中々良い趣味してるじゃない?」

 

 

「うっるせ!!」

 

 

佐渡の反応を楽しむとエアはゆっくりとした足取りで部屋の外に出ていくと唐澤はそれを確認すると佐渡へ向きなおる

 

 

「長いのは嫌いでな

単刀直入に言うこの大会で我々舞鶴が優勝したらお前の所の艦娘を四人預かることにした」

 

 

「……成る程、貴方達ですか

ジジイが気分を変えたのは」

 

 

「どうやらその顔だと何かあったらしいな」

 

 

「えぇ、私達が負けたら古鷹を解体する羽目になりましたよ」

 

 

「ふん、あんな犯罪者をまだ庇うのか貴様は

とりあえずそれだけだ

私は帰るよ」

 

 

本当に唐澤は用件だけを言うと佐渡の部屋を去っていこうとするが最後に振り返り佐渡を見ると睨みつける

 

 

「私はお前達とお前の実力を認めているし、口出しするつもりはない

だが一つだけ聞かせろ

何故、あの犯罪者を庇う?

頭の良いお前なら今自分がやっていることの愚かさについて分かるだろ?

『英雄』よ」

 

 

「…………何でそれを知ってるんですか?」

 

 

誰も知らないはずの佐渡の過去を知っている唐澤に少し警戒はするが唐澤は腕組をしながら溜め息混じりに続ける

 

 

「お前がこの海軍に来た理由は大元帥から聞いている

『唯一生身で深海棲艦と渡り合った男』としてな」

 

 

「………そうですね、あえて言いますと

彼女が古鷹が助けを求めていたからですかね」

 

 

「……それだけか?」

 

 

「えぇ、それだけですかね

ただ助けを求めていたから俺は助けただけです」

 

 

「……お前は一人の艦娘の為に全てを捨てたのか?

この海軍での地位も名誉もこれから先の自分の行く末を」

 

 

「えぇ、捨てましたよ

『そんなもん』で古鷹が救えるなら俺は満足ですよ」

 

 

「………イカれてるなお前は

だからこそ、私はお前を提督として認めない

一時の感情に支配され全てを捨てた愚か者よ」

 

 

「どうぞ、ご自由にお呼びください

俺はそう言う提督ですから」

 

 

唐澤は吐き捨てるように台詞を話すと最後に呟くように小さな声で続ける

 

 

「……羨ましいよ

私にはそんな真似は出来ないからな」

 

 

佐渡はあえて聞こえないフリをすると唐澤は扉を開け廊下に出ていくと廊下には猿橋に化けたエアが立っており会釈をすると廊下を歩いていく

 

 

「……ふーん?あんた認められてはいるのね」

 

 

「まぁ実力だけな」

 

 

エアは廊下から部屋に入るなり擬態を解くと佐渡のベッドにダイブするように飛び込むとゆっくりと潜り込む

 

 

「ねぇ、今夜暇でしょ?

あんたの話聞かせてよ?」

 

 

「はぁ?俺の話?

一体何を聞きたいんだよ?」

 

 

「あんたのその全てを捨てる覚悟と叢雲とのお話

気になって仕方ないんだけど?

それに唐澤が言ってた英雄の意味もね」

 

 

「はぁ……大したことないぞ?」

 

 

「良い暇潰しにはなるからね!

教えなさいよ!」

 

 

「分かったよ、少し長くなるからな

飲み物でも買ってくるから待ってな」

 

 

「はーい、後アイスよろしく~!」

 

 

佐渡はそう言うと部屋を出ていき売店を目指して廊下を歩いていくと目の前から一人の提督が歩いてくる

 

 

「あっ」

 

 

その提督は佐渡を見ると萎縮し廊下の壁際に寄りながら歩いていき佐渡とすれ違うと震えながら佐渡を呼び止める

 

 

「佐渡提督!!」

 

 

「何ですか、藤谷『少将』?」

 

 

佐渡は振り返らずに少将と言う言葉だけを強く言うと藤谷はビクッと震えながら恐る恐る話をしようとする

 

 

「そ、その……

古鷹…は元気…ですか?」

 

 

何故か佐渡の方が階級は下の筈なのにかなり低い腰の藤谷の言葉に反応した佐渡は笑顔になりながら振り返る

 

 

「えぇ、元気ですよ少将!

我が艦隊と鎮守府の為に様々な事を手伝ってくれ

とても優秀な艦娘です」

 

 

「そ、そうですか……

あの古鷹の事なのですが…」

 

 

「何ですか?少将?」

 

 

佐渡がやけに階級を押しながら答えていくと笑顔なのだが少しひきつっていることに気付いた藤谷は怯えながら強気で答えようとする

 

 

「もし!我々が優勝したら彼女を返してくーーーー」

 

 

「駄目だそれだけはさせない」

 

 

藤谷の言葉を遮るように佐渡は言うと先程の笑顔とは真逆に怒りを露にし藤谷を睨み付ける

 

 

「アイツは俺の艦娘だ

お前達何かに渡すわけ無いだろ?

『彼女を捨てた分際』で何ほざいてやがる

殺されたいのか?」

 

 

佐渡の威圧に藤谷は萎縮してしまいその姿を見た佐渡はその場をゆっくりと後にしていると舌打ちをしている

 

 

「…本当に屑ばっかだな

クソッタレ…」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回

大演習会当日

色々な思いが交錯する中
佐渡達は小笠原を守るために戦います

とここで今までモブだった提督達の簡単な説明を致します

唐澤
髪は真っ黒であり右頬に傷を持ち一重のかなり筋肉質の身体付きをしています
深海棲艦に友人を殺され憎んでおりその時長門と知り合い提督となった者です
今回の重要人物になります

猿橋
髪は茶髪であり二重の身体は平凡な成人男性の身体付きをしています
ある理由で提督になりいつも大和と居るそこそこ楽観的な提督です

葛城
髪は青く染めており二重のスレンダーな女性
数少ない女性提督であり実は男性に興味がない
今は北上を秘書艦にし良く一緒にいる艦娘に優しい提督です

石澤
髪は黒く一重の少し体つきが良い成人男性
小笠原と同じ島国の提督でありながら阿武隈達とのんびりと生活しています
実は阿武隈に行為を寄せているのですがまだ告白出来ていないへたれ提督です

羽田
ちょくちょく出ている艦娘保護法を作った元帥
容姿は茶髪で優しそうな顔と厳しい態度だが元ある鎮守府の提督を担っておりあることが原因で大本営で大元帥が居ないときの代わりを努めています
秘書艦大淀と共に過ごしているが自分の艦隊を一つだけもっている元提督です

藤谷
容姿は髪が真っ黒であり特徴の無い普通の成人男性
現在佐世保鎮守府の提督ではあるが実は佐渡とあることが原因で頭が上がらない
元古鷹の提督で青葉、加古、衣笠の提督です
今回と次章の重要人物の一人です


蛇足みたいになってしまい申し訳ありません

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