艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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大演習会 VS沖縄戦 決着

二人は共に航行しながら四人の元に戻っていくと金剛が叢雲に突っ込んでいく

 

 

「叢雲ー!流石デース!!」

 

 

「ちょ、飛び付かないでよ!あんた今かなり重いんだから!!」

 

 

「凄いわねイムヤあんな雷撃の使い方があるなんて……

と言うかあの魚雷何?私見たことないんだけど?」  

 

 

「あれ?あぁうん、親方が私専用に作ってくれた加速型酸素魚雷(かそくがたさんそぎょらい)

新作何だけど、火力を低い変わりに通常の魚雷より速度がかなり速いの

あんまり使うなとは言われてるんだけどね」

 

 

叢雲達が勝利に喜ぶ中阿武隈がゆっくりとそこに近付いて行くと叢雲が気付き振り返る

 

 

「やっぱり強いね、叢雲達は」

 

 

「そうよ、うちはどこにも負けないんだから」

 

 

「……次は絶対負けないからね」

 

 

「あら?勝つのは私達よ」

 

 

 

その言葉と共に阿武隈と叢雲は握手を交わすと再び会場から歓声が上がると恵比寿が場を締める様に話始める

 

 

「いやー!素晴らしい戦いでしたね!!

どちらも引けを取らないギリギリの戦いを見せてくれた小笠原と沖縄に拍手を!!」

 

 

恵比寿が言うと割れんばかりの拍手と歓声が上がりAブロック決勝戦は幕を閉じる

 

 

「ふーん?へぇ……あの娘面白いわね?」

 

 

エアはそう言うと佐渡と一緒に観戦していたが離れていく

 

 

「何処に行くつもりだ、エア」

 

 

「お手洗い~

付いてこないでよね~」

 

 

「そうかい、くれぐれも気を付けろよ」

 

 

何となくエアがやることが分かっていた佐渡は溜め息をつくとそれを見ながら笑い部屋を後にする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艤装置き場にて瑞鶴はタオルを頭に掛けながらベンチに座り落ち込んでいた

最後の戦いにて古鷹こそ取れたものの叢雲とイムヤを残し敗けてしまった自分をひたすらに責めていた

この後少しの休憩と共にBブロックの戦いが始まるのだがそれまでここに居させて欲しいと阿武隈達に頼み瑞鶴の心情を察し彼女を一人にさせていた

 

 

「……また…負けた…

あの時、二度と負けないって心に決めていたのに……」

 

 

悔しくそして負けた自分を情けなく思いながら髪飾り外しそれを握り締めながら涙を浮かべていた

 

 

「……強く…なりたいよ……

先輩や翔鶴ねぇみたいに…」

 

 

眼を閉じるといつもそこに焼き付いている自らを残し一人、一人と沈んでいく仲間達そして二人残され加賀は瑞鶴を庇い逃がしてくれた過去を

 

 

「先輩……加賀先輩…どうすれば…

私は貴女みたいに強くなれますか……

誇り高く、真っ直ぐな貴女みたいに…」

 

 

すると扉から音が聞こえ頭だけを向けるとそこには阿武隈が静かに立っていた

 

 

「瑞鶴、そろそろ行こ?

佐渡提督がご飯奢ってくれるってさ」

 

 

「……いらない」

 

 

「珍しいね?瑞鶴がご飯いらないなんて

いつも私達以上に食べて困らせてるのにさ?」

 

 

その言葉と共に阿武隈は瑞鶴の隣に座ると頭を撫でる

 

 

「ごめんね、私が潮ちゃんばっかり気にしてたから古鷹さんも叢雲も撃破出来なくて

今回の負けは私の責任だから瑞鶴は気にしなくて良いんだよ?」

 

 

「そんなことない!

私が最後で叢雲一人と油断したからよ!!

だから…ごめんなさい…」

 

 

「ねぇ、瑞鶴」

 

 

阿武隈は瑞鶴の頭を撫でながら肩に寄せるとタオルを取る

 

 

「そろそろ仲間を頼ってくれないかな?

いつまでも一人で戦ってても勝てないよ?」

 

 

「そんなこと…」

 

 

「でも、霧島さんが今日頼ってくれて嬉しがってたよ?

『初めて瑞鶴が頼ってくれた』って

確かに貴女には相応しくない仲間かもしれないけどさ」

 

 

 

「そんなことないわよ!

皆は!沖縄の皆は!一人になった私に色々してくれた!!

悩んでるときも、寂しいもずっと側に……」

 

 

「じゃあ、もう少し頼ろうよ?

一人で苦しんでいるのは駄目だよ?」

 

 

阿武隈は立ち上がり瑞鶴を抱き締めると頭をゆっくりと撫でる

 

 

「確かに負けて優勝商品の

『深海墜ちした姫級の情報』は手に入らなかったけどさ

捜索は手伝うからさ?

元気だそ?」

 

 

「………ごめんね阿武隈…

私の我が儘だったのに…」

 

 

「良いんだよ!どうせ提督何かに使わせたらろくなことお願いしないんだからさ?」

 

 

 

「あぁ!クソッタレ!!

賭けで負けちったじゃぁねぇかよ!!!」

 

 

 

 

抱き締められた胸の中で瑞鶴は泣き出しそうになるとドアを思い切り蹴る音にビックリし二人でドアに向くと下の隙間から封書が部屋に入れられる

 

 

 

「な、なんだろ?」

 

 

入れられた封書を阿武隈は取りに行きその中身を開けるとそれに驚きを隠せず慌てふためくと気になった瑞鶴もそれを見ると二人で驚く

 

 

「こ、これって!」

 

 

「現在確認されている姫級と鬼級のデータ……

それと初めて確認された場所も正確に乗ってる……」

 

 

 

その中身は重要機密である姫級や鬼級の事を書いた書類であり恐らく海軍上層部しか知らない等が記入されており本来なら金庫などに仕舞われている物である

 

 

「ず、瑞鶴これをーーー」

 

 

と阿武隈が持ち主に返そうと促そうとするのだが、瑞鶴が涙を浮かべながら資料を集中しながら見ていると微笑む

 

 

「ハッ!そうね!これは返さーーー」

 

 

「ね、瑞鶴ここには私と貴女しか居ないわよね?」

 

 

「え?あ、うん?」

 

 

「じゃあこれ、貰っちゃおうか?」

 

 

「えぇ!?」

 

 

いつも真面目な阿武隈がそんなことを言い出す物だから驚くのだがそそくさとその資料を隠すと持ってきた艤装に入れる

 

 

「だ、駄目よ!あれは機密資料何だしーーー」

 

 

「ほら!バレなきゃ大丈夫大丈夫!

瑞鶴行こ!この事は二人の秘密だよ!」

 

 

阿武隈は瑞鶴の手を取ると急いで艤装置き場の扉を開きその場を後にしようとする

 

 

「ちょ、ちょっと阿武隈!」

 

 

二人が廊下に出るとそこには清掃員のおばちゃんが台車を押しており会釈すると走りながらその場を後にする

 

 

「後でゆっくり見ようね!!

私達の秘密ね!!」

 

 

満面の笑みを浮かべている阿武隈に溜め息を付きながら瑞鶴も笑うと二人走り出す

 

 

「もう!怒られても知らないんだからね!!」

 

 

その後ろ姿を微笑みながら清掃員のおばちゃんは台車を押し周りに誰も居ないことを確認すると台車から服を取り出し素早く着替える

 

 

「全く、あんなので喜ぶなんて子供ねぇ」

 

 

清掃員のおばちゃんに変装していたエアは姿を変えると台車を置きながら走り去っていた二人を見ながら髪を整える

 

 

「佐渡の事を調べていたついでの情報よ

喜んで貰えたなら良かったわよ

同じ空母としての吉見よ

楽しい試合を見せてくれたご褒美よ」

 

 

そう呟くと廊下の奥へとゆっくり歩いていき姿を眩ました

 

 

 

 

 

 





次回

閑話休憩
小笠原での死闘


次回佐渡達が留守にしている小笠原で起きている戦いを書いていきたいと思います


花粉症辛い……

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