「あら?分からないの?こ れ が?」
叢雲は酸素魚雷を佐渡の背中にグリグリと押し当てながら満面の笑みを浮かべている
「ま、まて叢雲
話せばーー」
「話せば分かるとか言わないでよねぇ!!」
瞬間叢雲は佐渡の両足を蹴り体制を崩す
「いってぇ!」
佐渡は余りの痛さに抱き付いてる古鷹を離してしまう
そして叢雲は佐渡の襟を掴むとそのまま床に叩きつけその上に馬乗りになると魚雷を顔面に突きつける
そして得意げな顔をしながら佐渡を見下ろす
「どう?前より様になってるでしょ?」
一瞬唖然とする佐渡だったがすぐに大声で笑う
「あっはっはっは!!流石だな!叢雲もうそれを覚えたのか?」
「当然よ?私を誰だと思ってるわけ?」
「すまんすまん、まだお前には無理だと思ったんだけどなぁ」
佐渡は身体を起こそうとすると叢雲も退き酸素魚雷を仕舞うために席に戻る
「いやぁ相変わらず上達が早いな
初期艦様?」
「と言うか普通艦娘に近接戦闘なんて教える?」
「何となくだ何となく
それに必要になるかもだぞぉ?」
叢雲と佐渡が笑いながら話しているのを見て古鷹は小さく「もぉ」と言い微笑むと思い出したかの様に佐渡に話しかける
「それよりも提督
そろそろ報告をしたいのですが……」
「あぁ!!すまんすまん
では頼む古鷹」
「はい!」
古鷹と佐渡は散らかった物を直すと近くのソファに移ろうとする
模擬艤装を机の中にしまった叢雲が戸棚からお茶菓子とお茶っ葉を取り出す
「お茶入れるわね」
「あぁ、頼む
では古鷹聞こうか?」
「はい!!」
叢雲がお茶を入れている間古鷹の任務報告を佐渡へ話していく
「ーー以上が本日の報告になります」
「分かったありがとう」
佐渡はその報告を聞くと「ふぅ…」とため息を付きながら天井を見上げる
「………何も無しかぁ」
「ご、ごめんなさい!!何のお役にも立てなくて……」
「い、いやぁ!古鷹は悪くないよ!!
でも近海に深海棲艦の影すら無しか……」
実はこの小笠原鎮守府は三週間前に深海棲艦から大規模な攻撃を受けていた
大規模と言っても鎮守府を壊滅させ陸地への進行を考えた物ではない
明らかに鎮守府のみを狙った攻撃だ
幸いその時に叢雲 古鷹 佐渡は大本営に全員呼び出されており三人は無傷
だが、鎮守府はほぼ壊滅状態だった
「まぁあの攻撃でこの鎮守府には誰も居ないって向こうも気付いたんでしょ?良いことじゃない?はい、お茶」
「いやそうかも知れないけどさ…
ありがとさん」
佐渡は叢雲から貰ったお茶をすすりながら考えていた
(ここら近辺には、深海棲艦が居ないと思ってたのになぁ
こんな『辺境地』になんてさ)
お茶を飲みながら、佐渡は二人をみる
楽しく話ながら叢雲と古鷹はお茶菓子を頬張りながら談笑している姿を見ると微笑む
(でも、こいつらが笑顔ならいっか)
と考えながらボーっとしていると扉からノックが聞こえる
『佐渡提督殿 憲兵です
入ってもよろしいでしょうか?』
と話し声が聞こえた瞬間佐渡はお茶を吹き出す