艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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戦艦長門 ー過去ー 二

そして、しばらく立ったある日最悪の事件をを提督から聞かされた

 

 

「何だと!横須賀鎮守府が落とされた!?」

 

 

「あぁ……私も先程聞かされた…

艦娘はほぼ全滅、提督も殺された模様だ…」

 

 

「そんな……何故だ!あそこまで強い鎮守府は無いだろ!?」

 

 

横須賀鎮守府襲撃事件

当時横須賀鎮守府にはかなり強力な艦娘大和と武蔵の二枚看板で知られ他の鎮守府より逸脱していた

それに私の友大和と武蔵が心配だった

 

 

「武蔵が……轟沈した?嘘なのだろ!提督!!」

 

 

「……事実だ」

 

 

そして、私は事件の現場に行ったが悲惨な状態だった

横須賀の鎮守府は破壊されそこら辺には艦娘の遺体や破壊された家屋

負けるとはこの様な事を言うのだとゾッとした

 

 

「何故だ……何故武蔵程の艦娘が…」

 

 

私より強い艦娘であり衝突こそするが戦友として認めお互いを高めあっており酒を飲み交わしていた友の死を受け入れきれ無かったがそれでは武蔵に見せる顔が無いと思い私は気丈にも振る舞った

(必ず貴様が目指した平和を実現するからな…

待っててくれ武蔵、全てが終わったら私も向かうからな)

 

 

 

だが幸いな事に大和だけはどうやら無傷で生き残っており当時は横須賀を裏切ったとされていたが状態が酷くそれはすぐに有り得ないとされた

 

 

「大和……私だ…

話をしないか?」

 

 

「…………ごめんなさい…

放って置いてください………

今は誰とも会いたくないの………」

 

 

今まで明るかった心を閉ざし塞ぎ込み尋問するにも何も話さず泣き続けるだけであり彼女はその事件を知る唯一の証人であるため海軍も手を出せなかった

それを皮切りに多くの鎮守府が深海棲艦に落とされ戦争は激化した

そして、私は自らの無力差を知らされた

気丈にも振る舞っていたがある時限界が来てしまい一人溜め息をついていた

 

 

 

「………はぁ…」

 

 

「どうしたのよ?長門らしくないわよ?」

 

 

 

「陸奥……」

 

 

そんなとき私を支えてくれたのは陸奥、妹だった

武蔵を助けられず大和の心を開けず落ち込んでいるといつも私の為に色々としてくれた

気晴らしにと美味しいケーキ屋に連れてってくれたりご飯を食べに行ったり温泉に行ったりや様々な事をしてくれた

仲間もそれを気遣い色々としてくれた

 

 

「すまない皆……世話をかけたな…」

 

 

「何言ってるのよ!長門さんが落ち込んでるとこっちも暗くなるだけだからよ!」

 

 

「もう!そんなこと言って、本当はいつも助けてもらってる長門さんにお礼がしたいだけでしょ?」

 

 

皆が私を励ましてくれて嬉しかった

私はこんなにも恵まれていたと実感させられそれを守らなくてはと心底思った

 

 

「長門、困ったりしたときは私達も頼ってね?

貴女は一人じゃないんだからね?」

 

 

「…あぁ、すまないな陸奥

心配かけたな」

 

 

自分は一人ではないそう妹の陸奥に教えられ私はより一層頑張り仲間を守ると心に決めた

私の正義は仲間を守り世界を平和にし皆が笑顔になるように頑張ると言うことだった

提督の為に海軍の為に戦争が終われば全てが救われると思っていた

その為なら喜んでこの命捨ててくれる

 

 

「歴戦種?」

 

 

 

「あぁ、この前横須賀を襲ったある姫級だそうだ

何でも通常の姫より遥かに強く通常とは格が違うそうだ……」

 

 

歴戦種

それは横須賀鎮守府を襲った化け物の正体だった

通常の姫級達とは違い火力、装甲共に桁が違うほどに強く化け物とされている

それが…横須賀を武蔵を…殺した犯人にして深海側の奥の手なのだろう

横須賀にはかなりの艦娘が在住していたにも関わらずその者が指揮し壊滅させた

いつか戦うのだとは思っていた

 

 

如月大元帥から全鎮守府に通達が入る

それは深海棲艦の本拠地を捉えたと言う話だ

私達の最後とされる戦いが幕を開き私達も多くの被害を出したが勝利した

しばらく海上には深海棲艦が姿を現さず全ての海域が解放された

 

 

 

そして、月日が流れた頃海軍より私達に終戦が伝えられた

皆やっと終わった戦争に歓喜し私もやっと肩の荷が落ちた気がした

(終わったのか……戦争が)

 

 

 

長い長い戦争が終わり艦娘達は戦いの無い世界を夢見ながらどうするかを話し合い私も陸奥と全てが終わりその世界でどうしようかを相談していた

 

 

「陸奥はどうするんだ?」

 

 

「そうね……私はしばらくは海軍に居ようかしら?」

 

 

「ほう?何故だ?」

 

 

「深海棲艦が居なくなったとは言えど私達にしか出来ない仕事もあるしね?

それが全て無くなったら……その時考えるわ」

 

 

「そうか…なら私も海軍に残ろうかな」

 

 

「駄目よ!貴女はあの人と一緒になりなさい?」

 

 

「なっ!あ、アイツは違う!

あの男はただ気が合うだけの友人だ!!」

 

 

陸奥が言うあの男とは唐澤と呼ばれている大本営勤務の提督である

かなり優秀で何度か会い話していると気が合い最近では良く約束をしては出掛けているため勘違いしているらしい

 

 

「あら?違うの?二人ともお似合いだと思うわよ?」

 

 

「馬鹿を言うな!私は戦いの中で生きてきたのだぞ!恋とかそう言うのは似合わない!」

 

 

「そんなこと無いわよ!貴女だって普通の女の子何だから!」

 

 

「だ、だがしかし……

こんなゴリラ女何てのを……」

 

 

「なら!今からでも間に合うわよ!

ほら、色々教えてあげるしそれに」

 

 

「それに?」

 

 

「貴女には幸せなってもらいたいわ

私達をずっと守ってくれたんだもん

姉の幸せを願って悪いかしら?」

 

 

「……卑怯だぞ、陸奥…

分かった…頑張ろう」

 

 

「その行きよ!正義の戦艦様!」

 

 

この時の陸奥の笑顔は忘れない

満面に笑みを浮かべ私の幸せを願ってくれる素晴らしい妹に恵まれ私達は最後の仕事大本営近海の警備任務に着いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう……最後の任務になるはずだった……

あの悪夢が…化け物共が来なければ…

 

 

 




次回

絶望

そして、長門の心には影と鬼が潜む
自らの無力差を知らされ打ち砕かれた正義と共に


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