艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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正義(復讐)

「アハハハハ!!そうよ!その眼よ!!

私達は分かり合えない!!お前達が全滅するか我々が全滅するかなのよ!

だが、貴様をここで生かしておいても得は無いわよねぇ?」

 

 

私に向け主砲を構え近付いてくる南方棲戦姫を睨んでいると遠くから声が聞こえる

 

 

「クイーン!フウ!ラン!そこまでだ!!

作戦は終了した!全艦隊撤退せよ!!」

 

 

遠くから聞こえた声に反応すると舌打ちをし静かに私の横を通りすぎていくと耳元で南方棲戦姫が囁く

 

 

「貴女が私を殺しに来るのを楽しみに待ってるわよ

正義の戦艦様?あ、ビック7だっけ?アハハハハ」

 

 

背中を踏みつけられ何も出来ずに悔しく唇を噛んでいると南方棲戦姫が最悪の一言を言う

 

 

「さぁてと!お前達!主砲用意!!

今残ってる海上のゴミ共に向け標準を合わせろ!!」

 

 

「なっ!貴様何を!?」

 

 

「少し」

 

 

「黙ってね?」

 

 

起き上がろうとすると再び踏みつけられ目の前の光景を見ると何人かの艦娘は生きておりフラフラと立ち上がろうとしている

 

 

「長門ぉ?貴女は幸運よ?だって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達(姫級達)の一斉砲撃が見れるからな!!」

 

 

その言葉に察しが付き再び起き上がろうとするが背中を再び踏みつけられ動けない

 

 

「辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めてくれぇぇぇ!!!」

 

 

「全艦隊主砲海上の艦娘(ゴミ)へ撃てぇぇぇ!」

 

 

南方棲戦姫からの合図と共に後ろから爆音が聞こえると目の前に砲弾が降り注ぐ

その光景は正しく阿鼻叫喚だった後ろからの砲撃音は止全て艦娘に直撃し身体が吹き飛ばされながら痛みに苦しむ顔をしながら沈んでいく

吹雪が助けを求めるが次の瞬間砲撃が直撃し頭が吹き飛び霧島が仲間を庇い腕が取れ艤装に穴を開け爆発を起こし沈んでいく

全ての艦娘が悲鳴と助けを求めるが深海棲艦は砲撃を辞めない

私は……それを見ていることしか出来なかった

 

 

しばらく轟音が続くと静かになると背中の重さが聞こえ立ち上がろうとすると真後ろから二つの砲撃を受け再び海面に倒れてしまう

 

 

「ウフフ、これで生きてたら凄いねラン」

 

 

「ウフフ、これで生存してたら凄いねフウ」

 

 

二人の声と大声で笑う南方棲戦姫の声を他所に私は痛みにより意識を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はしばらくすると眼を覚まし軋む艤装と痛む身体を持ち上げ周りを見ると先程まで居た姫級達は居らず夢だったのかと思うが背中の痛みがそれが夢ではないと物語りゆっくりと陸奥が沈んだ場所に行くと何かのケースが浮いている

それを拾い上げるとネックレスと紙が入っていた

その紙を開ける読むと

 

 

『長門へ、今までお疲れ様

貴女にはいつもお世話になってたからこれを送ります

貴女に似合うと思うんだけどどうかな?

正直面と向かって言うのは恥ずかしいのでこんな渡し方でごめんね?

もし結婚して幸せになってくれたら私はそれだけで嬉しいです

貴女が正義の戦艦と呼ばれ、仲間の為に戦う貴女を尊敬し後ろを追っかけるのがやっとだったけどこれからも妹で居させてください

 

By 正義の戦艦、ビック7の自称妹より

PS 子供出来たら見せてよね?長門に似て正義感の強い子だとは思うけどね』

 

 

「…ぅ…うぅ……陸奥…ごめん……守れなかった……

ごめん……」

 

 

私は紙を握り締めると静かに泣いた

誰にも聞こえないほどに静かにそして自らかあの時駆逐古鬼と南方棲戦姫に恐れを無し動けなかった私を憎み

そして恐らく消えたであろう水平線を睨み

 

 

「…殺してやる…一体残らず…深海棲艦共…

私が……何をしてでも……どんな手を使ってでも…この手で…!!」

 

 

誓う、自らの信念である正義を歪め復讐として陸奥から貰ったこのネックレスを握り締め世界から一体残らず深海棲艦を殲滅する復讐を正義へと形を変え

その後痛む身体を引きずりながら私は大本営に向かったが悲惨な状態だった

転がる提督達の遺体、助けを求める声、苦しむ声

これが深海棲艦に敗北すると言う事であり二度とこのような事が起こさないと深く心に刻み込んだ

 

 

大本営が復活した頃同時に世界の制海権が再び奪われ強い艦娘のほとんどが姫級に殺され残っていたのは私を含め三人だった

上手くこの出来事から逃れたのは沖縄だけだった

他の鎮守府は大本営強襲と同時に襲われ全ての鎮守府が壊滅していた

私はしばらくは大本営の艦娘となり深海棲艦を殺し続けた

 

 

戦場を駆ける修羅、深海棲艦を殺す正義として呼ばれ幾つも勲章を貰った

そしていつしか私は最強の艦娘 正義の戦艦と呼ばれた

それでもまだ奴等の尻尾は掴めない

その後、私は幾つかの鎮守府を転々とし幾度と無く陸奥に出会った

私を姉と慕い共に戦場を駆けたが何度も彼女は撃沈していった

時には囮として使われたりしてもそれが最善として自分に言い聞かせて

 

 

 

 

艦娘が深海棲艦と繋がりがある

その話を聞いたとき私には殺意が湧いた

私達の中に裏切り者が居るなら私が殺すと志願した

 

 

 

そして、私がその艦娘を殺す時

その艦娘を見て驚いた

彼女の身体は既にボロボロだった

全身の傷 空いた瞳 折れた身体

何故かは聞かされ無かった

それでも憎き深海棲艦と繋がりがある裏切り者を許せなかった

 

 

その艦娘を殺すとき私は分かっていた

これをすれば私は艦娘として間違いなく終わると

それでも手を止められなかった

動かす主砲を止められなかった

憎いあいつらの仲間を殺そうと心が止まらなかった

まだ残る心の片隅で『辞めろ』と声が聞こえる

それでも自分に言い聞かせた『これが正義』だと

そして主砲を放つ為に標準を合わせた瞬間

目の前に光が広がり思わず眼を閉じた

脳裏で一瞬陸奥の怒る顔が見えた気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私の前にお前達が現れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光と高い音共に私の邪魔をする()として

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が殺すはずだった艦娘に手を差し伸ばす裏切り者として

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が昔捨てた正義を振りかざして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いけどこの艦娘の処刑は今この時を持って中止だ!!

こいつは俺達が貰っていくぜ!!」

 

 

 

 

 




次回

お前は敵か?

そして、時は現在に戻る
自らの歪めた正義を振りかざして長門は叢雲達に襲い掛かる海軍の犬として殺された陸奥の弔いをするために

自らを偽りながらも

長門の過去編終わりです!
次回から再び現在に戻り長門と叢雲の夜戦に戻ります


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