薄れいく意識の中叢雲は倒れ会場の歓声を聞きながら水面に倒れていた
(……痛い…全身が……)
身体を懸命に動かそうとするがピクリとも反応せず更に動かそうとすれば全身に走るような痛みが走る
(あぁ……駄目ねこれ……
動かない…私とした事が焦ったわ…
後で反省しないとね……)
身体が動かず全身の激痛と先程長門から受けた拳のダメージで吐き気まで催しておりその痛みでゆっくりとその意識を手放そうとする
(うん……無理ね…
このまま倒れていれば…私の負けね…)
『そうだな、お前の負けだ』
不意に眼を閉じると誰かの声が頭に反響しその言葉と独り言の様に話し出す
(頑張ったじゃない…?私…あの戦艦長門相手に…)
『あぁ、そこそこにはな
だが結果負けた、お前はあいつに負けたのさ』
(仕方ないじゃない……戦艦よ?
私は駆逐艦…勝ち目何て初めから無いのよ……)
『そうだな、お前は所詮駆逐艦
戦艦より耐久は低いし火力も低い
だからお前はここで負けるんだな?』
(そうよ……私の負け…
これ以上立ち上がっても何も出来ないわ…)
『だから負けを認めるのか?
そうやって自分に言い聞かせて、負けを正当化するのか?』
(何でよ…?何で……あんなの勝てるわけないじゃない
主砲も雷撃も戦闘でも負けてるのよ?…
無理よ勝てない)
『ならお前の仲間と提督はここまでだ
お前は
口だけの艦娘風情が』
叢雲はその言葉にハッと眼を開けると辺りの光景を見る
そこは会場ではなく住宅地
辺りからは爆音と叫び声が聞こえる
真っ暗な水上ではなく道路のコンクリートに倒れており目の前に一人の男が武装しながら背中を向けていた
『負けを認めるならそこのマンホールを開けてこの街の外に逃げろ
這いつくばって、泣きながらその
男の目の前には住宅地を破壊し暴れる化け物がおり、男はそれに向かって歩いていく
『待ちなさいよ!!あんたあれをどうするつもり!
まさか戦うわけじゃないわよね!?
あれは深海棲艦よ!あんたじゃ勝ち目なんて無いわよ!!』
その声は私の真後ろから聞こえその艦娘は顔をぐしゃぐしゃにしながら何かを抱えていた
『勝ち目がない?誰がそんなことを決めた?
俺が戦ってないのに何故お前に分かる?
お前が戦ったからか?それとも仲間を殺されたからか?』
『違うわよ!あんたの武器じゃあれには傷一つ付けられないわよ!!』
『そうか、まぁ知らん
やってみないと分からないしな』
二人は戦場のど真ん中であるにも関わらず声を荒げ喧嘩を始めておりその中心で自分は見ているが二人には見えてない
『あんたは人間でしょ!?
艦娘に守られてないと何にも出来ないただの人間!
ならあんたは逃げなさいよ!!』
『逃げる?何故だ
ここにお前と言う守る物があるのにか?』
『……はぁ?』
艦娘は不思議がっているとその男は武器の手入れを済ませると肩にかけると艦娘と私に振り返るがその顔は逆光で見えない
『お前が艦娘だろうがなんだろうがどうでもいい
お前の様な餓鬼を背にして逃げるなんてのは愚の骨頂だ
俺のプライドが許さない
それに俺はまだ負けてない』
『何言ってるのよ!
私は艦娘!消耗品なのよ!!
だからーー』
『だから、お前を見捨てろってか?
ふざけるな
それにこれは俺の戦いだ
お前に口出しされる筋合いはない』
男は再び振り返り化け物に向かっていこうとするが少し歩いて止まると顔だけを向けて艦娘に言う
『一応貴様も軍人でそこの
お前は負けを認めるのか?』
『はぁ!あんた何を言ってーー』
『敗北とは戦うことを諦めた奴の事を言う
死んだから負けと言うのは抵抗出来ないからだ
つまり戦いとは両者が生きていれば続く物なんだよ
お前が戦う意志が無いのであればお前は所詮口だけの餓鬼だ
惨めにそこで這いつくばって泣いてるが良い
俺はごめんだね仲間を殺したあいつを復讐し破壊する』
『何で……何であんたはそんなに強いのよ!
人間!!仲間を殺されて何でそんな強気でいれるのよ!!』
『強くないさ、強くありたいだけだ俺はな
じゃあな艦娘、精々生き残れよ』
そう言うと男は走り出す艦娘を置いてしばらくすると化け物の方角から爆音が響き渡ると艦娘は死んだ艦娘の頭部を外壁の近くに置くとそっと隠す
『……ごめんね吹雪
私…負けたくない…あんな人間何かにあそこまで言われたら戦うことを辞めたくない……
ごめん後で迎えに来るから……貴女達を殺した
あれをあの人間と破壊してくるから!!』
艦娘は艤装を拾うと走り出し叢雲の隣を走り抜けるその横顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっているがハッキリと叢雲には分かる
そうこれは叢雲と佐渡が初めて出会った時だったのだ
景色は消え再び真っ暗になる目の前に誰か立っている
それが誰かは叢雲には分かっていた
(……ふふ、懐かしいのを思い出したわ
そうよね……私はあの時動けたんだもんね
怖くて、弱くて、情けなくて、口だけで、プライドだけ高いあの時)
『あぁ、そうだな
だが今は違う
俺が側に居る
もし、お前が負けても俺に任せておけ
何とかしてやるさ』
(……嫌よ)
『何故だ?』
(…私は二度と負けないって決めたの
あの時あんたに出会って戦って一緒に過ごして分かった
あんたはどこまでも敗北を嫌い戦い続ける人間だって
それなのに
『なら立ち上がるのか?またあんな戦艦と相手するんだぞ?火力も装甲も桁違いの艦娘だぞ?』
(それでもよ、私は負けない
あんたが戦うのならば私も戦う)
『………はは、そうか
ならそろそろ立ち上がらないと試合が終わるぞ?』
(えぇ、ありがとう佐渡
私は貴方よ)
『俺はお前だ艦娘駆逐艦叢雲
俺の唯一の
さぁ立ち上がれ仲間を次は絶対に守れ
お前の力を見せてやれ』
(……あんたに会えて本当に良かったわ
私の唯一信頼する
そして、叢雲の意識は目覚め会場からは長門コールが聞こえ近くに落ちている艤装をゆっくりと掴み握り締める
(倒す……私の…司令官の邪魔をする全てを
私の信念を貫くために)
次回
ボロボロになりながらも叢雲は諦めない
自らの道を作ってくれた恩人の為に
二度と失わないと言う覚悟と信念を胸に抱え
そろそろ大型建造をしたいのですが資材がががが…